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by ydando
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カテゴリ:政治・経済( 35 )
福井日銀総裁の引き延ばしはアンフェア
 村上ファンドに1000万円出資したことが明るみに出た福井日銀総裁が、16日の衆院財務金融委でも利益額の数字を明らかにしなかった。国会会期切れを狙ったアンフェアなやり口と言われて、弁明できないはず。少なくとも今年の確定申告での額なら即座に出せるのだから。閉会後の20日、衆院財務金融委理事懇談会で福井総裁から資料の提出を受けて、委員会の招集を決めるから、さらに時間が掛かる。国民に伝えるのを引き延ばすのもいいところだ。

 それでも16日の答弁では「利益は数百万円の年もあった」と認めた。利益額は1500万円との推計を出す新聞もあり、少なくも1000万円を超えているのなら、長く預貯金金利ゼロにあえいできた国民の心情として、日銀総裁の行動は容認されないのではないか。「国民に納得がいく使い道を考える」と、どこかに寄付するような弁明は、この際、意味がない。明らかにならなかったら、そんなことは考えなかったはずだ。

 「福井よ、オマエモカ... 村上発、BOJショック!@小泉政権周辺にはマトモな日本人はいないのか?」(ぬぬぬ?)は良いセンスで福井総裁の言い訳に切り込んでいる。「福井自身の口から『一口10億円の村上ファンドに対して、個人的に1000万円だけしか出しておりませんから』と言って金額の少なさと関連性の希薄さを強調しようと頑張っておったが、あれ?、だとすると出資条件を満たさず儲け話に加えてもらえる個人的な親密度を衆人環視の前で露呈したことにならない? ボロが出た瞬間と見ました」

 経済産業省の職員が1口100万円で幹事が資金を募って村上ファンドに投資した件も、同様の疑義がある。庶民の意識とかけ離れた行動には、冗談ではないと言っておきたい。
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by ydando | 2006-06-16 19:54 | 政治・経済
本物の投資家に至らず村上ファンド退場 [ブログ時評58]
 5月上旬、シンガポールへの村上ファンド本拠移転あたりから流れていた、東京地検の捜査着手が本物になった。6月5日午前、村上世彰代表は異例の記者会見でニッポン放送株のインサイダー取引を認めて謝罪し、地検は5日午後、取り調べに呼び、証券取引法違反容疑で逮捕した。インサイダー行為による利益は数十億円とも言われる。ファンドに出資していた年金資金などは違法行為を理由に一斉に資金引き揚げに出るとみられ、代表本人は業界を去り、ファンドを別名に変えても存続したい意向が実るかどうか、疑問がある。

 昨年10月に「村上ファンドを研究してみよう [ブログ時評35]」を書いた際には、無能力な阪神電鉄経営陣に対して何らかの新風を吹き込んでくれるのではないか、と期待する気持ちもあった。しかし、電鉄株を最終的に1300億円の資金投下で47%にまで買い増し、役員の過半をおさえる提案をしながら、これも結局は脅しの手段に過ぎず、阪神電鉄が持つ諸資源を活性化させる具体策は持ち合わせなかった。

 「アクティビスト(行動する投資家)」(なるなる&かねこっちの「未来予報3.0」)が指摘する通りだろう。「『安ければ買い、高ければ売る』これは投資家ではない。投機家がやることである。最近、各種メディアではこういった人々をアクティビスト(行動する投資家)と呼んでいる。全てのアクティビストがそうであるとは思わないけれど、大半が口先だけの行動である」「本当のキャピタリストであれば、経営・オペレーションのステアリングにまで言及して、明確な責任を持とうとするはずである。こういう人たちを、ハンズオン型キャピタリストと呼ぶが、本来こうあるべきだ」

 「ハンズオン型の投資家であれば、その会社の最適な組織体制やそこで従事する社員のモチベーションにまで、細かい配慮をしていくものである。それが、村上世彰氏には全くできていなかった。それだけである。決して成功体験が続いて、バランスを失ったわけではない」と、当初から各種メディアが持ち上げたことそれ自体がおかしいと判断する。

 「Deep KISS第82号『ダブルカウント②~阪神×阪急』」(板倉雄一郎事務所)は阪神株取得では根本的な錯誤を犯していたと主張する。企業を買い取る場合の値付けをどうするかである。「事業価値か、または不動産価値か、『どちらか一方』だけ、投資家は価値としてカウントすべきなのです」。ところが、村上ファンドは「事業価値+不動産価値」のダブルカウントをしてしまったとみる。「事業を解散もしくは移転して継続する場合でなければ、その事業を営むために必要な不動産価値を、企業価値に上乗せして評価することは出来ないのです。また、移転を前提にしない場合、不動産の簿価と時価の違いも、何の意味も持ちません」

