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by ydando
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原油高騰で連想する紙資源の枯渇(追補)
 1バレル60ドルと途方もない値段がついてしまいましたね。少し前までは30ドルを超えるかどうかが、新エネルギーの開発に力が入る境目になっていたものです。その2倍とは、ほとんど絶句するばかりです。背景にあるのが中国経済の高成長持続であり、投機的思惑が多分にあるとは言え、まるっきりの「空相場」ではないのです。それで連想したのが、紙資源の枯渇です。

 もう8年も前に[インターネットで読み解く!]シリーズで第4回「紙資源・千倍の落差」を書きました。途上国と先進国での紙消費が一人あたりで1000倍も違い、年間200kgクラスの日本に比べて最貧の赤道アフリカ諸国は200gクラスなのです。200グラムは40ページある厚い新聞1部にしかなりません。その上のクラス、バングラディシュが2キロとかで、このあたりは現在でもそんなに変わっていないでしょう。

 1995年データでは中国が20キロの大台に入ったところでした。ところが、最近見た2003年データでは、中国が35.8キロにもなっているのです。8年で16キロも増やしている訳で、人口が10倍あることを考えると、10年で日本一国の消費量が新たに生まれる勢いです。これがもっともっと加速して、日本並みはともかく、100キロの大台には近い将来、届くでしょう。

 95年には3キロだったインドの経済発展も立ち上がっていますから、やがて20キロクラスにならなくては、おかしいでしょう。ここも巨大人口の国です。紙は途上国でも経済発展にも、教育にも、民主主義を育てるためにも欠かせないものです。今後、中国を中心にした紙消費の増大で、資源の早期枯渇に向かう可能性が高いと思われます。私も久しぶりに勉強してみますし、この方面でデータをお持ちの方があればお教え下さい。

 【追補6/29】コメントされている中国のトイレットペーパーについて、面白い現地報告がありました。中国旅行記(7)トイレット・ペーパーです。本当に小型で腕時計と比べられる程度に出来ていて、つつましく、節約モードで使っているようです。
 なお、Wikipediaによると、トイレットペーパーは14世紀に中国で皇帝用に作られたものが世界最初とのことです。
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by ydando | 2005-06-28 17:57 | 資源・環境・災害
高校野球:記者取材活動の一原点
 地方紙の記者の方が開いているブログ「地方都市日記」に行き当たり、そこで高校野球についてクールに語られている文章を見て、ちょっと昔語りをする気持ちになった。新聞社の舞台裏でも20年前後も前だから、もうどこにも差し障りは無い。私は地方支局から本社に上がる際に科学部に行った記者だが、高校野球取材でこんなことも体験できると知ってもらえる意味はあると思う。

 高校野球の担当者になったのは和歌山だった。戦前の和中・海草、戦後では箕島、そして近年は智弁和歌山と全国制覇のビッグネームが並ぶ。地元UHF局が地方大会の全試合を中継し、前もって特番が組まれる。担当者は地元の監督経験者ら野球専門家に交じって相応のコメントもしなければならない。参加30校ほどのこじんまりした大会だから、準備に県内取材網の協力も得つつ、自分でほとんどの高校に足を運んでみた。決まりきった取材項目をこなしてから何を見てくるか、が担当者の仕事だと思う。練習に見入っている地元の物知りから人間関係などの情報を聞き出したり。することは結構ある。

 創部何年目だったかの智弁和歌山は下馬評にあがっていなかった。しかし、夕暮れが近いグラウンドでのノック練習は印象鮮烈だった。内野を同時に飛び回っているボールの数が、他のチームよりはっきり多い。「ぼーっとしてれば怪我をします」と監督の言うように、なんとも言えない緊張感がその場を貫いていた。昨夏、米国のテレビ局から取材クルーが、イチローたちがたびたび高校野球に言及するのに興味を持って来日し、取材して帰った。彼らが夕暮れの智弁和歌山に行って見たものは、20年前の私と同じだったろう。テレビ特番で「4強を脅かす」と言い出したのは私だけだった。

