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by ydando
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遅すぎたが民主党は行き着くべき先に
 「民主党『送金メール』問題と情報源秘匿 [ブログ時評49]」を3月5日に書いてから、民主党の迷走ぶりに呆れ果てていました。月末の今日になって、前原代表が渡部国対委員長の言うサムライぶりを発揮して、一連の騒動に決着をつけました。送金メールの仲介者名を知らせたばかりか、自民党といっしょになって証人喚問まで応じ、そこでいい加減なドタバタ経緯が暴露されれば、民主党の名はもっと傷つくのは見えていたのです。代表が辞任することで辞職を渋っていた永田議員も辞め、証人喚問もなくなりました。

 今回の危機管理では鳩山幹事長も駄目さ加減をあらわにしました。提供者から騙されたと、自分も被害者のように振る舞うなんてあり得ないことです。何故かは、上記ブログを見て下されば一目瞭然です。永田議員の政治生命も終わったのではないでしょうか。一党の代表が退陣を決めるまで、自分の出処進退を決められなかったのでは政治家ではないでしょう。
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by ydando | 2006-03-31 20:40 | 政治・経済
原発震災の可能性を裁判所が認めた [ブログ時評52]
 原子力発電に反対する人たちの間でも「原発震災」は最近になって使われるようになった言葉である。北陸電力の志賀原発2号機(出力135万キロワット余り)に対して、金沢地裁が運転差し止めを命じた判決は、原発震災の可能性を認めたものだ。読売新聞3月25日付け社説は「科学技術を否定するものだ」と見出しでびっくりさせたが、最後まで読むと耐震設計審査指針が時代遅れになっていることは説明し「政府の原子力安全委員会は5年近く前から見直しを検討中だ。だが、専門家の間で議論がまとまらない。今回の判決はその隙(すき)を突かれた、とも言える」とし、何の事はない、科学技術の否定どころか、根拠ありではないか。

 「長年おぼろげながら抱いてきた不安と疑問。これは司法が的確な判断と根拠を持って答えた歴史的判決だ!」「ろくな見識もない僕でもここ10年余りに起きた想定外の巨大地震を思った時、国の安全神話への疑問はつのる一方」と「驚き!原発停止命令!」(ネイティブの足跡)は賛同している。もちろん「行政の裁量範囲にまで立ち入って」と非難する人もいる。しかし、この問題での国側の瑕疵(かし)は大きい。

 独自補強に入った中部電力を除く電力各社も内心では、新しい耐震設計審査指針が決まれば相応の補強工事をする覚悟はしているはずだ。新しい指針が決まらないから、どれだけの上積み補強をすべきか判断できないでいる。だから最新型で、運転を始めたばかりの志賀原発2号機ですら、基準は現行のままだ。「しんぶん赤旗」の「志賀・運転差し止め判決 全原発への警告」に、「S1(設計用最強地震)」と「S2(設計用限界地震)」を超える地震が女川原発で観測された例と、各原発の耐震設計で用いられている地震の強さ一覧表がある。30年以内に起きると想定されている宮城県沖地震よりも小さな昨年8月の地震で、女川原発のS1=250ガルとS2=375ガルが突破された。

 巨大地震、東海地震への切迫感から中部電力は、S1=300ガル、S2=450ガルでしかない浜岡原発1・2号機を止めて、1000ガルに耐えるよう補強することになっている。1月の中部電力プレスリリース「浜岡原子力発電所1・2号機の停止期間の延長について」で、「1・2号機は3~5号機に比べ工事規模が大きいこと、および1・2号機共用排気筒建替えに伴う屋外施設の改造設計が必要なことから、工事着手時期が遅れる見通しです」とこれまで3年で終わるとしていた工事が5年間にも及ぶと発表している。これだけ長期に原発2基の運転を止めても必要な補強との判断がある。