 事業を継続しながら、事業が依拠している不動産を切り売りしていくことなど非現実的なのだ。「ある意味、こうなって、社会にとっても、村上氏自身にとっても、良い結果だと思います。彼らの手法では、いずれ行き詰まり、リターンを出すことが出来なくなるでしょうから」「何も生み出さず、奪い取るだけの行為は、誰かに止めてもらえなければ、止まらなかったかもしれません。これで村上氏は、(ファンド出資者の)奴隷から解放されたということです」と、今回の逮捕が持つ意味を説く。

 阪神が持つ不動産の巨大含み益を担保にして関連事業を起こすのならともかく、何らかの方法で現金化することにしか関心が無いように感じられた。「アクティビスト」とは「ものを言う投資家」でもあるが、最後まで有益な「もの」は言われなかったようだ。
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by ydando | 2006-06-05 18:59 | 政治・経済
衆院補選は太田和美氏が955票差で勝利
民主党へ、親の欲目が流れを変えた [ブログ時評54]関連

 87046票対86091票(自民党候補の元埼玉県副知事・斎藤健氏)の小差でした。50%を割る投票率ですから、無党派層はそれほど投票に出ていません。公明支持層も終盤になっておさえたと言いますから、なおさら自民には重症の敗北です。大きな考え違いがあったとしか言えません。「自民党の悪いところは、私が全部ぶっ壊した」小泉発言も、そう思う国民がどれほどいることか。

 勝敗が決まってから「冷静に考えたら当然の結果でしょう」(ちょっと一言ブログ編)のような意見も見られます。「民主党候補をはじめ、ほとんどの党の候補は今までの小泉政治を批判したり自分の政策を話しているのに、自民党候補の斉藤さんは偽装メール問題が無実だと分かっても、国民から未だに不信がられている武部さんの、斉藤健(けん)と、ジャンケンポンと掛け合わせて、ずっとジャンケンしかしていないダジャレ映像しか流れていません」「いくら政治を身近にしようとしてもここまで国民を馬鹿にしていたら、当然、今回のような結果になることぐらい分かるはずです」
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by ydando | 2006-04-24 01:31 | 政治・経済
民主党へ、親の欲目が流れを変えた [ブログ時評54]
 4月23日に投開票がある衆院千葉7区補選の選挙情勢調査で、共同通信と毎日新聞が同じ結果を出した。民主党の元県議・太田和美氏(26)が先行、自民党の元埼玉県副知事・斎藤健氏(46)が追っているという。民主候補が無党派層や公明支持層にも手がのびているのに、自民候補は自民支持層をまとめきれない。民主党でここを地盤にする南関東ブロック選出議員が、ニセ送金メール事件で勝ち目がないからと立候補を避けたことを思うと、ほんの10日ほどで隔世の感ありになってしまった。

 今回の報道はスポーツ紙が細部を詳しく書いて面白い。日刊スポーツは「小泉劇場健在!最後の演説2万6000人」で、小泉首相が「総理として最後の街頭演説」で大聴衆を集め、斎藤候補の演説を「ほとんど『前座』扱い。候補者を食ってしまった首相の、まさに『最後のワンマンショー』が、延々と繰り広げられた」と伝えた。一方で「小沢氏熱弁も聴衆わずか1800人」は、同じ15日、民主党・小沢新代表が選挙区北端の過疎地域で、ビールケースの上から遊説を始め、それは師・田中角栄の教え「支持は川上から川下に広がる」にならったと報じた。小泉首相は「自民党の悪いところは、私が全部ぶっ壊した」と小沢・民主を批判し、小沢代表は「今度こそ本当の政権交代をやる」と訴えた。

 前日14日には小沢代表は太田候補に「自分に会いに来ても票にならないから、一人でも多くの有権者と会いなさい」と指示して、独自に企業回りのどぶ板選挙をした。ブログにピンポイントの報告「小沢一郎・民主党代表が来てくれた!」(会社で犬、猫を育てる社長の日記)が出ている。「小沢氏は玄関で俺と握手をすると、どんどん事務所の社員のいるところへ入っていって、『皆、写真でも撮ろうか?』と言ったね。『ツーショットでもいいよ!』って言ったから、みんなは『ワ~!』っと喜んで、会見するはずだった応接間がいきなり“写真スタジオ”になってしまった」「小沢一郎氏のオーラはすごかった。俺もずうずうしいから、滅多に人に呑まれるなんてことはないのだが、今日だけは別だったな」

