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by ydando
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年金問題の風圧は落ちず、さらに住民税「増税」も
 この前の記事「5000万件問題で年金の丼勘定ぶりに唖然 [ブログ時評80]」の冒頭にテクノラティ・ジャパンによる「年金」キーワード記事頻度グラフを掲げました。ご覧になって下さい。5月末から週末に凹んでは持ち直す、見事な高原状です。ちょっと忙しかったので更新をさぼっていましたが、十分に代役を果たしてくれました。

 年金問題では26日付の日経新聞の「検証・さまよう年金記録」が良い材料を提供しています。一連の騒ぎの発端になった記事は昨年10月26日朝刊の「年金記録ミス2万4千件 照会者の2割」だといいます。社会保険事務所の窓口を訪れて納付記録を確認した人の2割に間違いがあったというものです。厚労省事務次官は「大部分は未統合記録が発見、修正されたから不払いは起きない」と答えていますが、今になってみると「2割」という高率は恐ろしいと言うべきです。

 年金は請求主義であり、本人が確認すれば問題はない――この建前がやはり大きな間違いなのです。もしこれでも良いとする前提があるとすれば、国側が精密に記録を管理して保険料を納付する人に信頼し、納得して貰えなければなりません。杜撰の極みと言える現状はほど遠いものがあります。

 前々から心配されていた通りに、住民税の「増税」がパニックを引き起こしています。知り合いの創価学会系の活動家は「参院選を頼みに行っても『今度ばかりは考えさせて貰う』と言われて困る」と嘆いていました。その活動家にして、「増税」が小泉政権下で既に決まっていたことを知りませんでした。「住民税」キーワードのブログ記事頻度グラフも貼っておきます。

 【7/2追補】内閣支持率が朝日新聞で28%、不支持率が毎日新聞で52%と危機的な水準になりました。

   ★過去90日間に書かれた、住民税を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「住民税」に関するグラフ

# by ydando | 2007-06-29 16:08 | 政治・経済
5000万件問題で年金の丼勘定ぶりに唖然 [ブログ時評80]
 「宙に浮いた年金記録5000万件」問題でブログが騒然としている。5月末からキーワード「年金」を含むブログ記事が連日3000件前後も書かれている。
   ★過去90日間に書かれた、年金を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ : 年金

  テクノラティ・ジャパンのブログ記事頻度グラフで最近の政治的事件と比べよう。例えば「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度導入を阻んだ「残業代ゼロ」騒ぎ(第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」)が12月の始まりから法案提出断念による収束までで5000件に満たなかったことを考えると、エネルギーの大きさが判る。ちなみに松岡農水相自殺の当日は1万件を超えるブログ記事が書かれたが、これは直ぐに収まった。

 社会保険庁や厚生労働省への不信感は募る一方である。「年金財政破綻の前に、年金記録が破綻」(夢主義社会)は「『年金の一本化』とか『社会保険庁改革』という話もありましたが、年金のための巨額の保険料の管理を、国の判断に任せておくのは大変不安です。こんな年金制度は、改革よりも、全て無くした方が良いと思います」と言い切る。「年金制度を廃止して、生活保護に統一すべきだと思います。現状では、国民年金よりも、生活保護の方が、多く支給されるそうです。老後に裕福な生活をしたい人は、自分でお金を積み立てておけば良いのです。老後にお金が無くなった人は、生活保護を受ければ良いのです。生活保護のための財源は、年金のための保険料納付を止めて、その分、所得税に上乗せすれば良いと思います」

 もう少し穏当な意見でも「社会保険庁は解体・完全民営化を」(利究 ”元銀行員のひとり言”)は「年金という国民の預り資金(公金)を扱うには余りのぞんざいさに呆れるばかりだ。長官を先頭に街頭でお詫びをしたらしいが、謝って済む問題ではない。社会保険庁の役職員に当時者能力がないということだ、今回発覚していることも内部的には当然周知されていたものが、『臭いものには蓋をしろ』的発想つまり組織防衛のため、ここまで遅れたのだろう。時間の経過と共に調査を難しくし、もう既になくなった人たちもいるだろう。生きていてこその年金ではないのか?」と怒る。

 実際には社会保険庁に危機感は無かったようだ。2億件あった年金記録を集約する過程で帰属不明になった5000万件だが、年金は「請求主義」であり、58歳の時点で受給者と記録をすり合わせるので、もし欠落した部分があれば調査して補えばよい――そういう前提に立っていた。