 今回の判決を書いた裁判長は過去にも変わった判決を出している。そうであっても動いている商業用原子炉に、初の運転差し止め判決を書くのは大変なことだ。上に述べた現実の動きに加えて、国の地震調査委員会が原発に近い邑知潟(おうちがた)断層帯について「一体になって活動すればマグニチュード7.6程度の地震が起きる可能性がある」と報告したことなどが背中を押したのだろう。もう一つ住民が勝った、高速増殖炉もんじゅ控訴審判決でも裁判官は、3冷却ループの独立性が厚い壁で保たれる建前なのに、0.5気圧の水素ガス爆発で吹き飛ぶ鉄のドアで仕切られている現場を見て、安全審査に問題があるとの心証を形成した可能性が高い。本質的に臆病な裁判官を踏み切らせるには、いくら論理を重ねるより、現実の重みが必要である。

 東海地震で迫る原発震災の危険を訴えているグループの一人で、かなり勉強をしているらしい「SENZA FINE」が「志賀2号は、わりと耐震設計なのだ!」で面白い見方をしている。「志賀原発2号というのはABWR=改良沸騰水型原子炉です。何が『改良』されたかというと、一番大きいのがまさに『耐震性』なのだと思います」「そのABWRが『地震の想定が過小』ということで停止判決を喰らうというのは皮肉なものです」「浜岡原発は5号機がABWRです。稼働中の従来型BWRである3号と4号はぜったいに止めないといけません」「この2つは地震の無いアメリカの設計をそのまま踏襲しているのです」

 絶対に起きてもらっては困る原発震災。この判決が大きな警鐘になっていることは間違いない。

【参考資料】
原発:電力会社と国の常識外れ [ブログ時評16]
第130回「もんじゅ判決は安全審査を弾劾した」
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by ydando | 2006-03-26 21:54 | 資源・環境・災害
日本野球のDNAが堅守キューバ崩した [ブログ時評51]
 WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)決勝の日本VSキューバ戦は、野球の面白さ、勝負の綾、何とも言えぬ物語性を満喫させてくれた。トリノ五輪で荒川静香選手が金メダルを取った時とは違う、組織立った団体スポーツならでは味わいだ。一、二の名選手がいて達成できるものではないだけに、大リーガーが多数参加した大会で初代王者に輝いた意味は大きい。

 松坂も、イチローも、松中も、福留も、大塚も良かったのだが、私は9回表1死1塁、西岡のプッシュバントに痺れた。8回裏に6-5まで詰め寄られ、流れはキューバに大きく傾いた。9回、三塁手の送球エラーで生きた先頭バッターを二塁に送ろうとするが、三塁手が名誉挽回と突っ込んで猛烈送球で二封。勢いが削がれた時に出た奇策だった。プッシュバントで球は測ったように一塁手、二塁手、投手の真ん中に転がった。その瞬間、異国の球場に甲子園の風が吹いたと感じた。高卒からプロ入りした21歳、西岡には突飛なアイデアではなかったのではないか。日本野球のDNAがキューバ内野陣の堅守をこじ開けた。後はイチロー、福留のタイムリー打が続くばかり。この手のプッシュバントは全盛期の箕島高校が駆使して有名だ。

 米国人審判の誤審が続いて嫌な思いもした。一時は王監督が「99%ダメ」と思うところまで行った。少なくとも米国戦は勝っていたはずであり、失点率の細かい計算などしなくて楽々、準決勝進出のはずだった。運営側のラソーダさんが自分のブログ「Brutal」(Tommy Lasorda's World)で、この審判は長年にわたり噂話のタネになるだろうとした上で「大会を通してプロらしい、品位ある身の処し方をしている日本チームに敬意を表する」と書いてくれたのを見て、ちょっと救いを感じた。

 「平々凡々」(すちゃらか日記)が「この前の荒川選手にしても、WBCの日本チームにしても。一度、駄目だって挫けてから、立ち上がる姿が素晴らしいね。ああ、私もそういう強さが欲しいなぁ。しみじみ。スポーツって励まされるなぁ、本当に」と書く。その気持ちは広い範囲の人のものだろう。

 イチローが開幕前に「向こう30年は日本に勝てないと思わせる勝ち方をしたい」と発言し、韓国側は「妄言」と猛反発、日本に勝つたびに嘲笑する論調の記事が流され、イチローには球場で大ブーイングが集まった。終わってみれば「日本戦敗因分析…『守りの野球』の崩壊」(朝鮮日報・日本語版)が「投手陣は韓国野球の柱だった。6試合のチーム防御率1.33、1ゲーム当たり平均2点も許さない鉄壁の守りを見せた」けれども「打線は平均以下だった。この日の試合前まで、参加各国のなかでチーム打率10位(0.262)、平均得点も4.33でしかなく、平凡なレベルだった」と総括するように、投手陣が崩壊すれば勝負にならないチームだった。日本の高校チームは韓国の100倍もあり、この底辺から差が出ない方がおかしい。イチロー発言はこうした事情を前提にしたものだろうし、自らとチームを鼓舞したのだろう。