 事実上の一騎打ちをしている両候補者の資質にも、普通の有権者の感覚からは見える、大きな差があるのかもしれない。「来年の参議院選挙の前哨戦と位置づけ千葉7区」(人間ちょぼちょぼ日記)はこう指摘する。「自民党から立候補した元官僚は、<国家公務員として安定した生活を投げ打って立候補しました>と、ぬけぬけと厚顔無恥の演説するし、民主党の若い女性は、本来この選挙で立候補するはずだった民主党男性議員の臆病風を消し飛ばすような元気な訴えをしていました」

 衆院補選だけではない。小沢氏は国会開会中を理由に、若手メンバーに鳩山幹事長と渡部国対委員長が乗った前執行部をそっくり再任した。これも悪くなかった。「民主党老壮青の新しいモデル」(金子仁洋の金言毒言)が「日本の針路を若手は示せなかったことを意味する。成熟社会の行く手は、昨日や今日、成り上がった者ではわからない。やはり、ベテランの智慧を借りながら、若手が実行に走るということか」「ベテランと若手のミックス、それが大切だとなると、民主党の政調会長松本剛明の任は重大だ」と主張するような読み方も出来るようになった。もちろん、結果はまだ先だ。

 選挙の結果が情勢調査のままなら、補選で民主党は負け続けていたのだから明らかに流れが変わったことになる。どこが転換点だったのか考えると、小泉首相と前原・前代表の党首討論があった2月22日の夜だと思い当たった。送金メール問題を取り上げた永田議員は説得されて議員辞職に傾いていたのに、翌日未明に海外出張中の父親に電話して反対されると翻意してしまった。そのまま辞職すれば民主党執行部が傷ついたとは言え、前原代表の退陣に突き進むことはなかった。あれからの愚図愚図が傷口をどうにもならないほど広げてしまった。東大工学部卒、大蔵省官僚、民主党代議士と進んできた、良く出来た息子への、親の欲目がレールのポイントを切り替える梃子(てこ)を押した。


【955票差で太田氏が勝利(4/23)】
 87046票対86091票の小差でした。50%を割る投票率ですから、無党派層はそれほど投票に出ていません。公明支持層も終盤になっておさえたと言いますから、なおさら自民には重症の結果です。大きな考え違いがあったとしか言えません。「自民党の悪いところは、私が全部ぶっ壊した」小泉発言も、そう思う国民がどれほどいることか。

 勝敗が決まってから「冷静に考えたら当然の結果でしょう」のような意見も見られます。「民主党候補をはじめ、ほとんどの党の候補は今までの小泉政治を批判したり自分の政策を話しているのに、自民党候補の斉藤さんは偽装メール問題が無実だと分かっても、国民から未だに不信がられている武部さんの、斉藤健(けん)と、ジャンケンポンと掛け合わせて、ずっとジャンケンしかしていないダジャレ映像しか流れていません」「いくら政治を身近にしようとしてもここまで国民を馬鹿にしていたら、当然、今回のような結果になることぐらい分かるはずです」
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by ydando | 2006-04-16 21:42 | 政治・経済
遅すぎたが民主党は行き着くべき先に
 「民主党『送金メール』問題と情報源秘匿 [ブログ時評49]」を3月5日に書いてから、民主党の迷走ぶりに呆れ果てていました。月末の今日になって、前原代表が渡部国対委員長の言うサムライぶりを発揮して、一連の騒動に決着をつけました。送金メールの仲介者名を知らせたばかりか、自民党といっしょになって証人喚問まで応じ、そこでいい加減なドタバタ経緯が暴露されれば、民主党の名はもっと傷つくのは見えていたのです。代表が辞任することで辞職を渋っていた永田議員も辞め、証人喚問もなくなりました。

