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by ydando
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カテゴリ:文化スポーツ( 22 )
第155回「テレビ局独占から脱したHDビデオ番組」
 薄型大画面テレビの普及で高精細映像、いわゆるハイビジョン番組を家庭で日常的に見られるようになった。従来の標準画質では主題に取り上げている対象をクローズアップしないと十分描けなかったし、置かれている周辺状況を見せるためにはロングに戻さないといけなかった。それほどアップにしないでも主題が見え、同時に周辺の細部まで映るハイビジョン番組は観察力を刺激する。送り手側が意図しない「あら」や「ごみ」から真実が読める。

 国内で既に1000万台普及したとも言われる米アップル社のポータブルプレーヤー「iPod」(アイポッド)は、手軽な音声ファイルを使い新しいタイプの音声番組「ポッドキャスト」を生み出した。音声だけでなく動画主体の「ビデオポッドキャスト」も、個人の発信者を含めて増え続けている。その中心地で楽曲を販売している「iTunes Store」にiPodでは視聴できないポッドキャストがある――と書いたら不思議に思われるだろう。「HDポッドキャスト」の一群がそうだ。ハイビジョンの番組が40件近く。それぞれ番組継続中だからハイビジョン局が約40並ぶとも言える。安価なHDビデオカメラが売り出された結果だ。再生は近年のパソコンなら可能だ。

 米ワシントンポスト紙が開設している「HD Podcast washingtonpost.com」に行ってみた。最新のニュースはパキスタンでの自爆テロ現場で、被害者や周辺、警察の悲痛な表情を撮る。以前の回に遡っていくと、マグロの世界的な獲りすぎで悩む東京・築地市場の競り風景もある。マグロの競りでは予め尾部分の断面を仲買人に見せて品質を確認させる。その断面映像もふだんのテレビよりは数段良く分かった。カメラマンが理屈を知っていれば、もう一段のクローズアップにしただろうが……。

 昨年3月リリースのスーダン・ダルフール紛争地での取材は見て置いて良いのではないか。既に40万人以上の死者を出し、200万人以上が難民化している。夫を子供を殺された女性や9人の兵士に強姦された娘の痛々しいインタビューもある。どんな所に住んでいるのか、人物周辺の細部まで意図しないでも映し出すから、見る目さえあれば商業主義、取材意図押しつけのテレビ番組とはひと味違う情報を得られる。

 SeeMoreHD.comの「Summer of Bears」はゆったりと眺めた。夏のアラスカ、やや寒々とした川の合流部でクマたちが交代で急流に身を沈めて魚を捕っている。周囲にはおこぼれを貰う鳥たちが集まる。主題を特別アップにしなくて済むハイビジョンの特性を生かしてカメラ操作を押さえ、淡々とややロングで追い、説明もBGMも無い。漁は結構大変だ。ようやくクマが魚をくわえて陸に上がる。やがて放り出した頭部分に鳥が群がるが、空から猛禽類が急降下して追い払う。

 米大統領選・ニューハンプシャー州予備選挙で、たくさんの市民にインタビューしていた「Political Lunch HD」。「バラック・オバマ」と支持を語る人々の表情や服装も観察するに値した。宇宙に関心があれば地球軌道上に打ち上げられているハッブル宇宙望遠鏡の映像がフルスクリーン画面でたっぷり楽しめる「Hubblecast HD」や「Hidden Universe HD」あたりも良いだろう。

 食やスポーツなど実用向けの番組も多いが、言葉の問題があるので日本人にとって最も実用的なのは海外旅行を考えている人への現地情報だろう。「Finding America HD」「London Landscape TV」「Rome HD Video」などが有名無名の観光地の光景を切り出して見せてくれる。無用なおしゃべりは少なく、一人旅で街角や山の滝壷に立ち、眺めているような印象になる。

 国内でも市民がハイビジョンの特性を生かしたビデオ番組作りをしている。2005年から一般の撮影者から広く投稿を募って蓄積している「市民テレビ」と、瀧山幸伸氏を中心に通信員が撮影している「JAPAN-GEOGRAPHIC.TV」を挙げる。それぞれのライブラリーは膨大になっており、気に入ってDVD-Rに焼き付け、保存している映像は多い。しかし、HDポッドキャストでこんなに気軽に世界配信できるようになるとは思わなかった。アップル社はおそらく「Apple TV」でテレビに映し出す以上のことも考えているはず。

