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by ydando
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今年の日本映画はやっぱり『フラガール』
 第19回日刊スポーツ映画大賞『フラガール』が作品賞、主演女優賞、助演女優賞、新人賞の4冠を得ました。日本アカデミー賞でも10部門で優秀賞を受け、映画の賞レースはこれから続きますが、今年の日本映画では、やっぱりこれが最高でしょう。

 李相日監督のインタビュー記事にも出てくるように、結果が分かっている話で、あれだけ魅せてくれた松雪泰子・富司純子・蒼井優の女優陣、監督の力に脱帽です。テレビ局がかんだ妙な商業主義が無かったのも清々しかったと思います。
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by ydando | 2006-12-30 00:21 | 文化スポーツ
奈良の転送妊婦死亡の病院が産科停止へ
 重体の妊婦が19もの病院に転送を断られた奈良県南部の大淀町立病院が、分娩の扱いを来春から止めるそうです。アサヒコムの記事は、この妊婦を担当した1人しかいない常勤の産婦人科医(59)が退職、後任が補充できず「年間150件以上のお産を扱っていた。宿直勤務は週3回以上で、妊婦が死亡した後、『この病院で20年以上頑張ってきたが、精神的にも体力的にも限界』と周囲に漏らしていたという」と伝えています。マスコミ報道でいわれのない批判を浴びたことも含まれるのでしょう。これで奈良県南部から産科が消えます。

 気になって周辺を探していて「産婦人科医の終焉 分娩取り扱い終了のご案内」(勤務医 開業つれづれ日記)で、大阪の民間病院が産科を止める「宣言」をしていて、国の医療政策や患者のありようを痛烈に批判しているのを知りました。「厚生労働省看護課長通知によって、看護師による分娩時の内診が禁止されたこと」「信頼関係のある患者様ばかりではなくなっていること」「産科医療のシステムが破綻しつつあること」と3つの理由を挙げ、さらに詳しく論じています。

 6月に書いた「医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59]」が急速に形として見えるようになってきていると思えます。深刻ですね。転がり始めたら加速するばかりです。止めようとするなら、とんでもなく大きな力、つまり政策の大転換が要りますが、政府にその気力があるとは思えません。

【12/23訂正補足】
 NHKのニュースを聞き違っていました。常勤の産婦人科医は辞めるのではなく、産科を止めるというのが正確でした。婦人科は続けるのですが、産科をやってもらえる医師が見つけられないので、分娩取り扱いが出来なくなるのでした。
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by ydando | 2006-12-22 14:36 | 食・健康
2011年、世界1億7400万人が携帯でSNS参加
 米国の調査会社がタイトルのような予測をしているとITmediaが伝えました。「携帯端末を使ってMySpaceやFacebookなどのソーシャルネットワーキングサイト(SNS)に参加する『モバイルコミュニティー』参加者は、現在は世界で約5000万人だが、2011年には1億7400万人に達する見通しだという」。先日の「携帯電話の使われ方:世界と異質な文化 [ブログ時評70]」と関連する話です。

 5年後にこの数字が大きいと見るか、小さいと見るか、どうでしょうか。はっきり言って、海外では携帯端末の高機能化はなかなか進まない――というのが、この予測の意味ではないでしょうか。一方、日本では「mixi」が携帯電話端末でもアクセスできるようにしたら、モバゲータウン以上のペースで登録者を集めているそうです。いよいよもって、内と外とでは違う様相ですね。
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by ydando | 2006-12-20 21:27 | 社会・教育
警察・司法の功利主義が歪ませる社会(Winny判決考)  [ブログ時評71]
 数々の公・私文書をネット上に流出させ、有名になりすぎてしまったファイル交換ソフト「ウィニー」――その開発者である金子勇・元東大助手に、著作権法違反(公衆送信権侵害)幇助で罰金150万円(求刑懲役1年)の有罪判決が京都地裁で出された。同種ソフトの事件で世界各国では開発者が有罪になったことはなく、日本の社会を歪ませていく警察・司法の功利主義の流れとして際立つ。福島県立大野病院・妊婦死亡事故での産婦人科医逮捕・起訴と並んで2006年を代表すると思える。ささやかな功名が不可逆的な社会変化を起こし、報じるマスメディア側はばらばらで、動いていく事態を見送るばかり。

