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by ydando
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夏までに日本版オーマイニュース立ち上げ
 韓国で成功したオーマイニュースが「日本版」を計画中と言われてから久しく、もう消えたのかと思っていたら、ソフトバンクが資金援助して8月までに「オーマイニュースが日本進出」とアナウンスされました。事前にオー・ヨンホ社長と会っている時事通信・湯川さんから「日本版オーマイニュースの狙いは打倒権威主義」のような情報も流れています。

 韓国では4万人以上の市民記者を集めて、既存メディアに負けぬ影響力を得ています。日本でもそれ以上の数の市民記者を集めたいそう。ネット上の反応をいくつか見ると、湯川さんも含め、否定的なものの方が多いかも。玄人っぽい検討をしている「日本版オーマイ・ニュースは成功するか」(元整理記者の雑記帳)を一例に挙げましょう。

 ソフトバンクの資金は総額13億円で、半分弱は映像ニュースサービスと英語版オーマイニュースの強化に使われ、残り7億円近くが日本版に投下されて、捨て金とは言えない大きさです。ソフトバンク=ヤフーであり、ヤフーがポータルサイトだけの存在から、やはりマスメディアになりたいのか、気になるところ。日本版オーマイニュースが成功すれば可能性大ですが、見通しが全くつかない現時点では「封印」された意図なのだと考えています。

 日本における、いわゆるシビック・ジャーナリズムの現状と課題は「市民記者サイトは高い敷居を持つべし [ブログ時評30]」でまとめた通りです。本格的に動き出した「ツカサネット新聞」にもがっかりでしたし、ライブドアPJなど編集部の質の悪さから市民ジャーナリズムにとって害毒の方が大きい存在です。しかし、この形式はまだ日本では可能性を試されたとは言えないと思います。本格的な編集部を持って引っ張り、サポートした結果を、我々は見ていないのです。数万人規模の目と耳と有機的に結合する編集部をいかに造るかが、最大の難関です。

 この夏という時点を考えると、既存メディア側にも市民ジャーナリズムと結ぶ色々な動きが大きくなっているかも知れません。

 【関連】「ライブドアPJに忠告し忘れた欠陥 [ブログ時評10]」
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by ydando | 2006-02-24 02:08 | ジャーナリズム
預言者風刺画騒ぎと靖国参拝への波紋 [ブログ時評48]
 デンマークの保守系新聞ユランズ・ポステンが昨年9月にイスラム教預言者ムハンマドの風刺画を掲載したことから始まった抗議・暴動は、2月初めにはシリアでデンマーク大使館焼き打ちに発展、さらにデンマーク製品ボイコットなどイスラム諸国・欧州で広く深く尾を引いている。言論の自由を最優先として風刺画を転載するメディアが続出する欧州側と、死者を出す騒ぎになっても収まらないイスラム側の深刻な対立は、ブログの世界でも盛んに取り上げられた。靖国神社参拝を巡る日本と中国・韓国との関係に似ていることが意識され、ネット上で高まっている排外的な心理傾向に新しい照明を与えている。

 教徒によってイスラム教は風刺の対象にされないのだろうか、ムハンマドはどうなのだろうか。ドイツの新聞に載ったイスラム学者の記事を翻訳している「ムハマンド風刺画問題をめぐって:ドイツ紙より(2)」(Takuya in Tokyo)が貴重な情報を与えてくれる。欲張りの聖職者はしばしば風刺されるし、イスラム教自体も嘲笑されてきた。「イスラム文学は、神に対する嘲笑で溢れている」「愛しているにも関わらず自分を見放したと感じられた神に対する告発」がされている。「嘲笑しようとする者は、ムハンマドではなく神に直接向か」い、ムハンマドは嘲笑の対象から除外されてきた。こういう事情だからこそ「自分の宗教を風刺する人間には、その権利がある。多数派社会が少数派社会を侮辱するためにそれをするのだとすれば、それは趣味が悪い」。この最後のメッセージに翻訳した筆者は強く共感している。