 それなのに60歳を過ぎていそうな「宙に浮いた年金記録」だけで2800万件にもなってしまった。この点について自民党の河野太郎衆院議員が「消えていない5000万件」でこう説く。「可能性として対象者が年金受給開始前に亡くなって、年金手帳による統合をおこなっていないもの、対象者が年金の受給資格がないため、年金の裁定がおこなわれていない(そのために年金手帳による統合がおこなわれていない)ものが大部分だろうと推定される」「しかし、この中には無くしてしまった年金手帳に載っていた年金番号があるだろうし、氏名、生年月日などが違っていて統合できなかったものもあるはずだ。だから、今回、2800万件の統合されていない年金番号の氏名と生年月日、性別を今、年金を受給している3000万人の氏名と生年月日、性別と照らし合わせて、ひょっとして漏れている可能性がありそうな人に、通知を出すことになったのだ」「だから5000万件は、消えたわけではなくて、2200万件は今後、その年金番号が載った年金手帳を持った人が年金をもらう年齢に達するごとに基礎年金番号に統合されていく」

 当然ながら、そのコメント欄でも批判が多い。国民の多くは自分が納めた年金保険料が年金財政の大枠中に投げ込まれ、個々人の記録として尊重されていないことに驚き、呆れ、憤慨していると思う。「統合されていく」時に記録がなければ何十年も前の領収書を求められる。これはたまらない。金額の多少はあるにせよ、国が国民から預かったお金ではないか。

 年金財政は百数十兆円の積立金を持っている。巨額だが、積み立てられた以上はこれに数倍する年金の支払い義務が国に課されるはずだ。年金問題に関心を持って久しいが、積立金と年金債務の関係をすっきり示す資料を見たことがなく、以前から不思議に思ってきた。今回の5000万件騒動で理由が判明した。国は自らの支払い義務の大きさを知ろうともしなかったのだ。納付記録が誰のものか調べが付いて可能になるのに、受給開始が確定するまで放置するのだから常時、大量の帰属不明記録があって全体の収支計算など不可能だった。

 「年金特別会計の問題点」(新潟青陵大学紀要第5号/2005年)で吉田堯躬氏が「特別会計の財務諸表は依然として年金の債務性を示すことなく、積立金があるという数字が示されている」「年金の給付現価が債務である以上、厚生年金及び国民年金特別会計の財務諸表との整合性が必要になる。けだし、国民の代表に提出する予算の財務諸表が債務性を認めている給付現価について触れずに従来方式だとすれば、形式的な財政民主主義自体の崩壊である」と強く指弾している。

 国民から請求があれば支払えばよい。自分が持っている財布にあるお金は見えていても、国民に将来出すと約束した年金債務の大きさを計算はする気はない――こういう国だから今回、1000億円程度の追加支出があったとしても、誤差の内だとお考えのようだ。どれくらい凄まじい丼勘定になっているか、実例をお見せしよう。

 「年金特別会計の問題点」は前々回平成6年の年金再計算で設定した積立金の運用益が大きく下回り、その後の5年間で8兆8千億円も少なかった問題を指摘している。「不足分は年金運用見込み違い損失として損益計算書で損金としてあきらかにするとともに、貸借対照表上、見合いの留保を行い、年金についての運用責任の明確化を図る等の工夫をするべきであろう。なぜなら、現在のシステムでは再計算のデータ-それは保険料や将来給付の設計に重要な要素である-として示されているにもかかわらず、それと無関係に資金の運用が予算編成作業に埋没してしまっている」

 年金再計算は5年ごとに年金財政の方向を決める重要なイベントだ。当然のこととして私は現実の年金財政収支の上に立っていると思ってきたのだが、今回の騒ぎで国が収支実態を把握していないことが判明した。あの計算は人口動態統計などの指標からはじき出した絵空事だった。そして、そんな絵空事だから巨額積立金運用益の実績が8兆8千億円少なくても意に介しない。
# by ydando | 2007-06-10 17:05 | 政治・経済
少子化の影響はまだ序の口
 「車が売れない現象は若者の指向変化か[ブログ時評79]」をめぐって、若い世代のクルマ購入が減っているのは少子化の影響と勝手に解釈される方がいらっしゃいます。ネットから簡単にデータは取れるので2005年国勢調査の5歳ごと世代別の人口集計結果を以下に収録します。