 また、ワシントンポストHD映像を見て、メディア側としても10万円台のカメラでハイビジョン撮影できるのだからカメラ取材を全面的に切り替えても良いと感じた。必要なスチール写真は切り出して使えばよい。活字記者が行った先々で高精細映像を残すようになれば、報道映像蓄積の概念が変わる。テレビ局は独り占めしていたハイビジョンで市民の進出により独占が崩され、さらに単なる一プレーヤーに落ちよう。

(注1:視聴用のiTunes入手は 「apple.com」 で)
(注2:通常ポッドキャストの案内サイトとして国内なら例えば「PODCASTnavi」がある)
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by ydando | 2008-01-14 18:12 | 文化スポーツ
WiiとPS3:ゲーム機因縁対決に評判の分析 [ブログ時評72]
 次世代ゲーム機として、昨年末に発売されたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)「プレイステーション3(PS3)」と任天堂「Wii(ウィー)」の優劣がはっきりしてきた。もうひとつの次世代機で1年先行した米マイクロソフト「Xbox360」は国内では劣勢が見えており、既にWiiとPS3に追い越され、WiiがPS3の2倍以上を売っている。年末商戦ではWiiが入荷―即完売を繰り返していたが、14日にブログを検索すると地方都市を中心に「売り場にWiiが置いてあるのを見た」といくつも報告され、ようやく落ち着いてきた。ブログでは長い歴史を引きずる因縁の対決に興味深い記事が書かれ、評判になっている。

 WiiとPS3のゲームソフトとゲーム機本体の売れ具合を見る便利なサイト「VG Chart.org」がある。独自入手の非公式情報も含めているそうなので、この点は注意したい。「Japanese Chart for Week Ending 07th January 2007」で新年第1週を見ると、ソフト3位に「Wii Sports」165,250本、4位に「Wii Play」137,250本とWii勢は早速、上位に食い込んでいるのに、PS3勢は45位「Resistance: Fall of Man」15,500本、47位「Mobile Suit Gundam: Target In Sight」14,500本と元気がない。本体もWiiが累計1,159,250台なのに、PS3は累計543,250台。Wiiに比べ高性能ながら値段が倍もするPS3は「売り場で山積みになっている」状況を映している。米国の状況も見ることが出来て、日本国内よりはPS3がやや善戦している。

 昨年12月15日付の「SCEと任天堂の『いつか来た道』」(FIFTH EDITION)が任天堂「ファミコン」から説き起こし、ゲーム機業界の覇者が入れ替わる様を長文ながら飽きさせずに読ませる。記憶違いなどは多数集まった読者の指摘で手直しされ、立派な「ゲーム機史概観」になっている。「スーパーファミコン」に至る任天堂の独占的な成功は「ソフトの高価格化と、互換性の無視」を招いて「スーファミ後期に至ると、日本中の小売などが、任天堂を敵視するようになります」。1994年にSCEが「プレイステーション(PS)」を発表し、「CD-ROMを採用し、ソフトの大容量、低価格、短納期などを実現し、ハードの低価格化を成功させました」。ゲームソフト会社が開発しやすい環境も整えて「小売とサードを味方につけていたのです」。ここに投入された最新機種、任天堂「nintendo64」は敗れ去ってしまう。

 ところが「ROMカセットをゲーム機から駆逐し、サードを優遇し、流通の簡素化に成功したSCEでしたが、天下を取った後は……任天堂化したのです。悪い意味で」。それでもSCE側は「プレイステーション2(PS2)」までは勝ち続けたが、携帯ゲーム機「PSP」で攻勢を掛けると、新経営陣になった任天堂は「ゲーム人口の拡大」を掲げた「DS」を開発して切り返し、PSPが売れていた北米市場まで席巻する。今回の次世代機戦争については「市場を支配すると同時に腐って、どうしようもないほど腐って、PS3という問題児を作ってしまいました」とし、「サードが参入しにくい、ありとあらゆる条件」「プログラミングの複雑さ」「開発費の高騰」「本体価格の高さ」などの欠陥を指摘する。

 「成功は振り返って語るもの - 『PS3が圧勝した世界』という思考実験」(デジモノに埋もれる日々)は現状と逆の状態をフィクションする手法で、起きたことの意味を浮かび上がらせた。ブルーレイディスクも再生する高画質ハイビジョン、ゲーム以外にも何でも出来る高性能、家族で集うなんてあり得なくなり「1人1台」の家庭環境……と挙げていくと、Wiiの成功はその裏側を走っている事実に気付く。年末年始に家族そろってテニスや野球などWiiスポーツに興じている姿は最たる例だ。次世代ゲーム機を企画する数年前には「PS3圧勝」の方が常識だった。「Wiiの成功は、製品企画設計段階からの『再び大衆にゲームを!』という信念が成就した」。強力なPS2の成功を前にして「『数年前のあなた』、つまり現在のWiiの成功もDSLiteの成功も知らないあなたは、上記のような 『奇をてらった商品の惨敗ストーリー』を想像することなしに巨額の投資をWiiの企画にベットすることが、本当に出来たでしょうか?」と問いかける。