 「心はやっぱり日本人-イチロー 」は「『冷静なイチロー選手』像はアメリカでやっているから自然に出来てしまった人間像なんじゃないかな」「今、イチロー選手は、日本人として、日の丸を背負って、同じ日本人の仲間と喜びや悔しさを分かち合えることそのものをすごく楽しんでいるんじゃないかな?なとど勝手に想像している」と心意気を推察する。野球人生で最も屈辱的な一日と、最高の一日をともに味わったイチローは、マリナーズでプレーする時と確かに違っていた。決勝の後、松坂が「背中で引っ張るとはこういうことだと判った」とコメントしている。

 朝鮮日報は「日本、キューバを10-6で下し初代王者に」で「日本はメジャーリーグなど世界各国のプロスターが参加した今大会に優勝し、名実共に世界一となった」と報じたのだが、この隣国では妙な嫉妬心がまだ残っているらしい。ソウルに住む女性ブロガーの「韓国でみるWBC」(蝶も花も夢をみる)が「今日の日本の勝利も韓国の報道では[日本、でたらめな対戦表とメキシコの助けで得た恥ずかしい『初代優勝』]になっちゃうわけです。なんか悲しい。どんな報道をするにしても悪意のある報道って悲しいな」と伝えている。事前に決められたルールの中で勝負をつけるのがスポーツである。我々も、つい感情に走る報道をすることもあるが、長く尾を引かないようにしたいものだ。
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by ydando | 2006-03-22 00:21 | 文化スポーツ
結局、落ち着くところに落ち着いたWBC日本4強
 WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)で奇跡が起きて、韓国に敗れた昨日は99%なくなったと思われていた日本チームの準決勝進出がなりました。メキシコが米国に2-1で競り勝ったためです。望みがなくなったメキシコが頑張るはずはないと思っていたけど、「準決勝進出の条件」(長かったり素晴らしかったり憂鬱だったりする一日 )で「可能性が完全に消えたと思われていたメキシコも、延長13回、3-0勝利という条件で、可能性がわずかに残っているようです」とあるのを見て納得しました。

 それにしても、本来、米国にはタッチアップの誤審が無ければ勝っていたのだから、4強進出は落ち着くところに落ち着いた形です。メキシコ・米国戦では、日本戦と同じ誤審アンパイアが、メキシコのライトポール直撃の本塁打を二塁打と判定しました。この大会は公正さに疑問ありと申し上げたい。日本の問い合わせへの回答も、米国監督から抗議される前に自主的に判定を覆そうと思っていたと木で鼻をくくったようなものでした。もしそうであっても、審判団が集まって協議するのが当然の手順なのです。
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by ydando | 2006-03-17 14:45 | 文化スポーツ
ウィニー対策で政府が使用中止呼びかけ?!
 とうとう政府は、安倍官房長官までがウィニー使用中止を国民に呼びかけた。情報流出を起こした愛媛県警は全職員の家庭まで回ってパソコンを点検、家族が使っているパソコンで見つかったウィニーを削除させる笑い話にまで発展している。この国の情報管理のあり方について「ウィニー禍が明かした低レベル情報管理 [ブログ時評50]」で警鐘を鳴らしたばかりだが、本質に気付くどころか、どんどんおかしな方向に進んでいる。流出ファイルを凍結するために、司法取引でもして開発者の協力を得るとか知恵はありそうなものだが、ほとんど意味がない使用中止呼びかけしか策が無いとは、いやはや……。
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by ydando | 2006-03-15 12:34 | 社会・教育
ウィニー禍が明かした低レベル情報管理 [ブログ時評50]
 元東大助手が開発したファイル交換ソフト「ウィニー(Winny)」による個人情報や機密情報の流出が拡大し、止まらない。「Winny個人情報流出まとめ」に流出一覧が収集され、警察8件、自衛隊4件など2005年末から急拡大したことが分かる。ウィニー開発者が著作権法違反幇助の罪で公判中ではあるが、ウィニー自体に違法性があると考えるのには疑問がある。ネット上でよく言われる喩えを引けば「出刃包丁を作った職人に殺人罪の幇助を問えるのか」である。情報流出もウィニーシステムに巣食うコンピューターウイルスが引き起こしているだけだ。流出させないよう管理するのが公的機関や企業の責務のはずで、自衛隊の作戦機密や刑務所の受刑者名簿、性犯罪被害者名を含む捜査資料までとなると、あまりにも低レベルな情報管理に、IT先進国とは恥ずかしくて自称できない気分だ。

