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東電福島第一・7時間半もの臨界事故に驚く
 北陸電力志賀原発で15分間の臨界事故が発覚したのに続いて、東京電力でも1978年11月に福島第一原発で7時間半もの臨界事故があった。「制御棒引き抜け事象に係る調査状況について(続報)」にある。

 制御棒の脱落は5本もあったが、大きく抜けた志賀原発と違い30~90センチ落下だったので臨界になった範囲が小さかったのだろう。それにしても中性子量のメーターが振り切れているのに7時間も手をこまねき、朝になって幹部職員が出てきて収束させたとは、今聞いても肝を冷やす事態だ。緊急呼び出しをかける判断すら出来ない当直班しかいなかった訳で、もっと大きく落下していたら大惨事になったろう。

 事故があった3号機は1976年3月の運転開始で、「初期のトラブル」と言い抜ける人もいるようだが、トラブルは記録して次に備えるのがエンジニアの常識だ。東電側の運転日誌に一切の記載が無い以上、隠蔽したとみるしかない。メーカーである東芝の側もデータをきちんと残していないのは許し難い。

 「原発の事故隠し」(春秋雑感)は「これが当時発覚していれば、原発建設がほぼ凍結されていた可能性が高い。それを恐れて隠蔽したのでしょう。電力会社の社員自体に遵法意識というか、国民の安全優先というのが欠落している欠陥人間ばっかりですね」と憤る。

 東海村臨界事故の後で第76回「臨界事故と揺らぐ原子力技術」を書いて、電力業界の品質管理運動を紹介した。沸騰水型の東電は関電のTQCに当初は冷ややかだった。蒸気発生器というアキレス腱を持つ加圧水型に比べて余裕があったのだと思っていたが、何のことはない事故・異常続発でも口をつぐんでいただけだったのだ。

※関連「臨界事故が沸騰水型は欠陥原発と証明 [ブログ時評77]」
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by ydando | 2007-03-24 19:48 | 科学技術
臨界事故が沸騰水型は欠陥原発と証明 [ブログ時評77]
 【注:福島第一原発の炉心溶融で来訪された方へ】
 最新のエントリーは「Blog vs. Media 時評」でご覧ください。「福島第一原発3号機も炉心溶融、後手の連続」(2011/3/13)などが読めます。


 北陸電力志賀原発1号機の1999年臨界事故発覚は、まず7年間の隠蔽事実そのもので原子力全体への大きな不信を生んでしまった。その後、東京電力など4原発で同じような複数本の制御棒同時脱落事故があったと公表され、一般的な不信感を問題にしている時ではなくなった。国内の原発を加圧水型と折半している沸騰水型炉が、フェールセーフの約束を無視した欠陥原発だったと判明してしまったのである。

 核分裂反応を一定の範囲にとどめることが原発の至上命題であり、反応を進める中性子を吸収する制御棒の出し入れが決定的な役割を果たす。この制御棒を、加圧水型炉は炉心の上から吊る方式であり、制御不能になっても最悪でも炉心に落ちてくれる。沸騰水型炉では炉心上部で蒸気が発生している事情から制御棒を炉心底部から上方向に挿入する。

 重力に逆らって重い制御棒を上に突っ込む点に沸騰水型炉の危険性があると指摘されたが、電力会社や国は「制御棒の落下には機械的な歯止め『ツメ』が付いており安全」と言ってきた。しかも制御棒は1本ずつしか動かさない仕組みなので「事故解析は制御棒1本の挿入失敗や脱落を検証すれば足りる」と裁判の場でも突っぱねてきた。ところが、志賀原発1号機で起きたのは3本もの同時脱落だったし、他の4原発でも2、3本の脱落だった。

 3月20日になって、これまで隠されていた機構上の秘密が表に出てきた。制御棒は水圧を使って動かしていて、弁の開閉を間違えると異常な水圧が発生することがあり、その場合はツメは強制的に外されてしまうのだった。これが安全装置かと問いたい。

 「謝りゃ良いというものでもなし 其の参」(旅限無)は驚き、こう指摘する。「『開閉する弁の順番を誤った』のは人間で、記事を読む限りではこうした人的ミスを想定した設計にはなっていない事になります。ならば、絶対にそんなミスをしない人間をその操作に当たらせねばなりませんが、それは人間を理解して居ない傲慢な態度でしょうなあ。どんなにメチャクチャな操作をしても、絶対安全に自動停止してくれないと困りますぞ!」