 これまでのゲーム機戦争と違っている点がある。まだゲーム機を買っていない人であっても、かなりの程度、実際に近いゲーム映像が見られるようになった。動画共有サイト「YouTube」の登場やブロードバンド環境の広がりが大きい。YouTubeで「Wii」「PS3」を検索すればゲーム映像が手に入る。PS3で「放送」されている人気番組「トロステーション」も日本語キーワードのままで出てくるから試して欲しい。PS3のハイビジョン映像はYouTubeでは無理と思っていたら、1月末に発売されるゲーム、RPG「ENCHANT ARM」にハイビジョン画質の予告編が用意された。パソコンにかなりの性能が要求されるものの、オリジナルの横1280ドット幅に広げて鑑賞すると、この高精細さは刺激的だ。YouTubeには、もちろんXbox360などの映像も投稿されている。冒頭のVG Chart.orgなどを参考にゲーム名をキーワードにして探すと良いだろう。米国でもブレークしているDSの「Nintendogs」などの映像を見ると、撮影した使い手のことまで想像してしまう。
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by ydando | 2007-01-14 20:20 | 文化スポーツ
今年の日本映画はやっぱり『フラガール』
 第19回日刊スポーツ映画大賞『フラガール』が作品賞、主演女優賞、助演女優賞、新人賞の4冠を得ました。日本アカデミー賞でも10部門で優秀賞を受け、映画の賞レースはこれから続きますが、今年の日本映画では、やっぱりこれが最高でしょう。

 李相日監督のインタビュー記事にも出てくるように、結果が分かっている話で、あれだけ魅せてくれた松雪泰子・富司純子・蒼井優の女優陣、監督の力に脱帽です。テレビ局がかんだ妙な商業主義が無かったのも清々しかったと思います。
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by ydando | 2006-12-30 00:21 | 文化スポーツ
駒苫と智弁和歌山、壮絶な戦いを期待
 智弁和歌山と帝京の準々決勝。帝京が9回表の攻撃でエースに代打を送ってしまい、1試合分が既に終わっていた時点から、もう1試合分のドラマをやってくれました。

 強打の帝京に並の投手では長く引っ張れない――さらに豪打の智弁和歌山に、公式戦で投げたことがない投手が1イニングもつはずもない――という展開で、4点差をはねかえす8点を取ったのに、9回裏に5点を失ってサヨナラでした。緻密な名勝負とは言えないけれど、甲子園でかつて見たことがない試合であることは確かです。

 明日の準決勝、駒大苫小牧VS智弁和歌山が事実上の決勝戦の気配です。壮絶な打撃戦を期待しつつ、智弁の打線が本格的に目覚めた以上、有利かなとも思います。
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by ydando | 2006-08-18 15:53 | 文化スポーツ
高松塚壁画保存では素人だった文化庁 [ブログ時評56]
 国宝・高松塚古墳壁画の保存状態が危機的な状況にあり、発見から30年以上も経つための自然劣化ではなく、保存を担った文化庁が繰り返しミスを犯した結果と推定されるようになった。4月半ばからマスメディアが再三再四伝えた惨状から、文化庁が古墳壁画保存の専門家ではないことを国民は知ってしまった。情報公開によって明かされた作業日誌には驚くべき事柄が書かれていた。照明器具を倒すなどして壁画を何カ所も傷つけ、公表しないまま周囲の土を塗ってごまかした。2001年に石室の前まで防護服を着ない普段着の業者が入って作業し、直後に起きたカビ大発生を呼んだ疑いが濃厚になった。マニュアルには「防護服は石室内でとある」と弁解がされた後、1989年に素手で石室を開ける文化庁職員の写真が発見されては、カビ防護など最初から口で言うほどに重視していなかったと考えるしかない。

 いたたまれなくなって文化庁の役人を排除した調査委員会ができた。「高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び石室西壁の損傷事故に関する調査委員会(第1回)議事次第」に資料がいくつも掲げられている。「資料4 国宝高松塚古墳壁画をめぐる経緯と現状について」で壁画がどれほど悲惨な目にあったか見てもいただきたいが、ここでは「参考資料 国宝高松塚古墳壁画保存対策の経緯(平成18年3月31日まで)」を開こう。7ページ目に2001年2月から3月に「取合部及び石槨躯体壁両脇崩落部分の強化工事を実施」とあるのが防護服を着ない普段着工事である。そして3月26~29日の点検で「取合部施工部分を中心に夥しいカビの発生を確認」となり、石室を開けるのを半年延期するも、9月に開いてみれば「密閉していた石槨内にもカビ発生を確認」するに至った。以後、損傷事故や多数の虫の死骸が繰り返し報告されている。