◎2005年国勢調査の集計 10年前の同世代との比
 0 ~ 4   5,578,087   93%
 5 ~ 9   5,928,495   90%
10 ~ 14  6,014,652   82%
15 ~ 19  6,568,380   79%
20 ~ 24  7,350,598   75%
25 ~ 29  8,280,049   95%
30 ~ 34  9,754,857   121%
35 ~ 39  8,735,781   113%
40 ~ 44  8,080,596   92%
45 ~ 49  7,725,861   75%
50 ~ 54  8,796,499   103%
55 ~ 59  10,255,164   138%
60 ~ 64  8,544,629   129%
65 ~ 69  7,432,610   141%
70 ~ 74  6,637,497   195%
75 ~ 79  5,262,801   285%

 20代での少子化の影響はまだ始まったばかりだと知れます。20代後半ではほとんど効いていません。従って少子化だから、若い人口が減ったからクルマが売れないという議論は成立しません。逆に30代の人口は膨らんでいるのにクルマの購入は減ってしまったのです。

 少子化の影響は今の10代が20代になる10年後には空恐ろしいほどに効いてくるでしょうが……。
# by ydando | 2007-05-15 23:44 | 政治・経済
車が売れない現象は若者の指向変化か [ブログ時評79]
 日本企業初の営業利益2兆円突破のトヨタ自動車にして、2006年の国内乗用車販売実績は前年比97%の約146万台だった。販売減少は2年連続だ。日産自動車に至っては前年比87%の約65万台、ホンダがやや健闘して前年比97%の約64万台。すっかり「車が売れない」現象が社会に定着してしまった。日本の自動車産業は乗用車についてみれば国内と海外でそれぞれ1000万台を生産しているのに、国内販売が500万台を大きく割り込む事態になった。好調のはずの日本自動車産業の足元が危うい。

 「☆ 売れない・・・ ☆」(小☆覇☆王☆日記)は「だが何より、若い世代の興味や行動の変化が大きいようだ。ここ数年、20~30歳代を中心に、将来の収入や家計負担に対する不安がより高まった。子どもの教育投資、住宅ローン、税金、金利、医療費などの負担が重くのしかかり年金制度への不信も強い」「自動車ほど価格が高くなく維持費もかからないデジタル家電を優先させる傾向が強まっているという。毎月の出費も、携帯電話やインターネット接続料などがかさみ、車が敬遠される要因になっている」と指摘する。

 「『世界一』の苦悩 」(じょーむ50才 地方都市会社役員の毎日思うこと日記)は連結売り上げ高24兆円がロシア国家予算と並ぶトヨタの苦悩に対して「主な原因は二つ」「性能が良くなりすぎて、買い替えの必要性を感じさせない」「意外なライバルは携帯電話。通話料がかさむので車が買えない」「決定打はないが対策は考えている。モデルチェンジ、新型車導入、残価ローン設定、旅行社との提携」「あらゆる方法を模索しながら、販売増に挑戦するとの事」とまとめる。

 実際のところ各社の目が向いているのは団塊の世代など、これまでに車を買ってくれたことがある層を掘り起こすことでしかない。車を持とうとしない若い世代に効く対応策は見いだせない。

 日本自動車工業会のJAMAレポートNo.100「運転者の変化と使用・保有状況」にある「図8.主運転者年齢」から1995年と2005年の分を以下に抜き出す。

 年齢層  1995年 2005年
 ~24歳  10%   5%
 ~29歳   9%   6%
 ~39歳  24%   21%
 ~49歳  29%   23%
 ~59歳  17%   23%
 60歳~  11%   23%

 1995年の販売台数はずっと多かったのだから、10年間で若い世代の乗用車購入は半分に減った印象だ。20代まで合わせて11%の状況では、クルマは若者のものとはとても言えない。そして車離れは上の世代にまで及んでいる。10年後の調査だから、世代がひとつずらせる点に留意して数字を見て欲しい。20代から上に波及している傾向は、新聞購読者やNHK視聴者での若者離れと似通っている。

 「若者のクルマ離れ…都会で売れない」(response.jp)は2007年1月、サンプル3000のインターネット調査で男女20~34歳層の「車を欲しいと思わない」理由を以下のように集計している。
 1位…今の生活では特に必要性を感じないから(74.1%)
 2位…車の維持費・税金が高いから(52.0%)
 3位…他の交通機関で事が足りているから(51.9%)
 4位…車以外のものにお金をかけたいから(43.9%)
 5位…車本体を買う金銭的余裕がないから(36.9%)