 最初のデンマーク紙掲載はともかく、続いて転載して通常の何倍も売り上げたりしたフランスの雑誌などへは厳しい批判が出ている。「フランスの風刺漫画は表現の自由と言えるか」(ツボの独り言)は「無意味な争いごとを作るような行動は、表現の自由と言って欲しくない。表現の自由とは、力が弱いものが力の強いものに対して使うことで初めてその価値があるのであって、何も無いところに火をつけることではないはずだ」と極めて真っ当な主張をしている。フランスでの転載は、昨年の都市郊外暴動へのしっぺ返しにも見えるから始末が悪い。

 「風刺画と文明の衝突・3」(川の果ての更に果てに)は「今回の風刺画については表現の自由の意図するところも宗教タヴーに対する挑戦というよりは、自国の一部分(移民)に対する侮蔑的・差別的表現が許容されるかという要素の方が大きいでしょう。そうした差別的表現が許されるのか、という別問題の様相があるわけですよね」と、問題点に踏み込む。「ちなみに今回の事件に対するブロガーの大半の反応は日中間における他国の反応とも似通ってるんじゃないかなという気もします。『中国の連中も行き過ぎだけど、でも怒るのも無理ないよね。日本が余計なことしているんだから』なんて思われているのでは」とも観測する。

 日本とアジアとの関係に思い至って、悩んでいるのが「ムハンマドの風刺画~日本~」(Planting Field weblog)である。「靖国参拝に関しては本人の自由だと思う。ただ中国人は嫌がる。同じようにイスラムのこのムハンマド問題に関しては西欧諸国側に問題がある気がする」「相手の気持ちを考えるか考えないで自国の主張のみを通すのか、その点では似ている気がする。ほんとこの問題を耳にして考えてみると自分の考えが矛盾していたことに気がつく。そう考えたら靖国問題もどうなんだろうと思えてしまった。だからといって他国にやめろと言われてやめるのもね~と思ってしまう自分が居る」

 もちろん、これまでの考え方を変える必要はないと割り切っている例もある。「日本は孤立?」(右傾化する慶應生のブログ・・・)は「この問題の対立軸は、表現の自由VS宗教の尊厳だった」「宗教の尊厳とは、人間の宗教心、内部の問題、ソフトなデリケートな問題だ。政治の問題ではない」とするのに、「靖国の場合はどうか。この問題の対立軸は、日本人の英霊に対する宗教心VS中韓の政治的外交カードである。外交カードであって、中韓の国民の感情の問題、尊厳の問題ではない。たしかに尊厳を傷つけられた中韓の老人もいるかもしれない。しかし圧倒的に、カードである」と純政治問題として捉える。しかし、「尊厳を傷つけられた」存在を認めた以上、論理のほころびは避けがたい。
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by ydando | 2006-02-16 19:39 | 世界
市民ジャーナリズムを岩波『世界』に転載して1年
 今月発売されている岩波書店の月刊誌『世界』3月号で、昨年4月号から始めた、このコラムの転載が12回1年分になりました。以下に一覧を作りました。市民によるブログ言論のエッセンスを、紙メディアである月刊誌から大部数のメールマガジンまで通して掲載し、市民ジャーナリズムを育てる試みです。こうして見ると第一段階はだいたい達成したかと思えます。

4月号:「ライブドアPJに忠告し忘れた欠陥 [ブログ時評10]」
5月号:BSEはメディアリテラシー力を問う [ブログ時評15]」
    「輝きが無いソニー改革人事の違和感 [ブログ時評14]」
6月号:「実名記者ブログと素人の踏切事故追究 [ブログ時評17]」
    「市民参加のジャーナリズムは既に存在」
7月号:「T記者名暴露・新時代象徴なら貧しすぎる [ブログ時評23]」
    「国際熱核融合炉の誘致断念は大歓迎」
8月号:「日本の自動車産業は世界を幸せにしない」
9月号:「無理を重ねた地上デジタルの副産物 [ブログ時評29]」
    「香港映画『頭文字D』を見た海外読者からのメールです」
10月号:「小泉郵政解散へ賛成論と反対論まとめ [ブログ時評32]」
11月号:「ドイツ総選挙と比べながら考えた [ブログ時評34] 」
12月号:「医療制度改革試案とメディアの虚栄 [ブログ時評37]」
1月号:「仏の暴動と名神7ブラジル人死亡事故 [ブログ時評40]」
2月号:「株狂騒の裏に潜んでいた経済中枢の欠陥 [ブログ時評42] 」
3月号:「ライブドア『虚業の楼閣』めぐる攻防 [ブログ時評46] 」