 ウィニーシステムには平日でも30万台を越えるパソコンが接続と推定されている。互いにハードディスクの一部を提供し合い、巨大な記憶容量の空間が生まれる。参加者から提供されたファイルは、その空間を流れていき、入手希望者が多ければ盛んにコピーされて広まる。人気ファイルには音楽や映画、パソコンソフト・ゲームなどの著作権を侵したコピー類が多い。ウイルスが送り出すファイルは違う。「Winnyを利用した歴代のウイルス解説」で最も有名なウイルス「2005/03/20 仁義なきキンタマ TROJ_UPBIT.A」を拾うと「感染したPCのデスクトップのスクリーンショットやOfficeのドキュメントやOutlookやOEのメールファイル、 2chへのKakikomi.txt、Winnyの検索履歴と共有ファイル名を ZIPにまとめて勝手にWinnyにアップロードしてしまう」とある。パソコン内にある資料やメール類をまとめ圧縮パックして送り出してしまうのだ。

 大規模流出を起こした岡山県警などは「興味本位で入手する人が増える」との理由で、流出資料の説明を拒んだ。しかし、ネット上の掲示板では、どんどん明かされていき、流出を起こした警官がウィニーでアダルト動画などを手に入れていたらしいことも暴露されている。相談窓口を遅ればせで作った。

 事後対策で愛媛県警が全警察職員からウィニーを使わないとの誓約書を取ったことも、情報管理の常識からみてピント外れだった。「機密データが持ち出されるということ自体がリスクなのです」(8:05発準特急京王八王子行き)はこう批判する。「よく考えてもみてください。データが持ち出されなることがなければ、私用パソコンに何が入っていたって関係ないはずですよ」「逆にデータさえ持ち出してしまえば、その先にあるのはリスキーな世界です。誰かに盗まれるかもしれないし、どこかに置き忘れるかもしれない。ほら、自宅に着くまでに、パソコンの電源を入れる前までに、既にリスクだらけじゃないですか」。そして、民間では実践されている2原則「パソコン・記憶媒体の持ち込み・持ち出しは禁止」「外部接続するパソコンへの機密データの収納を不可能にする」を挙げる。

 ウィニーに流出したファイルは半永久的に漂流するしかない。情報が漏れたと恐れる人には「外出も出来ない」と閉じこもっている例さえある。3月11日に大阪で、ウィニー開発者が講演し「プログラムを書き換えれば流出ファイルの入手は止められる」と述べた。ウィニーシステムに管理者を置いて、管理者が問題ありと認定したファイルの固有番号を流し、入手禁止にさせてしまえるそうだ。時間を置くほどに流出ファイルの入手者は増える。海上自衛隊のファイルは3月初めで3400人以上が手に入れたとの推定すらある。しかし、開発者にこの改良をしてもらうのに「お願いします」だけでは済まないだろう。ウィニーの改良を著作権法違反幇助と捉えて摘発した出発点を見直さざるを得ない。そんな高度な判断が出来る仕組みが、この国の司法制度にあるだろうか。

 自衛隊は私物パソコンを業務に使ったのが問題として、7万台を緊急に配備することになった。それなりに理屈は通る。ところが、この関連で「2006年2月のWhat New!海自機密データ流出」(日本軍事情報センター)を読んで仰天した。「ある演習を取材したとき、隊員が頻繁に携帯電話を使って連絡を取り合っていた。そこで演習部隊の連隊長に『携帯電話の持ち込みは禁止できないのですか』と質問したら、『携帯電話がないと演習が成り立たなくなります』と言われた」「もちろん私物で、自衛隊が隊員に貸し与えた通信機(官品)ではない。戦争になれば携帯の電波は盗聴(傍受)され、発信位置が測定をされるし、敵から妨害電波をかけられると通話できない通信機である。でも、それ(私物)がなければ演習が出来ないという時代なのである」