 それまでの和歌山野球は細かい、通好みだった。箕島と言えばプッシュバント。走者を出せば、ピンポイントに球を転がし守備をかく乱する。甲子園を沸かせた箕島野球に陰りが出ていた年、金属バットに超々ジュラルミンが採用されて一気に事態が動いた。智弁和歌山の打者はミートは上手いが、まだまだ非力だったのに、大会が始まると長打連発、好投手を沈めてしまう。壮烈な打撃の大会は技巧の余地を狭め、技巧派の軟投しか用意できなかった智弁和歌山も後に打ち負けてしまった。

 和歌山市の200キロも南からやってきた新宮は、バットケースには竹刀が入っているに違いないと思える、凛とした剣士集団の印象があった。その投打の高いバランスも、決勝ではサインを南部の監督に見破られて屈する。その南部も含めて、地元の子どもたちをこんな高いレベルまで育てる大人との交流物語を、この年、私は連載で手がけた。

 大リーガーの強打者は時速150キロでバットを振り、150キロの速球を打ち返す。相対速度300キロ、地上最速のスポーツ現象である。高校生はその8割くらいしかない。しかし、バットの重さを10%減らせばスイング速度は10%上がることが知られている。強い金属材料がそれを実現してしまった。翌年はさらにバットの太さを大きくして、テニスのデカラケのような効果も生んだ。地方大会の本塁打が倍増する異変を目の当たりにして、その夏、科学部に異動した最初の大きな仕事が「飛びすぎ金属バット」のメカニズム解明になった。

 大学の先生に理論付けとシミュレーションをお願いし、工業試験場での物性測定や高校での打撃実験は私が担当して、冬場で紙面が空いていたスポーツ面に大きなトップ記事を出した。スポーツ部員以外がトップを書くのは異例中の異例だろう。ただし、薄肉大口径バットがボールと衝突時に大変形して飛びすぎになるメカニズムを、本当に規制に生かすには十数年待たねばならかった。それまではバットの中に消音材を入れるなど姑息な「対策」がまかり通った。本当の答は随分前に出してあるよと、次々に異分野の仕事をしていた私は苦笑いしながら見ていた。

 【参考】第92回「新・日本人大リーガーへの科学的頌歌」
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by ydando | 2005-06-26 02:18 | 文化スポーツ
タバコ税収はどの政府も魅了し続けて
 日本の「たばこ訴訟」が東京高裁でも22日に敗訴した。喫煙による肺がんや肺気腫などの患者・遺族6人がJTや国を相手取って、6000万円の損害賠償と広告の差し止めなどを求めていた。裁判の判決が流れてからのブログ上の反応は原告に厳しいものが多い。「[SMOKE]東京高裁、喫煙患者側の控訴を棄却」の「『もし病気になっても誰かが何とかしてくれる』と考えているような奴は最初から煙草なんざ吸うな」といったあたりが代表的な発言だろう。しかし、起きたことは、好きで吸ったというほど単純ではない。

 判決は一審の踏襲らしいので禁煙広報センター「たばこ訴訟」にある一審の判決要旨を読めば足りよう。「たばこの製造・販売自体の違法」の項にある「たばこ事業法等の国の法律は,たばこの製造・販売そのものを適法行為と取り扱っている」がポイントであることは直ぐに分かる。判決で違法性を認めることは、たばこ事業法の枠組みをひっくり返すことに直結する。原発訴訟で特定の1基分だけ不法認定するよりも社会的影響は甚大だ。そんな度胸がある裁判官は希だろう。

 Googlemのニュース検索でたばこ訴訟を調べたら、偶然にも5月末に英国でも初のたばこ訴訟判決があったらしく、勝ったタバコ会社の株が上がったと伝えていた。巨額42兆円の和解に至った米国とは事情が違う国が多い。