 今回の危機管理では鳩山幹事長も駄目さ加減をあらわにしました。提供者から騙されたと、自分も被害者のように振る舞うなんてあり得ないことです。何故かは、上記ブログを見て下されば一目瞭然です。永田議員の政治生命も終わったのではないでしょうか。一党の代表が退陣を決めるまで、自分の出処進退を決められなかったのでは政治家ではないでしょう。
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by ydando | 2006-03-31 20:40 | 政治・経済
民主党「送金メール」問題と情報源秘匿 [ブログ時評49]
 総選挙の惨敗から盛り返し「4点セット」で小泉政権を追い込もうとしていたはずが、ライブドア・堀江前社長の「送金メール」が虚偽と判明し、民主党への信頼感が一気に吹き飛んだ。記者会見で永田議員が疑惑の存在に未練を残し、きちんと一度謝れば済むことを何度も謝らなければならなくした手際の悪さに加えて、最後の幕引きに至っても幹部たちの言動は不可解だ。前原代表は「メール情報の提供者は、守るべき立場の方ではない」、鳩山幹事長は「党にとって加害者だ。法的措置を取ることも考えないといけない」と述べ、氏名公表も検討するとした。たとえ悪意で持ち込まれたとしても、疑惑情報を使う決断をしたのは民主党であり、情報源の公開は大政党のトップが口にしてはならないはずだ。

 3000万円を自民・武部幹事長の次男に振り込めと指示した疑惑メールの真偽を、衆院予算委員会で追及に立った永田議員が確かめる作業を怠ったことに、失態の原因、全てがある。当のメールがどんな経路で送られたかなどを示すヘッダー部分を入手していないどころか、発信元と受信者のメールアドレスを黒塗りにした印字メール本文しか手に入れていなかった。虚偽ではないかと騒がれ始めてから民主党が手に入れた黒塗り無しのメールでは、堀江氏が特別の場合に使うと説明された発信元アドレス、指示を受けたとされた受信者アドレスのいずれにも、情報提供者名を思わせる同一アドレスが書かれていた。公表は黒塗りでしか出来ないとしても、何が書かれているのか確かめないで本物であるとの心証が形成されるはずがない。それなのに元記者の説明を裏取りをしないで信じた永田議員と、複数の目で確かめて個人の思い込みをなくす指示をしなかった野田国対委員長は決定的なところを踏み外した。

 「★送金メール問題で民主党が終わった・・・★ 」(Do It Yourself!!)も「もっとも情けないのはメールの情報の『ウラ』をとらず文面をそのまま鵜呑みにしていたこと。そして深刻なのは党代表がそれを『確信の持てる情報』などとしていたことです」「個人的には今回の問題は単なる『確認ミス』というよりももっと深刻な根本的な民主党の問題があるような気がします」「読み解くカギは『実務力』の有無だろうと思います」と、疑惑情報の処理にまつわる力量への疑問、根の深さを指摘している。

 そこで、「しかりしろ民主党2」(牛仙人のひとりごと)が「民主党が公党としての責任を果たすためには、まず真相を究明することだろう。まずメールを永田議員に持ち込んだフリーライターに対する追求は法的な手段を含めて行うべきだろう。相手が弁護士をつけているからなのかいまだに実名すら明らかにしていない。しかしこれだけの騒ぎを引き起こした責任がこのフリーライターにはあるはずだ」と求めるような発想がブログ中に広まっている。テレビに引き出せ、とまで言う、名の通ったブログさえある。

 もちろん、そんなワイドショー番組の作りで済む問題ではないと理解している人たちもいる。「『責任』について」(=日々是口実=)は「『メール問題』に関してはまず『ネタ元』が信用できる、という理由でメール自体の真偽についてを把握しなかった、というのが無責任そのもの。少なくとも黒塗りのない元のメールを入手して、本物と信じるに足りる裏づけを取って質問に至るのが当たり前でしょう」「本日現在、民主党では『ネタ元』への法的措置も考えている、ということですが国会の場に出す前に真偽をしっかり確認しておけば、こんな騒ぎに至らなかったことを考えれば、単なる責任転嫁としか思えません」と厳しい。

 情報源秘匿はジャーナリストにとって自明の理だ。言論の自由とのかね合いがあって、政党が疑惑追及する材料にする場合と全く同じ扱いにはならない。しかし、目の前の情報提供者を守ることが、未来の情報提供者を呼び寄せる構造になっている点では同一である。完全無欠で非の打ち所のない情報でなければ、その欠陥を後日、責められて公表されるような相手に、今後、誰が重要な情報を持ち込もう。