 裁判を傍聴してきた佐々木俊尚氏の「Winny裁判、罰金刑は重いか?軽いか?--自己矛盾を抱えた判決」が問題の本質を整理している。争点はふたつで「Winnyというソフトそのものが著作権侵害を助長させるものであったのかどうか」と「ソフトを公開した開発者、金子被告の意志の問題」である。

 氷室真裁判長は「Winnyというソフトそのものが犯罪的であるという検察側の主張は、却下し」その一方で「弁護側が一貫して主張してきた『開発は技術的検証のためで、(著作権違反を助長させる目的だったとする)供述調書は検察官の作文』という訴えを、完全に一蹴した」。ところが「ただし、Winnyによって著作権侵害の蔓延を積極的に企図したとまでは、認められない」と転じ、量刑理由では「被告は著作権侵害が蔓延することを目的としたのではなく、新しいビジネスモデルを生み出させるという目的をもっていた。経済的利益を得ようとしたわけではなく、実際に利益を得たわけでもない」と罰金刑にした理由を述べた。

 佐々木氏はこの後、「新しいビジネスモデル」を検討して「現行の著作権法、現行の著作権保護システムを崩壊させようとするのであれば、その行為は法違反とならざるを得ない」として有罪を妥当とする。そうだろうか、刑事裁判とは量刑理由のところまでであり、私は無罪を選ばざるを得ないと考える。つまり、この論理構成では「幇助」の適用は無理だ。

 「Winnyの判決について思うこと」(gdgd日記)も「正犯がWinnyを著作権違反行為に利用することについて、正犯を特定しての個別具体的な認識までは必要としなくても、何らかの形で正犯との紐帯が窺えるような主観的態様を必要とするべきではないか。本件のような技術の提供行為は、不特定多数者の利用を前提とするものであることから、この程度の主観的態様で違法性が認定されるのなら、幇助犯になりうる範囲が限りなく広がりかねない」との危惧を表明している。同様容疑で誰かが逮捕されたら、また幇助になってしまうのが妥当かとも問うている。

 求刑懲役1年に対して罰金150万円の判決は、罪状認定を大きく割り引いており、有罪とすることに抵抗感が大きかったことを物語る。それでも裁判官が有罪としたのは、現在の裁判官たちが考えている常識的な範囲から逸脱したくない、変わり者の判事と見られたくない思いの故だとみる。11月30日に「住基ネット制度の適用の強制はプライバシー権を著しく侵害する」と違憲判決を出した竹中省吾大阪高裁判事が、3日後に自宅で首をつった状態で発見された。退官が間近い判事に何があったか、今となっては知ることが出来ないが、違憲判決さえ書かなければ死ぬことは無かったのかも知れない。

 安きに就く司法は国民の間に失望の輪を広げていく。「技術者潰し?」(はっつんの日々)は「ソフト開発者はどのように使われるか…違法なことに使われる可能性はないか…常に考えながら開発をしなきゃいけませんよね?」「こんな事まで考えて開発しなきゃいけないなんて作業する気も萎えますよ」「こんな事をしていたら、日本発の技術なんて生まれやしませんよ」と主張するし、「司法は腐っている」とまで述べるブログも散見される。工学部出身でエンジニアになりかけた私には、モノを作り上げるのに一生懸命な技術屋に影響評価まで負わせるのは無理だとの指摘は理解できる。最大手紙社説の結び「技術者が委縮するという指摘もある。だが、同種ソフトの開発は止まっていない。心配は無用だろう」には、問題が違うと申し上げよう。