 日本の厚生労働省は最近、急にタバコ抑制に振れているように見える。私の第135回「たばこ依存脱せぬ日本人を考える」に掲示しているグラフにあるように、肺ガン死がガン死因トップになり、さらに上昇の勢いが収まらぬ深刻な事態に立ち至ったからにすぎない。戦後、まずまず豊かになってから50年間も野放図にしてきたツケ、医療費の大膨張を目の前にして慌てているだけだ。判決は1972年以降、外箱に注意表示があったと弁解がましくしているが、当初は本当に誰も気に掛けぬ風だった。

 お隣の中国もタバコが税収の1割も占める財政構造にあり、肺ガンが胃ガンからトップの座を奪ったと報じられたのに、広告の抑制など有効な手が打てない。しかも、国際的に見て異例に重い葉質のタバコときている。日本の経験からして10年後に肺ガン死が深刻な事態になったとき、中国でたばこ訴訟は起きないのだろうか。その時「好きで吸ったのさ」という逃げは効くのだろうか。
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by ydando | 2005-06-23 22:11 | 食・健康
離婚「減少」現象を科学っぽくしてみましょう
 「離婚の減少はサッカーW杯から始まった [ブログ時評26]」についてトラックバック「『読み物』と『科学』の境界」をいただきました。良い機会なので「減少」現象をちょっと検証してみようと思います。

 今回の仮説を実証するのが困難であることは最初にお断りしています。個別の例を積み重ねても、例えば、たまたまアザラシの「タマちゃん」に癒されて離婚を見送った方を何人か見つけたとしても、何の証明にもなりません。新聞社が得意の世論調査の手法も効きません。年間30万件近い離婚の1割くらい、3万件が見送った程度の現象を、全国の有権者1億人を3000人くらいで代表させている抽出調査が検出できるはずがありません。

 先日のグラフ年表の小さな山や谷は、非常に大きな波の上にある「波乱」にすぎないとの見方も可能です。例えば景気変動の波が実は基底にあって、景気が多少でも上昇していないとしたら、2001年のように離婚増加は高原状に続いていて、皇太子妃出産のようなイベントに対応した突発的な減少の谷が現れるだけなのかもしれないということです。

 注意すべきは「こんな人とは暮らせない」と離婚へ内向する気持ちを、ふと外にそらせる、癒しのトピックは存在しても、離婚に走らせるトピックはおそらく無いことです。家庭内で色々な過程があって初めて離婚へと向かうのであり、かなりの積み上げが無ければ無理です。「初カツオを食べたいから女房を質に入れる」ような離婚は無いということです。グラフ年表で意味があるのは谷のところだけになります。

 そういう目で見ると、谷の存在と世間で起きるトピックが連動している点だけは認めるべきだ、となるかもしれません。逆に、全てが偶然であると片づける訳にはいかないのは明白です。どなただったかの感想「説得力があるが、むしろ信憑性は50%とみたい」が中庸になるのかも知れません。
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by ydando | 2005-06-22 18:51 | 社会・教育
離婚の減少はサッカーW杯から始まった [ブログ時評26]
 厚生労働省の人口動態統計で2003年にわずかに頭を打った離婚の件数が、2004年からはっきりと下降傾向を示した。離婚の件数と率は欧米の高い水準に向かって上がり続けて当然と思われていたのに、何が日本の家族に起きているのか。マスメディア報道は年金分割法の実施が数年先に予定されていることを申し添える程度で、非常に物足りなかった。それではとブログ上で「離婚減少の意味を論じられる方はいませんか」と問いかけたのが6月6日。何人もの皆さんと議論しているうちに、次に示すグラフ年表が書けてしまった。以下の仮説を実証するのはとても難しく、直ちに新聞記事にも出来ないと思われるので、ブログ発のニュースとして発信してみたい。今回の離婚の減少はサッカーW杯から始まり、「冬のソナタ」でブレークした韓流ドラマブームで本格化し、北朝鮮拉致被害者と家族の帰国などによって増幅されている――少なくとも私はそう考える。
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 まず、上のグラフが出来た事情から説明したい。離婚の月別増減を前年同月比%で示している。生の数字を見ると3月が多くなるなど季節変動があるので、人口動態統計の月報でもこの方法で比較している。「あざらしサラダ」さんが、ITmedia「技術者を襲うストレスとうつ、原因と対処法は」を引用して、「『昨年、中高年女性の自殺率が激減した。理由はヨンさま』だと書かれています」「自殺も離婚もストレスが極限に達したときの現象だと考えると、関係があるのではないでしょうか」とコメントされた。電通による広告景気年表から2003年の「衛星第2で放送した韓国ドラマ「冬のソナタ」(4.3~9.4)が人気沸騰」を引いて「意外に何年の出来事か、覚えていないものです」と応えた際に、統計には年報以外に月報が存在することを思い出した。月単位で離婚動向と見比べれば、何か言えるのではないか。