 実際に戦争になって欲しいとは決して思わないが、国家レベルから時と場合に応じた情報管理が誤っていると言うしかない。
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by ydando | 2006-03-12 20:17 | 社会・教育
民主党「送金メール」問題と情報源秘匿 [ブログ時評49]
 総選挙の惨敗から盛り返し「4点セット」で小泉政権を追い込もうとしていたはずが、ライブドア・堀江前社長の「送金メール」が虚偽と判明し、民主党への信頼感が一気に吹き飛んだ。記者会見で永田議員が疑惑の存在に未練を残し、きちんと一度謝れば済むことを何度も謝らなければならなくした手際の悪さに加えて、最後の幕引きに至っても幹部たちの言動は不可解だ。前原代表は「メール情報の提供者は、守るべき立場の方ではない」、鳩山幹事長は「党にとって加害者だ。法的措置を取ることも考えないといけない」と述べ、氏名公表も検討するとした。たとえ悪意で持ち込まれたとしても、疑惑情報を使う決断をしたのは民主党であり、情報源の公開は大政党のトップが口にしてはならないはずだ。

 3000万円を自民・武部幹事長の次男に振り込めと指示した疑惑メールの真偽を、衆院予算委員会で追及に立った永田議員が確かめる作業を怠ったことに、失態の原因、全てがある。当のメールがどんな経路で送られたかなどを示すヘッダー部分を入手していないどころか、発信元と受信者のメールアドレスを黒塗りにした印字メール本文しか手に入れていなかった。虚偽ではないかと騒がれ始めてから民主党が手に入れた黒塗り無しのメールでは、堀江氏が特別の場合に使うと説明された発信元アドレス、指示を受けたとされた受信者アドレスのいずれにも、情報提供者名を思わせる同一アドレスが書かれていた。公表は黒塗りでしか出来ないとしても、何が書かれているのか確かめないで本物であるとの心証が形成されるはずがない。それなのに元記者の説明を裏取りをしないで信じた永田議員と、複数の目で確かめて個人の思い込みをなくす指示をしなかった野田国対委員長は決定的なところを踏み外した。

 「★送金メール問題で民主党が終わった・・・★ 」(Do It Yourself!!)も「もっとも情けないのはメールの情報の『ウラ』をとらず文面をそのまま鵜呑みにしていたこと。そして深刻なのは党代表がそれを『確信の持てる情報』などとしていたことです」「個人的には今回の問題は単なる『確認ミス』というよりももっと深刻な根本的な民主党の問題があるような気がします」「読み解くカギは『実務力』の有無だろうと思います」と、疑惑情報の処理にまつわる力量への疑問、根の深さを指摘している。

 そこで、「しかりしろ民主党2」(牛仙人のひとりごと)が「民主党が公党としての責任を果たすためには、まず真相を究明することだろう。まずメールを永田議員に持ち込んだフリーライターに対する追求は法的な手段を含めて行うべきだろう。相手が弁護士をつけているからなのかいまだに実名すら明らかにしていない。しかしこれだけの騒ぎを引き起こした責任がこのフリーライターにはあるはずだ」と求めるような発想がブログ中に広まっている。テレビに引き出せ、とまで言う、名の通ったブログさえある。

 もちろん、そんなワイドショー番組の作りで済む問題ではないと理解している人たちもいる。「『責任』について」(=日々是口実=)は「『メール問題』に関してはまず『ネタ元』が信用できる、という理由でメール自体の真偽についてを把握しなかった、というのが無責任そのもの。少なくとも黒塗りのない元のメールを入手して、本物と信じるに足りる裏づけを取って質問に至るのが当たり前でしょう」「本日現在、民主党では『ネタ元』への法的措置も考えている、ということですが国会の場に出す前に真偽をしっかり確認しておけば、こんな騒ぎに至らなかったことを考えれば、単なる責任転嫁としか思えません」と厳しい。