 その理屈に気付かない民主党である。「個人に責任を押しつける『責任ある政党』」(バビロン7の東奔西走狂詩曲)は「自分の党が不利益を被ったからって情報提供者を訴えようとするようでは、今後真っ当な内部告発やら暴露情報やらが民主党に流れることはなくなるでしょう。藁をもすがる勢いで情報を提供しても、民主党内部のミスが情報提供者に跳ね返ってくるようでは誰も近寄りたくはありません」「政党という組織が一介の三流ジャーナリストに対して赤っ恥をかかされた恨みを晴らそうとしているようにしか見えません」と不当さを指摘する。

 前原代表が頼んで回っても引き受け手がなかったため、新たに国対委員長になった長老・渡部氏が、民主党全体を仕切る「代表選の前倒しも」との発言を始めている。前原代表の9月再選が無くなった程度では、民主党の危機は救えないと長年の政治感覚で判断したとみる。
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by ydando | 2006-03-05 17:33 | 政治・経済
ライブドア『虚業の楼閣』めぐる攻防 [ブログ時評46]
 IT銘柄の代表格であり、ホリエモンこと堀江貴文社長の下で急成長してきたライブドアに、東京地検特捜部が強制捜査に入った。容疑は関連会社の証券取引法違反ながら、ライブドア本体に粉飾決算の疑いが浮上、株式の上場が維持できるか疑問の声さえある。突如800億円の社債を発行し、フジテレビを照準にしたニッポン放送買収劇からほぼ1年。あれだけ世間を驚かせた資金力の実態が『虚業の楼閣』でしかなかったことを、ブログの書き手たちは解きほぐしている。

 子会社ライブドアマーケティングがマネーライフ社買収で演じた「偽計取引」の流れを図解整理している「ライブドア取引の整理:逆飛ばし疑惑を見てみる」(ちょーちょーちょーいい感じ)はこうみる。ライブドアとマネーライフ社の間に挟まる投資事業組合は「どの株を買って、いつ売って、というすべての判断は通常は運営者(業務執行組合員)に一任されます」「ライブドアが投資をしている組合が出資をしているものの、3つも間に挟んでいるので、2004年6月時点のマネーライフへの投資にライブドアが関与していた、というのは、一般的には実証しがたい」「今回は地検特捜部がメールサーバーなどを全部調べているらしいので、最後まで調査できるでしょう」

 株式交換による買収と株価が高騰しやすい株式分割を組み合わせ、インサイダー取引のように「利益が恣意的に作られたものなのであれば、利益は株価に密接につながっていますので、恣意的に株高が演出されたこととなり、その後、その高い株価を元に買収などで企業価値創出をしてきたのであれば、それは偽札を刷るのと同じ行為になってしまいます」と、問題点を指摘する。地検が狙う本丸は「偽札を刷る」行為だと。

 しかし、複雑な経済事犯で家宅捜索の令状を裁判官から取るのは容易でない。「ライブドアショック・検察の突破口を考える」(ビジネス法務の部屋)は事件の入り口に注目している。「証券取引法が保護しようとしている法益、つまり国民の有価証券の取引における安全性を害するような行為態様があれば、それは処罰の対象とされるわけです」「マネーライフ社の株式について、事実上はすでにライブドアの支配下にある投資事業組合が先に現金取得していたにもかかわらず」「あらたに株式交換という手法によって支配下に置く取引を行った、というものです。錯誤に陥れる相手方は税務署でも、取引相手方でも、一般投資家でもいいわけでして、有価証券取引が公正安全に行われるものと信じるについて保護に値する者に対して、その誤解を招く行為をすれば『偽計取引』に該当する、との判断があるのではないでしょうか」「『犯行目的』など立証する必要はないわけですから、これが最も確実に(おいしく)捜査令状をとれる部分ではなかったか」と推察する。

 「なるほど・・・これが『粉飾』ということですか」(ふぉーりん・あとにーの憂鬱)は本当の捜査目標らしい粉飾決算について考察する。買収時にライブドアの株価が2倍に「跳ね上がったとしましょう。投資組合は、株式交換で得たLD株式を市場で売却します」「この結果、投資組合には」2倍の現金が入る。「投資組合は解散し、財産である現金」を出資者であるライブドアに分配、損益計算書に「のっかる利益が出てくることになります。しかも、この利益をファイナンス事業を営む会社であげれば、営業利益の方に組み込む」「ここで出てくる『投資益』というのは、実質を考えれば、自己株処分差益なわけで、確かに企業会計上の考え方からいえば、本来は『資本取引』ということで損益計算書上の利益には影響を及ぼさないはず」であり、資本剰余金になるべきなのだ。