 データ入手はすべてネット上でした。「冬のソナタ」の影響を調べることから始めたが、色々な山や谷が見えてきたので、2001年初めまで拡大して、家族の心理に響きそうなニュースを並べてみた。離婚とは家族的な日常を壊して、非日常に踏み出すことだ。佐世保の小学女児殺害など、想像を絶する非日常行為に至ってしまった事件で繰り返し言われているように、誰かがちょっとした示唆をしてやれば、本人の上り詰めている気持ちを解いてやることが出来る。ニュースにはそんな、気をそらしてくれそうなモノを選んだ。

 順に検討していこう。2002年5、6月の谷がサッカーワールドカップ日韓開催で生まれ、一連のストーリーの始まりである点は異論が少なかろう。66%もの視聴率を記録した日本戦さえあった。ただ、その前に2001年12月に小さな減少があり注目だ。プラス10%を超えるような高水準の中だから目立ち、皇太子妃出産が対応していると思える。サッカー熱が冷めた時をフォローしたのが、2002年8月のアゴヒゲアザラシ「タマちゃん」多摩川登場らしい。この年は一進一退が続いた。10月のノーベル賞報道の中でも田中耕一さんの飄々とした生き方には癒されるものがあったと思う。拉致被害者の帰国も前後している。

 この雰囲気で迎えた2003年、4月から9月の「冬のソナタ」NHK衛星放送により韓流ブームが起きた。離婚への影響は2004年4月のペ・ヨンジュン来日までつながっていよう。ただし、2003年11月の谷には総選挙が関係しているかもしれない。2004年5月の最大減少には拉致被害者が北朝鮮に残した子ども帰国、7月の谷にはジェンキンスさん父娘来日が当たっている。10月の谷には新潟県中越地震が家族の絆を様々な局面で見せ、一役買っているかもしれないと思う。

 以上の仮説が正しいとしたら、日本の離婚はどうなっていくのか。韓流ドラマブームのピークは去ったが、まだ根強いものがある。レンタルビデオ店でも驚くほどのスペースを占めている。この面からの癒しは当分続くと考えられよう。また、家族のことに関して、世間の感受性が上がっているように思えるのは私だけだろうか。これから起きるであろう種々の事件が従来よりは、離婚に対して歯止めをかける可能性があると思う。2005年に入っての月報はまだ発表されていないが、しばらく減少傾向を維持するのではないか。

 ここまで書いたところで、検証を始めるきっかけになった情報「昨年、中高年女性の自殺率が激減」の真偽が気になり始めた。人口動態統計で簡単に調べられる。

 【女性の世代別自殺死亡数】
 世代  2002 2003 2004 
 30-34  524  588  565 
 35-39  471  522  459 
 40-44  373  446  474 
 45-49  480  493  450 
 50-54  854  762  658 
 55-59  790  791  838 
 60-64  715  775  753 