 「誰が国宝・高松塚古墳壁画を殺したのか?高松塚古墳石室解体にみる文化庁の体質」(kitombo.com)という注目すべき長文リポートが昨年10月に書かれている。問題はカビだけではなく、壁画全体が退色しているのだ。渡辺明義・文化審議会文化財分科会会長へのインタビューで「壁画の劣化を意識したのはいつですか?」と聞いて「渡辺:2001年に青木繁夫くん(東京文化財研究所国際文化財保存修復センター長)に指摘された時かな。昔のきれいさが薄れたかな…と思いました。それまではカビに関心を取られていたのです。1980年にカビが発生したときは、心臓が止まるほどびっくりしましたよ。心配で仕事が手に付きませんでした。このときに全面的に情報を公開するチャンスがあったのかもしれませんね。でも転換が出来なかった」との返事である。いつか公表との思いはあっても、保身に走る役人根性が阻んできた。

 論点は数多いが、もう一つ。高松塚現地には壁画保存のために1億円をかけた施設が出来ているが、この役割も私が聞いていた、石室の温度・湿度を管理するものとは違っていた。「保存施設には三つの部屋があり、石室に近づくにつれて部屋の温度と湿度が変化し、石室の真ん前の部屋では石室と同じになる。つまり石室の中で作業する技師たちが石室の扉を開けたときに、外の乾燥した空気が直接、石室に入り込まないようにしているのだ。つまり、技師たちが作業するとき以外は、この保存施設は眠っているだけなのだ」

 昨年夏になって冷却管で外部を覆う工事がされたが、石室の環境はほとんど発見当時のまま推移してきたのであり、虫も出入り自由。いったい、文化庁は何をしてきたのだろう。実は壁画発見当初に訪れた、ラスコー洞窟壁画保存の研究者だったフランスの専門家は、直ちに剥ぎ取って保存するよう助言していた。「『高松塚古墳壁画を石室から剥がせ!』発見当時の72年に、フレスコ画の専門家が提言していたが、文化庁は無視した」(天漢日乗)に詳しい。

 壁画が描かれている「(b)石灰層の現状は極度に危険である。層は剥離している。この原因は過剰の湿気による石灰層の老化で、それは更に石と下塗りの間および下塗りそれ自身の中に入り込んだ木の根によって、事態が重大化している」「(c)この壁画は、剥がして強化し、移し替えを行うべきであると思われる。この作業は現在では実現可能である」「日本の現地で協力するためにヨーロッパの熟練者を日本に招くことが望ましい」とアドバイスを受けた。しかし、その後は樹脂接着剤を注射して浮き上がっている部分をあちこちと貼り付ける対症療法で逃げてきた。今となっては、最近一般公開されたキトラ・白虎図のように剥がすこともままならなくなった。

 「外国人に剥がされるのはイヤというだけの理由で、フレスコ画である高松塚古墳壁画は、文化庁の不作為によって破壊されたのだ。高松塚古墳壁画を30年かけて破壊したのは、文化庁である」という憤りは正当なものに思える。このブログは昨年7月に書かれているので、今となっては不作為に加え、文化庁の重大な注意義務違反も破壊に荷担してきたと指摘できる。
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by ydando | 2006-05-14 21:58 | 文化スポーツ
日本野球のDNAが堅守キューバ崩した [ブログ時評51]
 WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)決勝の日本VSキューバ戦は、野球の面白さ、勝負の綾、何とも言えぬ物語性を満喫させてくれた。トリノ五輪で荒川静香選手が金メダルを取った時とは違う、組織立った団体スポーツならでは味わいだ。一、二の名選手がいて達成できるものではないだけに、大リーガーが多数参加した大会で初代王者に輝いた意味は大きい。

 松坂も、イチローも、松中も、福留も、大塚も良かったのだが、私は9回表1死1塁、西岡のプッシュバントに痺れた。8回裏に6-5まで詰め寄られ、流れはキューバに大きく傾いた。9回、三塁手の送球エラーで生きた先頭バッターを二塁に送ろうとするが、三塁手が名誉挽回と突っ込んで猛烈送球で二封。勢いが削がれた時に出た奇策だった。プッシュバントで球は測ったように一塁手、二塁手、投手の真ん中に転がった。その瞬間、異国の球場に甲子園の風が吹いたと感じた。高卒からプロ入りした21歳、西岡には突飛なアイデアではなかったのではないか。日本野球のDNAがキューバ内野陣の堅守をこじ開けた。後はイチロー、福留のタイムリー打が続くばかり。この手のプッシュバントは全盛期の箕島高校が駆使して有名だ。