 自作自演した自社株取引のあぶく銭を営業利益にしなければならない体質を抉り出しているのが「ホリエモンの錬金術 -4」(ホリエモンの錬金術)である。2004年までのライブドア決算を解きほぐし、時々で処理方法が違ういかがわしさを具体的に取り出した上で「違法とされる粉飾決算であるかどうかは、会社の再監査をしてみなければ判断できませんので、現段階での判断は差し控えます」「ただ、適法か違法かの問題は再監査にゆだねるにしても、企業の経営実態を直視する経営診断という立場に立ってみますと、ライブドアは、上場以来、連結でも単体でも全く利益を出していない、それどころか、資本金と資本剰余金までも大幅に食い込んでいるもの(つまり欠損会社ということです)と考えられます」「これが30年間会計屋として飯を食ってきた私の判断です」と主張する。1999年から2004年の決算をつなぎ合わせれば6億円から始まり、477億円を一般投資家から集め、5年後に455億円しか残っていないから27億円余を食いつぶしたとの結論になる。

 ライブドアという会社の本質が、本来の事業で儲けていない虚業であることを明解に示すデータだ。本当の決算書は本業はどうにもならない赤字で、資本集めの項目だけが膨らむことになって誰からも見向きもされなくなる。それを避けるため、偽計行為が延々と繰り返されたのではないか。既に伝えられる中には単純に子会社の利益を赤字の本体に付け替えて黒字化する、お粗末な工作も含まれる。まさしく砂上の楼閣。800億円の社債発行は虚構の好業績と高株価で可能になったのだった。

 【23日午後、堀江社長が地検へ】任意の事情聴取が始まりました。日経は朝刊トップで金の流れまで書いた取引仕組み図まで押収と報じました。さて、身柄はどうなるか。
 【結局、即日逮捕に】東京へ新幹線で移動中に逮捕になりました。入り口の容疑ではもう証拠十分なのでしょう。
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by ydando | 2006-01-22 14:38 | 政治・経済
株狂騒の裏に潜んでいた経済中枢の欠陥 [ブログ時評42]
 東京証券取引所1部の時価総額が15年ぶりに500兆円を突破、株価も5年ぶりに1万6千円に迫る水準となった12月、11月にあった長時間システムダウンに続く欠陥が東証システムにあることが、みずほ証券の大量誤注文で露呈した。ネット経由で個人投資家が大量参入した株式相場は狂騒模様を呈し、ニューヨーク、ロンドンと並ぶ世界三大証券取引所のはずが、システム的には国際水準にはない恐れが強まっている。みずほ証券はもちろん、東証の運営能力、システム構築をした富士通の技術力いずれにも疑問符が付いた。

 みずほ証券が新規上場株ジェイコムを「1円で61万株」売り注文した行動もさることながら、東証の行動は株式市場の管理者として怠慢ではないか。「ジェイコム 東証問題 続き」(小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記)は強く疑問を投げる。「間違いなく市場を混乱に陥れる発注ミスは、発注側の責任だから、しかりつけ、対応は任せる。自社で提供している社会インフラのシステムの中身は、富士通にやらせているから、自分では当然分からない。富士通に調べさせる。市場を混乱に陥れてしまった事後処理の解決策にはタッチしない」「東証は自己の提供しているインフラ、サービスの中身を理解していないばかりでなく、問題が起きているかどうかの判断も出来ないし、自分で調べる気もなく」「サービスに対する責任感が全くない。東証の存在意義は何なのか」

 外国人から見ても不可解な運営だった。「ジェイコム株誤発注-東証の対応」(保守思想 Conservatism)は言う。「取引所は常に個々の取引についての監視を行っている。インサイダー取引や市場操作を行っている事実を何時も探している。だから、今回誤発注が行われた直後、問題の把握は取引所として認識していたはずだ。発行数」「以上の空売りが行われたのなら、すぐ問題取引だとわかるはずだ」「海外の取引所なら、1時間以内にこの株の取引は中止され、この株に関するすべての取引が無効と発表されただろう。後日、また再上場をスケジュールしただろう。なぜ、東証がそのような行動にでなかったのだろう?取引は一日続いた…」「取引所の運営できちんと問題が発生した時に対応してもらわなければ資本主義の要である株式取引の効果が半減してしまう」