 40代後半と50代前半に限れば減っている。それも合わせて年間で12%の減少だ。その上下の世代ではむしろ増えている。「激減」と称するのは難しく、韓流ブームの影響も否定できないと言える程度ではないか。離婚は毎月2万件以上もあり、年間で数千件しかない自殺とは社会情勢の反映の仕方が違うようである。


 【追補6/21】ITmediaに上記の指摘をしたところ、「激減」との表現を撤回して「昨年のヨンさまブームのおかげで中高年女性の自殺率が減少したという説を紹介」に改められました。学会などでささやかれていた話を統計的検証なしに使われたようです。
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by ydando | 2005-06-19 01:36 | 社会・教育
食文化にもジャーナリズムにも契約関係が
 最近、一人で酒を飲む時のファーストチョイスは、ざる蕎麦と吟醸酒の組み合わせになっています。会社の川向こうにある古い老舗ビルの地下に降りて蕎麦屋に入り、吟醸酒の銘柄で注文すれば期待した通りの味が出てきます。清酒のナショナルブランドには問題があると感じても、マイナーな地酒は食文化の供給者として消費者との契約関係をきっちり果たしています。

 ビールにだって、この契約関係は昔から存在しているのです。大量生産品ではあっても、味は守らねばならない。ビール会社の覆面部隊が全国各地で試買しては化学分析結果を各工場に突きつけ、許容範囲になければペナルティが課せられると、まだキリンの京都工場があった際に聞きました。ビールの味が時とともに変化しているのはこの化学分析許容範囲をずらして、変化させているからです。もちろん、公表されるものではありません。しかし、苦味成分の量などは表に出ることがままあり、「食文化に背を向けたビール業界の悲劇 [ブログ時評25]」で紹介した記事中に出ていました。

 トラックバックされているマーケティングを標榜している方が、マスプロだから変化が当たり前だとおっしゃる。それは違うでしょう。守るべき味はあったのです。少なくとも私が知るメーカーの人たちには、そういう意識があったと思っています。ビールの濃さに応じて冷やす温度が変わる――ドイツで飲むと常温だったのに、米国のさらさらタイプはぎんぎんに冷やさねば飲めない――と教えていただいたのもあの時でした。消費する庶民だって、自分なりに味は覚えているものです。ささやかながら、それが文化です。個性的なベルギービールはオランダレストランで知っています。それも結構。しかし、日本には味わう文化が無かったと言われるとは思わなかったですね。個を大切にするのではなかったのかな。

 ジャーナリズムにも通じる問題なので、この際、書いておきますと、「マスプロ」である日本の新聞製作にも読者との契約関係を意識する場面がたくさんあるのです。ガ島さんだったかが書かれていたように、何も問題意識無しに惰性で製作している訳ではありません。問題は「契約」を結んだのが随分と昔であり、今となっては妥当なのか不明なのに、思い入れた「契約」にしがみついている点です。



 【追補6/17】ビールの味が変わっていることについて、意外に共通認識が無いようです。トラックバック先「その他の雑種(2)は文化を創るか」で引用されている「ビールの秘密」は、秘密ではなく、かなり知られた事実だと思っていたのですが・・・。読売新聞の特集記事にある辛味価ランキングでは、ヱビスが30.4、クラシックラガーが28.8、スーパードライ19.4とあるのを見て、ラガーは30を超えているべきなので、「クラシック」を冠して元に戻したと言ってもまだまだ違う訳です。