 米国人審判の誤審が続いて嫌な思いもした。一時は王監督が「99%ダメ」と思うところまで行った。少なくとも米国戦は勝っていたはずであり、失点率の細かい計算などしなくて楽々、準決勝進出のはずだった。運営側のラソーダさんが自分のブログ「Brutal」(Tommy Lasorda's World)で、この審判は長年にわたり噂話のタネになるだろうとした上で「大会を通してプロらしい、品位ある身の処し方をしている日本チームに敬意を表する」と書いてくれたのを見て、ちょっと救いを感じた。

 「平々凡々」(すちゃらか日記)が「この前の荒川選手にしても、WBCの日本チームにしても。一度、駄目だって挫けてから、立ち上がる姿が素晴らしいね。ああ、私もそういう強さが欲しいなぁ。しみじみ。スポーツって励まされるなぁ、本当に」と書く。その気持ちは広い範囲の人のものだろう。

 イチローが開幕前に「向こう30年は日本に勝てないと思わせる勝ち方をしたい」と発言し、韓国側は「妄言」と猛反発、日本に勝つたびに嘲笑する論調の記事が流され、イチローには球場で大ブーイングが集まった。終わってみれば「日本戦敗因分析…『守りの野球』の崩壊」(朝鮮日報・日本語版)が「投手陣は韓国野球の柱だった。6試合のチーム防御率1.33、1ゲーム当たり平均2点も許さない鉄壁の守りを見せた」けれども「打線は平均以下だった。この日の試合前まで、参加各国のなかでチーム打率10位(0.262)、平均得点も4.33でしかなく、平凡なレベルだった」と総括するように、投手陣が崩壊すれば勝負にならないチームだった。日本の高校チームは韓国の100倍もあり、この底辺から差が出ない方がおかしい。イチロー発言はこうした事情を前提にしたものだろうし、自らとチームを鼓舞したのだろう。

 「心はやっぱり日本人-イチロー 」は「『冷静なイチロー選手』像はアメリカでやっているから自然に出来てしまった人間像なんじゃないかな」「今、イチロー選手は、日本人として、日の丸を背負って、同じ日本人の仲間と喜びや悔しさを分かち合えることそのものをすごく楽しんでいるんじゃないかな?なとど勝手に想像している」と心意気を推察する。野球人生で最も屈辱的な一日と、最高の一日をともに味わったイチローは、マリナーズでプレーする時と確かに違っていた。決勝の後、松坂が「背中で引っ張るとはこういうことだと判った」とコメントしている。

 朝鮮日報は「日本、キューバを10-6で下し初代王者に」で「日本はメジャーリーグなど世界各国のプロスターが参加した今大会に優勝し、名実共に世界一となった」と報じたのだが、この隣国では妙な嫉妬心がまだ残っているらしい。ソウルに住む女性ブロガーの「韓国でみるWBC」(蝶も花も夢をみる)が「今日の日本の勝利も韓国の報道では[日本、でたらめな対戦表とメキシコの助けで得た恥ずかしい『初代優勝』]になっちゃうわけです。なんか悲しい。どんな報道をするにしても悪意のある報道って悲しいな」と伝えている。事前に決められたルールの中で勝負をつけるのがスポーツである。我々も、つい感情に走る報道をすることもあるが、長く尾を引かないようにしたいものだ。
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by ydando | 2006-03-22 00:21 | 文化スポーツ
結局、落ち着くところに落ち着いたWBC日本4強
 WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)で奇跡が起きて、韓国に敗れた昨日は99%なくなったと思われていた日本チームの準決勝進出がなりました。メキシコが米国に2-1で競り勝ったためです。望みがなくなったメキシコが頑張るはずはないと思っていたけど、「準決勝進出の条件」(長かったり素晴らしかったり憂鬱だったりする一日 )で「可能性が完全に消えたと思われていたメキシコも、延長13回、3-0勝利という条件で、可能性がわずかに残っているようです」とあるのを見て納得しました。