 みずほ証券の損失は400億円に上ったが、東証システムの欠陥で注文取り消しが出来なかったことが判明、東証も損害を負担しなければならなくなる。さらにシステムを作った富士通にも責任が言われ始めている。報道されている仕組みは、値幅制限を超えるような安値注文が来たときは値幅制限ぎりぎりのストップ安にする「みなし処理」が発動され、新規上場株に限っては注文の取り消しを受け付けなくなる。こうした希なケースまで想定してシステムのバグ潰しが行われているかが問題だ。

 「またも東証のトラブル、改めて考えねばならない『要件定義は誰の仕事か?』」(東葛人的視点)は「要件定義書やシステム仕様書に記述がなければ、富士通が今回のようなエラーを処理するコードを書かなくても、法律上のロジックでは富士通には全く責任はない。たとえ富士通のSEがシステム仕様書を作成したとしても、ユーザーである東証が正式な手順でOKを出しているなら、東証が“提示”したシステム仕様書通りに、富士通がシステムを作っている限り、富士通には賠償責任は発生しない」と指摘する。つまり、仕様を決める東証に決定権がある。問題発生からの東証の行動を観察すれば、ここまで考えていない可能性が高いのではないか。

 しかし、新たに11月の長時間ストップについて問題点が指摘されており、富士通は東証は共に巨大テクノロジーを扱うセンスを疑われる事態になっている。事後検証をした「東証ダウン、運用体制の不備が根本原因」(IT Pro)は緊急時の対応手順も決めずに、いきなり本番機でプログラムを修整した点を取り上げて批判する。「バグを発見した際、富士通が開発機で本来の手続きを踏み、テスト作業を経た後、TCSが決められた手順で移行ライブラリに登録していれば、エイリアス設定手順の漏れに気づき、障害を未然に防げた可能性が高い。しかし、富士通が本番機で作業してしまったため、気づく機会を失ったのである」。この本番機での修整は東証が認めていた。

 単にコンピューターシステムの問題に止まらず、人的な問題も含めて、この国の経済運営の中枢に欠陥があったと言わざるを得ない。「みずほ証券誤発注問題を考える」(Aim High News Review)の主張は正しいと考える。「必要な手順を愚直に踏むことが、システム構築の王道であることは間違いありません」「当たり前のことを当たり前にやっていいものを作るのがプロの仕事というものです。こうした考えが欠落してしまったために、構造計算書の偽装問題は発生したのであり、その意味では両者の問題は同根のものであるとすらいえるでしょう。必要な工数は決して省略してはならず、請け負う業者はそのために必要なコストを請求する『勇気』を持たねばなりません」。愚直に仕事をする責任は、システムを発注し、運営する東証側も同じであることを強調したい。
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by ydando | 2005-12-13 21:43 | 政治・経済
村上ファンドを研究してみよう [ブログ時評35]
 プロ野球ペナントレース終盤、元通産官僚・村上世彰氏の率いる投資ファンド「M&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)」が、阪神タイガースを子会社に持つ阪神電気鉄道株を大量取得して筆頭株主に躍り出た。「投資の一環」と説明して阪神電鉄経営陣を安心させ、その間にさらに買い進めて38%を押さえ、経営の重要事項に拒否権を持つ3分の1さえ超えてしまった。これまでに936億円をつぎ込んで、もっと買い進む構えすらある。今年前半のニッポン放送をめぐるライブドアの行動と似ているようで、何か違う。ファンド内部の結束が強くて情報が漏れ出てこないが、ネット上で出来る研究をしてみたい。

 まず3月にあったマネックス・ビーンズオルタナティブ投資セミナーでの、ご本人の言葉を読んでみよう。「村上ファンドの村上世彰氏『"のほほん"としている経営者はクズ』」である。「経済産業省で会社の社長と話をする機会がたくさんあったのですが、業績が悪いのをみな日本の経済が悪いためだと言ったり、人のせいにする人ばかりでした。『ところで、自分で自社の株をどれぐらい持っているのですか?』と聞くと、『自分の会社の株なんて怖くてできませんよ』と言うんです。日本にはそんなクズみたいな経営者がたくさんいるんです」

 「雇用とか事業が失われるというが、敵対的M&Aは、既得権益者を排除して経営上の非効率なところを是正するために行われる」「むちゃくちゃ社員の給料が高いのはおかしい。それを是正して、退職者が他の局に行けば、人材がどんどん入れ替わるようになっていい。技術の流出を問題にする人もいるが、買収者はその技術を伸ばせると考えて買収している。なぜなら、敵対的買収者は資本という大きなリスクを取っているから」