 各地の住民が起こしている裁判で弁操作について危険性指摘はあった。「志賀原発1号機のスクラム信号は『中性子束高高』」(東電不正事件と老朽原発)が報告している。「制御棒が引き抜かれ,スクラム信号が出ても制御棒が入らなかったのは、閉めてはならない弁(F101弁)を誤って閉めたからと言われていますが、今、静岡地裁で係争中の浜岡原発運転禁止請求事件でも、現場検証の際にこの弁が問題になりました。原告側はこの弁を閉めたらスクラムがかかっても制御棒が入らないこと、なのに弁には閉止禁止のふだがなかったことを確認しています」

 志賀原発1号機で起きた臨界事故がどれだけ危険な状況だったか。炉内中性子束のグラフを入手、公開しているブログがある。「これが志賀原発のモニターのコピーだ!~手書きで『点検』と姑息な隠蔽工作!」(情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士)を見ると中性子量が激増して振り切れている。15分間に12回の警報音が中央制御室で鳴り響いた、恐るべき事態が想像できる。無事に収束できて幸運としか言いようがない。グラフには国の専門官に見せて問題にならないよう「点検」と書き込んで、実際に起きたことではなく機器点検中のエピソードのように誤魔化す工夫もされている。こうした記録は事故前後の部分だけ削除されて、北陸電力には残っておらず、職員が個人で持っていたという。

 事故隠蔽は発電所長が判断し、現場だけで行われたことになっている。伝えられている動機は、2号機の着工を間近に控えて影響を心配したという。それだけだろうか。ブログではさらに踏み込んだ考察がある。

 「志賀原発の制御棒脱落=臨界事故はもっとも危険なものだった」(薔薇、または陽だまりの猫)は経緯をまとめて訴訟対策だったとみる。「93年に運転開始した志賀原発は当初からトラブル続きですが、この前年の98年には復水器内部の防熱板が落下し、復水器細管を破損するという事故を起こしました」「市民団体は志賀原発の差し止めを求めて訴訟を起こしていて、この時は名古屋高裁金沢支部の判決が下された直後でもありました。98年9月の判決です」「裁判は最高裁に上告されており、臨界事故の時はまだ棄却決定はされていませんから、この事故が明らかになっていれば実質審理が再開され別の結果になった可能性だってありました」「この臨界事故は、裁判で原発の固有の危険性として主張している『制御棒挿入失敗は安全審査での想定を上回ることが起こりえる』『制御棒挿入失敗は人為ミスや操作ミスでもあり得る』『ECCSも機能しない可能性はある』という主張がそのまま実際に起きたものであり、1号機訴訟でも2号機訴訟でも原告側が主張していた内容に沿った事故であったわけです」

 経済産業省の原子力安全・保安院は国会で「誤操作によって制御棒の歯止めが外れ、引き抜かれた」と答弁し、構造上の問題ではないとの立場だが、この弁明は通らない。原子力で言われてきたフェールセーフの原則は、どこに行ってしまったのか、説明する義務がある。起きうる事故の想定も従来とは全く違ってしまうはずだ。安全審査の有効性が根底から覆ろうとしている。

※続いて「東電福島第一・7時間半もの臨界事故に驚く」を執筆。
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by ydando | 2007-03-21 17:57 | 科学技術
奇怪、不可解、Windows Vista肥大化 [ブログ時評76]
 1月末の「Windows Vista」発売から1カ月、パソコン売り場からは旧バージョンOS「XP」は消えかけているのに、Vista購入者のブログからは「使い物にならない」「旧バージョンに戻した」などの発言が巻き起こっている。私も新OSに魅力を感じつつも、大学に入る子どものためにはXPパソコンを駆け込み注文したばかり。もともと基本ソフト(OS:Operating System)を数年ごとに改良、新商品として売るのはマイクロソフト社の都合でしかない。今回、これほど肥大化したOSから聞こえてくる誤動作、バグは相当に奇怪であり、「超・複雑化したシステム」への「人知の限界」を感じさせなくもない。