 なお、ビールの苦みホップは糸状につながる性質があり、泡によく付着します。泡を立てて飲むというのは苦みを適当に抑えることなのです。注ぎ方の秘訣もこれに関連します。従って、缶のまま飲むにはスーパードライのように苦みが少なくないと駄目です。ヱビスも缶をあけて、そのまま飲むには不向きです。グラスに注ぎましょう。
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by ydando | 2005-06-15 00:08 | 食・健康
食文化に背を向けたビール業界の悲劇 [ブログ時評25]
 いわゆる「第三のビール」にキリンとアサヒも参入して、ビールと発泡酒を合わせた出荷量の相当部分を占めるようになった。4月で19.4%、5月で16.1%に達した。1-3月期ではビールが55.6%、発泡酒が36.2%、「第三」が8.2%だったことと比べると、発泡酒から「第三」へのシフトが大半ながら、4月はビールも食われた形だ。ビールから発泡酒へ、そしてその先へとの移動傾向は今後も続く。ビール業界が自ら築いてきた食文化を誇りに思っていたら、こんな愚かな泥沼に落ちることも無かっただろう。

 ビールの成り立ちを知っていると、目の前で起きていることは途方も無く奇妙に思える。ビールは本来、大麦を発芽させた麦芽で造られる。パンや麺類に使う消化の良い小麦と違って、大麦は飼料など用途が限定される日陰者の作物である。ドイツがビール原料を大麦に限っているのは、その昔、貴重な小麦をビールなんかに使われては困ると考えたとの説があるくらいだ。大麦に代わって「第三のビール」の原料になっている大豆やエンドウマメの方が原料としては高価に違いない。高い原料でビールもどきを造る――奇怪な逆転の原因は、麦芽の使用率に応じて酒税が上がる現代日本のビール類税法にある。

 ビールもどきでも安ければ売れるのは、ゆったり味わうのではなく、食事の最初に「とりあえずビール」という飲み方に問題があるとみる「代用ビールに怒る」(松浦晋也のL/D)は「なぜ我々は、十分に豊かになった日本で、大豆ペプチドなどを使った代用ビールを飲まねばならないのだろうか。税法が味覚文化を破壊するという面で見るならば、かつての日本酒がたどった道を、ビールも進んでいるように思える」と弾劾している。

 アサヒのスーパードライ登場が異変の始まりだった。苦味を嫌い、コクを嫌う若い世代に合う味作りが大成功を収めたことで、ビール業界は浮き足立って同じドライビールの方向に走り出した。その過程でコーンスターチなどを混入することが当然になり、芳醇さが失われていった。私は昨年夏、第148回「酒類の混沌――ビール・清酒の未来」で「この国でのビール類における味の変化は、本物のビールからどんどん離れるばかりであり」「『古典派』を標榜するビールだって、おかしな味に染まってしまった。ビール業界では守るべき本丸が既に怪しい」と書いた。

 爽快さを求めるならば、何もビールに似せる必要は無い。割り切って全く新しい新飲料を開拓すればよいのではないか。読売新聞の「この夏“第三のビール”が主流?」によると、業界関係者は「我々は第三のビールを、ビールの代用品とは考えていません。ビールテイストですが、全く新しいアルコール飲料なんです。飲んでいただけたら理解してもらえると信じています」と主張しているそうだ。私には自ら築いてきたビール文化を貶めているように見える。

 とは言え、もっと好意的に見てあげようとする人もいる。「お酒のはなし~『その他雑酒2』で乾杯…?(その2)」(ねりみそ~明日のビジネスのしたごしらえ)はこう庇う。「長い歴史のあるビールだから、何杯も続けて飲めるように深い付き合いができるのはある意味当たり前なのである。麦芽以外の材料を主に生まれたばかりの新しいビールにとっては、それはこれから長い時間をかけて獲得していかねばならない、人格の様なものなのだ。問題は、産み出したメーカにその商品をそこまで育んでいくつもりがあるかどうかということになるのだろう」
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by ydando | 2005-06-12 17:56 | 食・健康
『世界』7月号には「T記者名暴露・・・」を掲載
 岩波書店の『世界』7月号にはT記者名暴露・新時代象徴なら貧しすぎる [ブログ時評23]」「と、「国際熱核融合炉の誘致断念は大歓迎」を掲載しました。