 情報源秘匿はジャーナリストにとって自明の理だ。言論の自由とのかね合いがあって、政党が疑惑追及する材料にする場合と全く同じ扱いにはならない。しかし、目の前の情報提供者を守ることが、未来の情報提供者を呼び寄せる構造になっている点では同一である。完全無欠で非の打ち所のない情報でなければ、その欠陥を後日、責められて公表されるような相手に、今後、誰が重要な情報を持ち込もう。

 その理屈に気付かない民主党である。「個人に責任を押しつける『責任ある政党』」(バビロン7の東奔西走狂詩曲)は「自分の党が不利益を被ったからって情報提供者を訴えようとするようでは、今後真っ当な内部告発やら暴露情報やらが民主党に流れることはなくなるでしょう。藁をもすがる勢いで情報を提供しても、民主党内部のミスが情報提供者に跳ね返ってくるようでは誰も近寄りたくはありません」「政党という組織が一介の三流ジャーナリストに対して赤っ恥をかかされた恨みを晴らそうとしているようにしか見えません」と不当さを指摘する。

 前原代表が頼んで回っても引き受け手がなかったため、新たに国対委員長になった長老・渡部氏が、民主党全体を仕切る「代表選の前倒しも」との発言を始めている。前原代表の9月再選が無くなった程度では、民主党の危機は救えないと長年の政治感覚で判断したとみる。
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by ydando | 2006-03-05 17:33 | 政治・経済
荒川選手取材に見えたメディアの国際落差
 冬のオリンピック終盤、荒川静香選手の金メダル獲得でフラストレーションが解消された方が多いでしょうが、私のようにネットとともにマスメディアをウオッチしている人間には逆に大落胆の事件でした。翌日、新聞・テレビが横並びで「金メダルを取ったら忙しくて眠れない」発言を報じたのに内心、引っかかって、荒川さんは本当にこんな能天気な言葉しか発しなかったのか、調べに行きました。Googleニュース米国版に「arakawa」を入れるだけで、APの荒川インタビュー記事「Gold medal brings Arakawa attention, donuts 」を見つけ出せました。

 最初に確かに「眠れない」発言もありましたが、その直後に彼女が育った仙台のスケートリンクが閉鎖された事に触れ“The rink where I did most of my fundamental training has closed down. It’s very sad”と言い、日本では練習の場がないので米国に行かざるを得ないと訴えていたのです。翌日に知りますが、彼女を育てたコーチが50人の教え子と行き場を失ったのでした。経営難で消えたリンクは全国各地にあり、スケート界の危機を彼女は語っていたのです。

 「最低の結果。厳粛に受け止めたい」と総括した日本選手団長に、ブログでいくつも手厳しい批判が出ていました。例えば「JOCの底の浅さ」はこう批判します。「ろくに練習に集中できる環境を保証もしないで『メダル、メダル』とノルマだけを課していたのはどこのどいつだ。世界の桧舞台で戦ってきた選手や関係者達がいる一方で、『ご苦労様』という一声よりも『成績不振』『猛省を』などという言葉を偉そうにコメントするとは何様のつもりか」

 お人形と言われた荒川選手が金メダルを手にしてから、敢えて口にした練習環境への憤りを、日本のマスメディアは目の前にしながら一行もトリノから送ってこなかった――その感度の低さは驚くばかりです。日本語の壁に守られているから成立する日本マスメディアの貧困を、ブログでは随分前から言われてきました。その現物が突然、目の前に現れたと言うべきです。

 私が今いる新聞社の翌日紙面で、京都総局の記者が以前から問題意識を持って、荒川インタビューとは別にスケートリンクが消える状況を独自にまとめて大阪の社会面に書いてくれたのが唯一の救いです。これは東京紙面には載りませんでした。その後で他の有力紙も同様のレポートを出しました。トリノの各社取材班はいったい何を考えて取材していたのでしょうか。恥じることなくジャーナリストと言えるのか――これは本当に重症です。

 【追補】オリンピック・チャンピオンになった選手がその場で、かく言っているというニュース性を理解しない批判がありました。念のために言うと、新聞社内でも批判を公表していますし、多くの賛同を得ています。以前に書いたことがあるからというのと、次元が違います。
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by ydando | 2006-03-01 21:56 | ジャーナリズム