 まず、全体の普及状況。3月7日の記事「インターネットコム株式会社とJR 東海エクスプレスリサーチが行った Windows Vista に関する調査」が「官公庁、自治体、民間企業に勤務する20代から60代の男女330人」に聞いたところ、「自宅 PC の OS が『Windows Vista』と回答したのはわずか0.9%だった。また、勤務先で同 OS が導入されているところは皆無だった」。日本より急速に普及と思われた米国でも意外に緩やかと伝えられる。

 プロ級ではない、普通のパソコン利用者と思わしき方あたりから紹介する。「Vistaはなかなか手ごわい」(水俣の街の片隅から)は「新OSはそれなりに素晴らしいが、あえて言えば、私のような使い方の範囲では改めて新調することもないようだ」「バグもあるようで、私のホームページが誤作動してしまう。インターネット・エキスプローラの問題かもしれないが、前のパソコンでは問題なかったのだから、やはりバグと言うべきなのだろう。ここしばらくはそんな状態が続くだろうから、旧バージョンで確認を取らなければ更新も危ういものになりそう」

 これが3月10日付の記事。旧バージョン機が、まだ側にあれば辛抱ができなくもないが、更新したウェブをダブルチェックしなければならないとは……。

 周辺機器メーカーから出た奇怪な情報で最も気になったのが、キヤノンの「デジタル一眼レフカメラ『EOS-1D』、『EOS-1Ds』をご使用のお客さまへ」で2月28日付。「デジタル一眼レフカメラ『EOS-1D』、『EOS-1Ds』で撮影したTIFF(RAW) 画像データを一定の条件下で回転または編集した場合、オリジナルの画像データが消失することが判明いたしました」とあり、回避方法としてはWindows標準ソフトを使わずに、キヤノンの標準添付ソフトを使うように求めている。

 こうなると、際限がない「特殊」モグラ叩きゲームになると思われそうだが、実は、ごく普通の場面でバグが続出している。

 「Vistaのバグ(その1)ファイル名を変更できない!」(UsefullCode.net)は、ウインドウの大きさとの相対関係でファイルに長い名前を付けてしまうと変更ができなくなり、後でウインドウ内をクリックするとファイルが見えなくなってしまうと報告している。さらに「Vistaのバグ(その2) 残り時間が表示されない!」は「ファイルの移動やコピーに関するバグとして致命的なのは、ファイルをエクスプローラー間でドラッグ・アンド・ドロップした直後にエクスプローラーのウインドウを閉じたときに、移動やコピー操作が勝手にキャンセルされてしまう」「この現象はタイミングの関係なのか、いつも起きるというわけではないため再現するのが難しい」と述べる。

 これまでに取り敢えず修正されたバグは多数あるようだが、そんな機械の気紛れに、実務をしている人間がお付き合いしている暇があるのだろうか。

 NIKKEI_NETの「Vista講座最終回・今夏、今冬、来春…Vistaの本当の買い時は?」は、どうしてVistaが未完成に見えるのかを考えて「ムーアの法則」(CPUなどコンピューターパーツの性能は、18―24カ月ごとに倍になるという、米インテルの共同創業者ゴードン・ムーアの説)を引き合いに出しWindows Vista構想「2000年の登場当初は動作周波数が1.5ギガヘルツだったPentium 4は、2007年に約9ギガヘルツで動作するはずだった。しかし2000年代後半からは、消費電力あたりの性能が重要視されるようになり、現在でも最高クロックは3ギガヘルツ前後に留まっている」。そのために予定された多くの機能が見送られて途中から構想を変更、再開発に至った。「この方針転換がVistaで見受けられる数多くのバグに影響を及ぼしている可能性はありそうだ」とみる。

 こうした専門家たちは、「実用段階」のバグの数々を、お金を払って購入したユーザーの「協力」で潰した挙げ句、1年後くらいには出される改訂版OSをお買い得と考えているようだ。「XP」はパソコンの主記憶メモリーから100MBくらいを占拠してしまうと言われた。「Vista」機では主記憶メモリーが1000MBでも足りないと言われていることから、数百MBを独占してしまうのではないか。これは数億の命令が書かれたシステムがあるのと同じことだ。

 この巨大システムの中で全てが整合して行われる保証をどう取り付けるのか。家庭に入り込んでしまうパソコン――やがては家庭内機器全部の制御も想定されているだけに、「高機能化=複雑化」とは違う道を考える時期に来ているのではないか。
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by ydando | 2007-03-12 00:37 | 科学技術