 この調査にはどんな企業に車をデザインして欲しいか、問う項もあり、そこではソニーやアップルが上位を占めた。先日、タクシーから、あるGTカーのリアスタイルを見て痛くがっかりした経験がある。こんな不細工な車、自分なら決して買わないと思った。かつてクルマ好きの私だからこそ、現在の日本車にときめくものを感じるのは難しい。

 では、若い世代は本当に車を見捨ててしまったのだろうか。それが判ると面白いと、警察庁の免許保有統計の数字を国勢調査の世代別人口で割ってみた。

  世代別の運転免許保有率
  2005年  男性   女性 
  20~24歳  88%   79%
  25~29歳  97%   89%
  30~34歳  98%   91%
  35~39歳  99%   91%
  40~44歳  99%   89%
  45~49歳  97%   84%
  50~54歳  94%   75%
  55~59歳  95%   68%
  60~64歳  88%   51%
  65~69歳  84%   35%
  70~74歳  76%   20%

 運転免許保有率がこれほど高いとは知らなかった。若い世代も女性を含めて十分に高い。マイカーは持たない、あるいは持てないとしても、車を走らせたい気持ちに差は少ないのではないか。文句無く良いクルマがあれば、そして若い世代では3分の1にも達している非正規雇用、低賃金の状況が改められるなら、国内市場は再び膨らむのだろう。膨大な利益を上げている自動車産業には、その期待に応える義務がある。

  ※関係の親サイト分野別入り口・・・《教育・社会》
# by ydando | 2007-05-13 23:21 | 政治・経済
検索をフォースに10年書き続けて
 一連のネット上連載を書き始めて10年が経った。

 1997年5月8日、インプレス社「INTERNET WATCH」上で「インターネットで読み解く!」の第1回「空前の生涯独身時代」を公開したのが始まり。1人で企画を考えた頃には「千里眼」という試験的な検索エンジンしか存在せず、連載開始とほぼ同時に商業用の「goo」「infoseek」が生まれた。ついで「Google」が圧倒的な性能で検索の世界を制覇した。ブログの隆盛とともにブログ検索が登場、数分前の書き込みをキャッチ出来るようにもなった。先日の第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」で伝えたように、今では議論の流れを過去に遡って捉え、ピンポイントで読み返すことが可能になっている。

 インターネットで検索することの意味を、開始から半年の第25回「インターネット検索とこのコラム」で既に明らかにしている。その際「インターネットでの検索とは、映画『スターウォーズ』の騎士ジェダイが手繰るフォース(理力)のようなものだ。気付かない人には何の価値も効力もないが、使い手にとっては昨日の不可能を、可能に変えてくれる」と書いた。その通りに10年間が過ぎたことになる。この間、日本のネット上での重要な発展、個人ニュースサイトの隆盛にも立ち会い、第128回「ニュースサイトが生む津波アクセス」で「津波アクセス」という表現も生み出した。

 10年も同じことをしていたら続かなかったろう。1998年夏にはメールマガジンの世界に加わるために独立し、明治維新や自動車産業、学力低下問題など、扱う話題の幅を広げた。メルマガの読者数は最高2万3千人を数えた。その一方、第1回「空前の生涯独身時代」で開発した、ネット上の統計資料を独自分析する手法を発展させ、第152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」へと繋げている。

 出会いが新しい段階をいくつも開いてくれた。英語のフリーペーパーを作りたい人が最初に英訳してくれ、ついでPHPの英文雑誌にコンテンツを提供するようになって英語版サイト「Japan Research and Analysis」が生まれた。2004年に「神奈川大学評論第48号」に頼まれた評論「ネット接続に群がる日本の光景」と、岩波書店『世界』60周年プレ企画の座談会用の第150回「ネットと既成とジャーナリズム横断」が、ブログの世界と本格的に向き合う「ブログ時評」をつくる機会を与えてくれた。先の第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」は5月開催の日本選挙学会での報告の一部としてまとめたものだ。4月から大阪の月曜夕刊で「ウェブ通」と題したコラムを書き始めた。これまで歩いてきて見かけた、気になるサイトを硬軟とりまぜて書いていく。

 様々に膨らんでいった10年間だった。次の10年も最初の10年以上に予想を超えた展開になると期待している。
# by ydando | 2007-05-08 23:11 | ネット