 もともとウィニーの摘発は、ハイテク犯罪を追う特別組織を立ち上げたばかりの京都府警が狙いを付け、新分野開拓として名を上げた。福島県立大野病院の事件でも業務上過失致死と医師法違反の罪で立件した警察署が新しい領域を拓いたと表彰され、他県の警察にもこれに習う動きがある。大量出血の帝王切開に「いちかばちかの手術では困る」と評した福島地検。少しでも難しい妊婦は大きな病院に送られてパンク状態を招き、産科医療崩壊を後押ししているのだが、知らん顔を決め込んでいる。日本医学会は12月初旬「声明文」を出して「結果責任だけをもって犯罪行為として医療に介入することは決して好ましいと思いません」と抗議した。

 急成長の結果、約2000億円で米Googleに買収された米YouTubeは、動画の共有サービスをしており、テレビ番組からの違法なコピーなどが後を絶たない。もし日本にサーバーが置いてあったら早期に摘発されて、こんなに大きくなれなかったろう。企業や研究開発の活力面でも、国民の医療や暮らしの面でも、国家権力が勝手にどこまでも踏み込んで良いものではない。可罰的違法性があるか、考慮すべき領域が広範囲にあることを認識しなければならない。

※関連=「医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59] 」
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by ydando | 2006-12-17 16:14 | 社会・教育
ブログを扱う紙媒体の論壇コラムは
 総合誌の新年号が出揃いました。時間があるとめくっていて、はたと気付きました。中央公論から「ブログ・ハンティング」が消えてしまいました。10月11日付け読売新聞の「ブログ、大きな影響力」で「いまや、紙媒体を中心とした論壇は、ブログを無視できない状況にある。『世界』は総合雑誌としては初めて、2005年4月号に『ブログ時評』を開始。『中央公論』も同10月から『ブログ・ハンティング』を連載している」と書かれたのに、ちょっと残念です。

 一方、今年4月から、朝日新聞文化面に毎月1回、稲葉振一郎さんの「ブログ解読」が連載されています。私のところと同様なタイプで「ネット言論」にフォーカスしています。11月は「『炎上』という名の暴力」、12月は「『半閉鎖』の中の無防備」といった具合です。論じられる中身が何か、想像するのは簡単ですね。

 当方の「ブログ時評」は、しばらくはこのままでしょうか。『世界』1月号には世界規模での漁業崩壊が見えてきた [ブログ時評69]から転載しました。最近、事情があってインタラクティブな部分を抑えていますが、仕事との整合を付けているところです。来春には状況が変えられるようにしたいものです。
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by ydando | 2006-12-15 14:45 | ジャーナリズム
携帯電話の使われ方:世界と異質な文化 [ブログ時評70]
 国際電気通信連合(ITU)が12月初めに公表した「2006年版インターネット報告書」に並んだ指標から浮かぶ日本のイメージは何とも不思議なものだった。マスメディアがどの指標を取り上げるかで現れる姿が変わってしまう。新聞をいくつも購読している人なら、同じ報告書がソースだと思わなかったかも知れない。インターネット利用者は「米中に次いで世界3位」ながら「普及率は50%で世界22位」に過ぎなかった。携帯電話に焦点を当てれば「携帯電話普及率、日本は55位」と「第3世代携帯、日本が契約者数で世界トップ」が並び立っているのだ。

 報告書の原本にもリンクしている「日本のネット人口はもっと増えていいはず?世界のネット利用統計」(ミーム吉田のネットニュースクリッパー)は「人口比からするともっと普及する余裕はあるはず」と書いている。指摘にあるように携帯電話まで含むのだから、言われがちなキーボードアレルギーなど関係が無くなる。だが、使われ方が海外と大幅に異質なのではないか。