 それにしても、本来、米国にはタッチアップの誤審が無ければ勝っていたのだから、4強進出は落ち着くところに落ち着いた形です。メキシコ・米国戦では、日本戦と同じ誤審アンパイアが、メキシコのライトポール直撃の本塁打を二塁打と判定しました。この大会は公正さに疑問ありと申し上げたい。日本の問い合わせへの回答も、米国監督から抗議される前に自主的に判定を覆そうと思っていたと木で鼻をくくったようなものでした。もしそうであっても、審判団が集まって協議するのが当然の手順なのです。
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by ydando | 2006-03-17 14:45 | 文化スポーツ
正月スポーツでは『小さな華』だけど [ブログ時評44]
 元日のサッカー天皇杯決勝を頂点に、正月休みをはさんだスポーツ大会が目白押し。その中の全国高校ラグビーは比較すれば「小さな華」だけど、ドラマ「スクール・ウォーズ」のモデルになった京都の伏見工が5年ぶり4度目の優勝をし、マスメディアでも取り上げられ、ブログにコメントや観戦記が多い。

 この大会は5連覇を狙う啓光学園を中心にした大阪勢が圧倒的に強いと思われていた。ところが準決勝までに姿を消し、決勝は伏見工と桐蔭学園(神奈川)。どんな試合だったか、観戦記からは「二つの決勝戦」(しゅさいのブログ)を登場させよう。

 「強力フォワードで押し込む桐蔭学園に対し、バックスの展開力で勝負の伏見工業……てな戦前の予想に反して、フォワード戦でも当たり負けない伏見工業が、試合運びのうまさでも上回っての完勝。細かいパスがつながる、つながる。ホント、これ日本代表(サッカーの方)にも見習ってほしいです。短いパスが、ただ繋がるだけじゃなくて、ちゃんとそこに繋げる『意味』があるパスなのだ。突出したスター選手はいなかったけど、伏見工のラグビー、ちょっとファンになっちまった」

 「『信は力なり』高校ラグビー、伏見工優勝」(迷解!スポーツ観戦記)も言う。「伏見工は、仲間を信じるという『信は力なり』を体現するハンドリングラグビー」「バックスだけではなく、FWのNo.8、 フランカー陣だって、繋ぐ、繋ぐ。モールやラックからNo.8がサイドを突くと同時にそばの選手にパスし、1人で、2人の選手を引きつけ潰れ、味方を抜け出させたプレー。攻めにかかればボールを支配し続け、相手に奪われれば、最後までタックルやターンオーバーを狙い続ける」

 ラグビーは離合集散の妙。いま主流になっている重量級フォワードで蹴散らして進む戦法は、実はあまり好まない。体格が違う欧州や豪・ニュージーランドのチームには、そうされてしまうのだが、ラグビー日本代表には不可能である。「伏見工のような、走力とハンドリングの魅力的なラグビーが、日本代表のレベルでも見たいものだ」。私もそう思う。

 「スクール・ウォーズ」の熱血先生は、現在では総監督を務める山口良治さんである。「ラグビーシーズン」(沖縄人になりたい東京下町男の物語)は高校、大学とラグビーをし、山口さんと接触した体験を語る。「大学の夏のオフの時に伏見工の練習に参加した時にお世話になった。世間様からは泣き虫先生などと呼ばれているが、部員達からは鬼と呼ばれている。でも実際にお会いしてこんな方に指導を受けたら幸せだなぁと感じたものである。厳しいが熱いし素晴らしい指導をされる。人のミスを責めたりしない、みんなで補いミスをチャンスに変える事が大事だと教える」

 公立の工業高校だから、体格の良い選手を集められる体育系の学科を持つ訳ではない。そういう条件下で全国の最高レベルと戦う、知恵と情の指導なのだろう。現在の高崎利明監督は1980年全国初制覇の中心メンバーだった。山口さんからバトンタッチされて8シーズン目になる。その監督、総監督を差し置いて、主将の杉本勇二君が真っ先に胴上げされた。決勝前夜の夕食前に、何か緩んだ空気を感じて「このままでは勝てない」と部員に訴え、一気に引き締まったことを各紙が伝えている。

 朝日新聞「ひと」欄で彼の記事を読んだ「伏見工」(ひだりうみの株日記)はこう書く。「2年生の3学期と3年生の1学期はオール5。まさに文武両道」「ラグビーは高校までと決めていて、進学が決まっている同志社大学文化情報学部では『情報収集する力を身につけ、その時代で一番利益を上げられる会社を起したい』とのこと。18歳でそこまで決断できるってすばらしい」