 ライブドアPJで始まって3月号もライブドア事件だったところが、この1年を象徴していますね。実はやはり老舗の某月刊誌も追いかけて類似企画を始めていますが、ジャーナリスティックな拾い方が出来ていないので、全く別物になっています。1年で取り上げさせていただいた多数の皆さんからの引用は、それぞれが短くても、問題に対して切れ込みが良い構成になっているはずです。それが1997年から市民社会の知的ピークを収集し続けている私のノウハウです。こうして集めると、市民ジャーナリズムとして何かをはっきり語っています。

 当初の予測では、1年後の今、マスメディアによる市民との双方向交流がどんどん広がっているはずでしたが、遅れ気味です。反対に正確かどうかは別として、マスコミに代わって一次情報を語るようなブログが増えています。新聞社の同僚にプロ歌手との対比で「ブログ=カラオケ」論を唱える人がいて、プロとは言えないが限りなく本物に接近できる擬似的なジャーナリスムだと判断しています。でも、その立場を脅かすほどに、恐ろしいブログが出現してきましたね。

 次の1年は広い意味の双方向交流が本当の内実を持ち始めるだろうと考えています。私の立場は「誰だってジャーナリスト~プロだけのものではない」で書いた通り、ジャーナリスムとは当該市民社会において「隠されがちな事実を伝え、見えなかった意味を言う」ことと一貫しています。メディア側の気付いた人間と、メディアに見えないものを発信するブログとの協働作業も現れるようになるでしょう。インターネットですから玉石混淆はいつものことです。どれもが素晴らしいレベルであることなどあり得ません。でも、拾い集めれば、ひと味もふた味も違うものを可視化できるのです。
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by ydando | 2006-02-14 18:36 | ジャーナリズム
世界の原子力開発に大きな流動要因 [ブログ時評47]
 原子力発電の行方を左右しそうな、これまでは考えられなかったニュースが立て続けに流れている。分かりやすい方から並べると、商業用原発として世界で最も普及している加圧水型原子炉(PWR)の主力メーカー、米ウェスチングハウス社(WH)を対立する沸騰水型炉(BWR)メーカーの東芝が買収に成功した。PWR陣営の三菱重工を振り切るために、当初予想された倍以上、6400億円の高価な買い物に踏み切った。「日本は原子力輸出大国を目指すのか」が「日本は非核三原則で核兵器はつくらないと世界に約束しているが、国防政策とも関連する原子力利用を海外企業と海外で展開するうちに、核開発に巻き込まれる可能性はないのか」と心配する。

 次に、米国がこれまで否定していた核燃料再処理路線に転じた。しかも外国に核燃料を提供、その使用済み燃料を受け入れて、生成しているプルトニウムを原爆に転用できないよう再処理して戻すという。さらにロシアは、米国が核燃料を受け入れない反米国家の使用済み核燃料も再処理する構想を唱えた。「核拡散を防止する核燃料再処理のアメリカ・ロシアの取り組み」をご覧いただきたい。核燃料再処理への扉が一気に広がるのだが、日本は自前の再処理工場を持ち、米国の枠組みには入らない。日本だけ特別扱いされ、大量のプルトニウムを使っていることへの不満が表面化するリスクも生まれる。