 連載も4回目です。時がたつのは早いですね。今回は「すちゃらかな日常 松岡美樹」と「◆木偶の妄言◆」の両ブログの引用をそのまま使わせていただいています。

 ちょうど、この号では尼崎の脱線事故が取り上げられています。野田正彰さんが「奴隷労働」の上に存在した過密ダイヤ、働く人が「無理だ」と言えない企業体質、国鉄解体からの歴史、マスコミ報道の的はずれ等について論じています。反日運動の特集も組まれています。

 【追補】「T記者名暴露・・・」関連で、Japan Media Review 2005-05-31に"What They're Saying ... Journalist Yasuharu Dando on Blogging's New Era"という記事が書かれています。



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by ydando | 2005-06-10 17:49 | ネット
GMが17%2万5000人の人員削減発表
 経営不振に喘ぐGMが2008年までに、従業員の17%に当たる2万5000人の人員削減を発表しました。生産台数も600万台から100万台減らすそうです。しかし、CNNによると現在の雇用協定では解雇後も9割の給与を払うことになっているそうで、削減の実をあげるには、それも見直さざるを得ません。深刻な雇用問題に発展するのではないかと考えられます。

 「日本の自動車産業は世界を幸せにしない」を先んじて書いてから、事態を注視していますが、想像していた以上の速さで奈落に転げ落ちていく感じがします。用意していた英訳版「The Japanese Automobile Industry Does Not Bring the World Happiness 」を公開しました。
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by ydando | 2005-06-09 00:25 | 政治・経済
離婚減少の意味を論じられる方はいませんか
 「厚生労働省:平成16年人口動態統計月報年計(概数)の概況」が先日、発表されて、離婚率の減少傾向が明確になった点に注目しました。2002年に最高の28万9836件を記録、2003年にわずかに下がったのですが、傾向が変わったのか、はっきりしませんでした。概況の「5  離婚」を見てください。2004年は27万815件とピーク時より19021件も減りました。人口千人に対する離婚率も「2.15」に落ちました。上がりつづけて当然だったはずなのですが・・・。

 熟年離婚といった言葉が一時もてはやされたものです。これは同居期間別の分析グラフをごらんいただくと良いでしょう。ほとんどの層で減っていて、熟年離婚の方が減少度はやや大きいようです。手元に良いデータが無いので、ブログを当たってみました。とりあえず、次の2つしか見当たりませんでした。

 「全日本カウンセラー協会相談室」の「サーズより怖いニート」は「熟年離婚率が減少しているのは、『離婚』という逃避の域は過ぎて、自滅、内部崩壊の域に」とし、寄生しているニートの子が親の離婚を邪魔しているという趣旨を述べられていますが、傍証データ無しでは苦しい感じです。「離婚率、15年ぶりに大幅低下」(モノ太郎の雑学コラム)は妻側と夫側と離婚理由について、書かれているだけです。

 起きていることの意味について、何かを書ける方は是非、トラックバックしてください。年金分割法が施行されるのを待っているとの説を、どこかで見たような気もします。しかし、熟年離婚だけが顕著に減っているのでもありません。

 国際比較をしたい向きには、ひとつ良いサイトをお教えします。「経済・社会データランキング」です。「離婚」を開いて見てください。ここのは結婚100カップル当たりの数です。80年に「5.9」だった韓国が2000年に「35.9」にもなり、日本の「18.3」→「33.1」を追い越しています。凄まじいことが家庭内で進行したと思われます。残念なことに、OECD加盟国を中心にデータを集めているので中国のデータはありません。項目によれば中国のデータもありますから、色々と使ってみてください。「政府の無駄の少なさ」「汚職認知指数」「報道の自由の世界ランク」なんて項目もあり、日本はかなり低位です。
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by ydando | 2005-06-06 00:04 | 社会・教育