 初優勝時の主将は神戸製鋼V7の立役者、平尾誠二さん。全国高校ラグビー決勝を最後の試合と決めて、企業家への道を歩みだす四半世紀後の後輩の姿に、変わらないもの、変わっていくものの対比を見てしまう。
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by ydando | 2006-01-09 00:26 | 文化スポーツ
パフィーの米国ブレイクを解読する [ブログ時評43]
 「ゆるゆる」した雰囲気のJポップ女性デュオ、パフィーの米国アニメが大ヒット、「PUFFY AMI YUMI」として人気爆発と伝えられたのが1年前。特別なファンではないものの、香港、台湾、アジアでの人気を知って以前から気になっていたグループだ。今年は米国でのコンサートツアーも大成功、国民的行事であるニューヨークの感謝祭パレードに招かれたり、日経BP社・日本イノベーター大賞でジャパンクール賞に選ばれ、『文藝春秋』新年号の「世界に輝く日本人20」に登場と、ますます盛んだ。良いニュースが少ない年の瀬、予想外に拡大するブレイクぶりを解読したくなった。

 日本語版以上に詳しい英語版ウィキペディア「Puffy Amiyumi」があり、英語資料へのリンクも豊富。まず、彼女たちの活躍ぶりを動画で確認しておこう。アニメ「Hi Hi Puffy Ami Yumi」を製作している「カートゥンネットワーク」へ行き、「in Cincert」を見よう。曲は「ブギウギNo.5」。米国ティーンに熱狂的に迎えられているライブの舞台が、全く日本のまま、脱力感漂う日本語の歌なのは最初、ちょっと異様に見えた。別のライブシーンも見られ、英語の歌もあるのだが、これは「カタカナ英語」だろう。「日本のままで良い」とCartoon Network側に言われて始まったブレイクであることを確認しよう。それにしても、この二人はほとんどユニゾン、つまり斉唱しかしないのだが、声の相性が良く「1+1」以上の表現力になってしまう。

 ここにはブレークの伏線になったヒットアニメ「TEEN TITANS」のテーマソングビデオも置いてある。彼女たちは「TEEN TITANS」から「Hi Hi Puffy Ami Yumi」で米国内に露出する機会を得て認められた。それは決して宣伝の力ではない。米国のBBSにある「How you got hooked on Puffy's Music? 」で、ニューヨークの「Amifan」が「日本に行ってテレビ番組のビデオテープを買い込み、米国に戻ってからキュートな音楽が2本目の最後にあると気付いた。それがパフィーだった」と書いているように、誰も彼もでなくとも、ある範囲の人たちには発見されて当然の音楽だったのだ。

 2002年に初めて試みた米国ツアーについて「米紙、米国公演のパフィーを酷評」のニュースが共同通信配信で流れ、当時の「斑猫の日記」が面白い記録を残している。「ピント外れた批判だなぁと思ってワシントンポストのWebを調べてみたら」「『米国のロックスターとは全然スタンスが違いワケが解らない。彼女らは米国での成功を望んでいないようにすら思える。実際米国を征服することはないだろうが、ショービズ界を引っかきまわす事にはなるだろう』という感じで、むしろ驚きを持ってパフィーを紹介した記事のように読めたのですが」。つまり、最初の米国ツアーで既に予感はあった。

 全米アニメでトップになり「パフィー 視聴率『全米1位』」(山本通信)が放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏の言葉を引用している。「アメリカのティーンエージャーに受けるのもよく分かる。陽気で、ぶっ飛んでいて、ハッピー、それで退廃的な要素もある。音楽もアメリカ人の好きな60年代のようなポップス。日本的ではなく、米国風の作りになっているのがよかったんじゃないかな」

 パフィーの音楽はロックミュージシャン奥田民生が中心になってプロデュースしている。ビートルズやアバなど懐かしいロックをふんだんに「引用」し、ちりばめていて知っている人なら、にやりとしてしまう。ミリオンセラーのデビュー作「アジアの純真」にほれ込んでいた「パフィー『これが私の生きる道』のアナリーゼ(96/11/14掲載)」はこう言う。「この曲を最初聴いた時は前作のインパクトには到底及ばない凡作という印象でした。ところが、間奏のギター・ソロがビートルズの『DAY TRIPPER』のリフの引用だと気づいた途端これはとんでもない曲だと思えてきたのです」「いたるところビートルズの引用だらけです。前作は陽水の言葉遊び、そして今回はビートルズのパロディーと、プロデューサーの奥田民生(元ユニコーン)のセンスには完全に脱帽です」

 米国にいる日本人からの発言も収録しよう。「Happy Thanks Giving」は「パフィーが New York で催された Thanks Giving Parade に日本人として初参加。こちらのテレビでも放映された。鳴り物入りでデビューした松田聖子もウタダヒカルも完全に失敗した米国市場で、あの(けだるそうな)パフィーがしっかりと成功しているさまは、ある意味で痛快でさえある」と、驚きを伝えている。