 三番目は予想の範囲内とは言え、高速増殖炉に関する早すぎる決定である。原型炉「もんじゅ」(電気出力28万キロワット)の事故と改造で停滞している高速増殖炉の開発をめぐり、経済産業省資源エネルギー庁は2030年ごろに設置予定の実証炉を、国と電力会社など民間とで建設費を分担する方針を固めた。70万キロワット級で軽水炉原発の2倍、3000億円程度になると想定、官民で折半する構想だ。事故から10年の放置を経て、もんじゅが2005年9月にナトリウム漏れ対策の改造に着手したばかりである。工事が終わるのにまだ1年以上必要で、運転再開しても無事に動くのか、あてさえない。

 「しばらくは要らない、高速増殖炉」が「数年前の答申で、プルサーマル計画はウランの使い捨てよりも高額になるという結果がすでに出ている。にもかかわらず、失敗の連続だった“もんじゅ”の次を作ろうと考えるのは、裏があるようにしか思えないのだが」と指摘している。これが一般市民感覚の疑念だと思う。

 背景にあるのが中国で着々と進む高速増殖炉開発だろう。2005年春に開かれた国際ワークショップ「燃料サイクル研究開発および高速増殖炉開発」で中国側は実験炉を2008年に臨界へ、原型炉は2020年の完成を目指すと発表している。「中国の高速炉サイクル開発の現状と展望」によると、実験炉CFERは2万キロワット。臨界の2008年に北京五輪があり、一種の国威発揚として五輪への電力供給が念頭にあるとみられる。60万キロワットの原型炉「CPFRは、15年計画(2006年から20年)の国の重点事業とされ、2020年の完成を目指している」。中国の原発は昨年春段階で11基1000万キロワットが運転ないしは試運転中。2020年には総出力4000万キロワットの原発を持つと想定している。100万キロワット級なら40基であり、計算上は高速増殖炉に使用済み核燃料から十分にプルトニウムを供給できる。

 ひとつ危惧がある。中国の高速炉は地震の心配が無いロシアの設計を引き継いだタンク型(プール型)であり、耐震性に難点を持つ。最近の環境問題噴出が示すように、地震国である中国なのにその配慮をする余裕を持つまい。一次冷却系は軽水炉の水と違い、液体金属ナトリウムで満たされ、危険性は段違いだ。耐震性ゆえ日本は「もんじゅ」に、「パイプのお化け」とも呼ばれた長い配管を引き回すループ型を選んだが、造ってみると6000億円近くに上り、非常に高コストになった。日本もタンク型とループ型の折衷的な形態にしよう、あるいは実証炉はいきなりタンク型でとの声さえあった。「早すぎる決定」に、日本も愚かな選択に進まないか不安を持つ。
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by ydando | 2006-02-09 11:23 | 資源・環境・災害
釈然としない東武・竹ノ塚踏切事故の判決
 昨年3月、東武伊勢崎線・竹ノ塚駅踏切で歩行者4人が電車にはねられ、2人が死亡した事故の判決が3日、東京地裁であり、元踏切保安係に禁固1年6カ月(求刑禁固2年6カ月)の実刑判決が言い渡されました。事故は開かずの踏切を現場の判断でやり繰りして開いていたために起き、「実名記者ブログと素人の踏切事故追究 [ブログ時評17]」でも取り上げました。記憶されている方が多いかと思います。実刑もやむなしでしょうが、東武鉄道の責任が見えず、釈然としないものです。現場には今はエレベーター付きの歩道橋が出来ているとのことですが、立体交差実現の見通しはまだまだのよう。

 東武鉄道はこの事故の後で「冷酷無比な東武鉄道よ」に取り上げられているように3歳の長男を運転室に入れた運転士を懲戒解雇したり、竹ノ塚駅助役がポイント凍結を防ぐ燃料油を補充しようと内規に違反して線路内に入ってはねられ重傷を負っています。これらにも批判がありました。事故に戻ると、毎日新聞の「事故と責任、裁判ではっきりせず…遺族」が公判で「本社の課長は、保安係や踏切の実態について『把握してなかった』『報告はなかった』と繰り返した」と伝えています。会社はきれい事を言って口をぬぐっている印象が強いと思えます。
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by ydando | 2006-02-03 19:06 | 社会・教育