 携帯電話利用者は20億人に達し、今後2年すれば世界中で2人に1人が使うようになると予測されている。普及率トップのルクセンブルクは人口100人当たりで「155」もの契約があり、日本の「74」は遠く及ばない。海外では通話と簡易メールの単純機能に特化して「使い捨て」くらいの感覚が普通とも聞く。これに対して国内では「お財布機能」「音楽再生」「GPSナビゲーション」「ウェブ閲覧」「高画素数カメラ」に、今年はテレビが見られる「ワンセグ」まで加わった多機能・高機能オンパレード。

 「台湾の学生の半数の毎月の携帯使用料金は」(香港GSM/3G携帯情報局BLOG)は携帯電話とパソコンに対する、アジアでの感覚の差をこう伝えている。「台湾のニュースなどを読むと、『台湾の中高生の携帯電話(PHSも含むのでしょう当然)の所有率は90%で、毎月使っている料金は半数が500元以下』とのこと。すなわち平均的な学生は月2000円以下しか使っていないわけです」「若者だって普通にPCいじっているのがアジア各国ですから、『携帯電話の狭い画面でしか見れないものにお金を払う』より『PCの大画面で無料を楽しむ』というのが現実ではないでしょうかね」

 高速通信が出来る第3世代携帯電話の契約者数は2005年で世界6000万人。日本が1779万人でトップであり、2006年になってさらに加入者が激増している。11月末の電気通信事業者協会の「契約数」から計算すると5800万を超えていた。国内では、この第3世代携帯電話契約者だけを対象にした携帯電話専用のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が力を持ち始めたのも2006年の特色だ。

 「モバゲータウンは次世代のミクシィになるのか?」(FPN)が紹介している「モバゲータウン」がそのひとつである。9ヶ月で会員200万人を集め、現在も毎月25万人ずつ増やしているというから驚く。「今回、本格的な十代(中高生+大位)を狙っているSNSが携帯電話SNSと言う形をとって現れました」「日本型SNSの実名登録+招待制は最近、限界が見え始め、陰りが出始めています」「ビジネスの視点から見れば、重要なのは実名か匿名かでは無く、参加者の身元確認や個人情報保護です。それが出来ないならばマイスペースやモバゲータウンのように自由登録制にすれば良いと考えられます」

 モバゲータウンは携帯電話会社の外にある「勝手サイト」だが、携帯電話会社自身もSNSに手を着け始めた。KDDIが手がけている「EZ GREE」がそのひとつで、11月にスタートして1週間で会員が10万人を突破したという。

 そのSNSでいったい何をしているのか。「絵文字も空気も読めません 10代がハマるSNS『モバゲータウン』を28歳(♀)が探検した」(ITmedia News)が好適なルポになっている。入会したらメールの嵐に見舞われ、「モバ彼・モバ彼女というバーチャル恋人で、メッセージ交換や掲示板・日記のコメントのやりとりだけで『付き合う』」関係を見る。「モバ家族」「モバ学校」まであって「携帯電話は、PCよりも身近で個人的なツールだ。そこで行われているコミュニケーションも、PC向けインターネットよりもずっと身近で親密で本音ベース。モバゲータウンでは、暇なら暇、寂しいなら寂しいと格好付けずに言ってしまえて、だべったりゲームしたりして時間をつぶせる。学生時代のサークルの部室のような印象だ」と報告している。

 2002年に私の連載第118回「iモードは日本でしか成功しない?」で日本の特徴として「急激な変化や行動を容認する『小金を持った、軽薄で好奇心に満ちたデジタル・ディバイド層の大量存在』は非常に稀である。その結果が大変な変化であっても気にしないのは、本物の保守主義が存在しない日本だからだ」と書いた。その最後に引用した英国調査会社の予測では、iモードサービスが2006年までには西欧でも普及するはずだったが、現在も苦戦が続いている。どうやら相当に深いところから世界と異質な文化を、我々は持っているらしい。
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by ydando | 2006-12-10 23:08 | 社会・教育