 この感謝祭パレードに先立って、「PUFFY、外国人記者クラブにて記者会見」があった。由美がこう言っている。「もちろんアメリカに行っても、私たちは、今までやってきたまま、そうじゃないとやっぱりできないし。『急にアメリカだからアメリカ用にキャラクターを変えるっていうこともできませんよ』ということをお伝えしたら、『それは全然そのままでいいですよ』って言ってくださっているので、今アメリカでもできてると思います」

 この「地のまま」路線で、どこまで行けるのだろう。米国BBSを読んでいると日本語歌詞のままで共感している人もかなり多い。言葉は分からなくてもエモーショナルだと言う。もう亡くなった科学部の先輩が、アフリカ人の客を自宅に招いて日本人の歌を片っ端から聞かせたら、美空ひばりの所で止まったそうだ。「意味は分からないが、訴えるものがある」と言われた。ひばりとパフィーを比較するつもりはないが、同様に言葉を超えているものが確かにある。
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by ydando | 2005-12-24 18:49 | 文化スポーツ
映像コンテンツ視聴生活に新しい局面  [ブログ時評38]
 アップルコンピュータの新型iPodの小さな画面で見る1本300円のビデオクリップが、スタートから20日間で100万本以上売れた。「iTunes Music Storeからのビデオダウンロード、はやくも100万本突破」という11月1日のニュースが国内の放送業界にも波紋を投げている。翌2日に大阪で開いた民間放送全国大会のシンポでも早速、取り上げられた。放送関係者は放映したコンテンツをネットでも売れるようにしなければバスに乗り遅れると捉えている。いわゆる放送とネットの融合だが、道筋はそれだけだろうか。ひょっとすると、いまテレビ界が支配していた映像コンテンツ視聴生活が、ネットベースに大きく様変わりする契機になるかもしれない。既に「iPod Movie for Windows」(Information from Overseas)のように手持ちビデオコンテンツをiPod向けに変換する人も出ている。

 様変わりを思わせる基盤が別にある。ベータ版ながら9月からGoogle Videoが専用ソフトでなくても見られるようになった。時間がある時に遊びに行ってほしい。ブログを観察していると、アニメなどのクリップを見つけている人が多い。(一例 http://wxxxlog.jugem.jp/?eid=82)それだけでは、もったいない。現在は英語入力なので何かと不自由だが、例えば「tsunami」と入れて探せばインド洋大津波の模様を撮影した素人ビデオがいくつも見つかる。グーグルビデオは、お金が無くて自分ではサーバーを持てない人から、ビデオのアップロードを認めている。映像ニュースを伝えるのがテレビ局である必要は無くなるということだ。「earthquake」と入れればパキスタン大地震のビデオが出てくるのだから、次にこうした大災害が起きたとき、どんな映像が出てくるか注目である。

 アップルのビデオクリップは買わなくても、プレビューでも結構楽しめる。「iTunes6」をインストールすれば簡単に見られるから、これも試みて欲しい。Google Videoの世界と合わせて、広大な新領域が視界に広がる。本格的に日本産コンテンツが加わったらどんなだろうと想像してしまう。あまり目立たないが、市民が撮影したビデオが相当なボリュームに達しつつある。Google Videoの本番が動き出せば、そうした市民ビデオに脚光を浴びせるだろう。例を挙げれば「市民のビデオ ライブラリー」とここからリンクされているサイトで、各地の風景や行事、音楽ライブやニュースなどの作品が提供されている。高速回線を持っていればハイビジョン映像がそのまま見られる。

 新聞、特に全国紙にも取材網を生かした新しい可能性が開けると思う。別にテレビ番組を作ろうというのではない。デジカメで撮れる1分間のビデオクリップを全国各地から毎日100本、200本集めるくらいは、全国に展開している取材網で出来る。各地の行事・食・風物など集めるジャンルや、どう味付けして使うかで、色々と差別化できるだろう。1年掛ければビデオクリップ3~6万本を日本地図の上にびっしりと並べたライブラリーになる。例えば、どこかを旅している人に、気になる場所のピンポイントのビデオクリップを、ケータイやカーナビで引き出して見せるビジネスだって出来る。iPodに対抗しようとしているソニーの携帯ゲーム機PSPなども含めて、多彩なビデオクリップを携帯機器で楽しむライフスタイルが一般化すれば、テレビディスプレイに括りつけられている視聴生活の常識が崩れるのではないか。
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by ydando | 2005-11-08 00:41 | 文化スポーツ