 敵対的M&Aを挑む論理は、読む限りで非常に明快ではないだろうか。タイガースが弱くてどうにもならない時期にも特段のてこ入れもせず、株価が急上昇してもタイガース優勝のせいだろうと、ぼーっと見ていた経営陣には返す言葉も無いはずだ。

 読み物として一押しはAERA(2005年7月4日号)の「村上ファンドを裸にする 『勝負師』村上世彰の全貌」である。「小学校4年の時、仕事でめったに家にいない父から『小遣いを自分で稼いでみい』と100万円を渡され、株式投資を始めた」エピソードから最近の「行動する株主」ぶりまで描いている。

 おしまいの辺りに「1社あたり投資額は数百億円どまり。時価総額が兆円規模の大企業を攻めきれない。東大で同級生だった産業再生機構の冨山和彦専務は、こうも言う。『村上君の主張は、資本政策の技術的な問題ばかり。もう一歩進化して会社をどうマネジメントし、経営改善させていくかまで踏み込めていない』」とあるのが、とても引っかかった。村上ファンドは昨年までは1600億円規模だったが、最近の業績評価から海外を中心に資金が流れ込み4000億円規模にまで膨れ上がっているとされる。兆円規模の大企業はともかく、これまでから階段を1段上がって、経営にまで踏み込もうとしているのではないか。従来はなかった「3分の1超」取得が示唆していると思う。(なお、All Aboutの「村上ファンドの村上世彰氏とは?」なども参考になる)

 38%取得の手際は鮮やかだった。「isologue -by 磯崎哲也事務所」の「阪神電鉄株における村上ファンドの海面急浮上戦法」が練りに練られた作戦だったことを時系列グラフで解き明かしている。機関投資家に課せられている「3ヶ月ごとの基準日に締めて、そのときに5%を超えていたらはじめて翌月の15日までに報告しなければならない」制約と、10%を超えると休日を除く5日以内に報告する制約、さらに10月1日に阪神百貨店を100%子会社にして上場廃止、阪神電鉄株に交換する日程などを勘案し、9月後半の3連休2回を巧妙に使った。2ヶ月前に安値で9%ほど買い、報告義務が生まれた9月15日時点から大量買いに走った。連休明け26日に突然、筆頭株主と報告、「投資の一環」と説明していたころには、転換社債を安値で十分買い込み、既に3分の1超の目途は付けていたのだ。これは意気込みが違う。

 阪神タイガースの株式上場が既に提案され、老朽化が進む甲子園球場移転提案の噂もある。これからも旧来の常識にない提案が飛び出しそうな予感がする。それを頭から否定するのではなく、十分に検討したらよい。村上ファンドが球団社長候補に挙げた西川善文・三井住友銀行前頭取、福井俊彦・日銀総裁もある意味で面白い。「投資ファンドの功罪」(古時計日記・ブログ版)はこう指摘している。「しかし、じっくりと腰を据えて投資してくれるファンドはやはり心強いものだろう。モノ作りが大切であることは間違いないが、モノを作るにはヒトとカネが必要。本来、ヒトとモノは企業自らが調達してくるものだが、ダメ企業はそれができなくなっているわけであり、これを代行してくれるのも投資ファンドの役割。遠いところで投資ファンドの恩恵を受けている人も今の日本ではかなり多くなっているはずである」

 経済界では投資ファンドの動向に関心が高まっている。8月には日本経済研究センターが「投資ファンドの標的企業を洗う」を公表して、色々な指標から買収可能性の高い企業を洗い出している。ちなみにランク上位10社は以下の通り。
 1 富士写真フイルム
 2 島忠
 3 卑弥呼
 4 サンゲツ
 5 長府製作所
 6 任天堂
 7 アステラス製薬
 8 マブチモーター
 9 小野薬品工業
 10 双葉電子工業

 しかし、リストは30社まであるのに阪神電鉄は入っていなかった。経済専門家にも読めない行動だったと言えよう。

【追補2006/6/5】本物の投資家に至らず村上ファンド退場 [ブログ時評58]をリリースしました。
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by ydando | 2005-10-10 01:25 | 政治・経済
失敗する経営者の備え方、東西
 阪神は経営権を奪われるのではないか。村上ファンドが電鉄株を先日の「27%で筆頭株主」からさらに買い増し、経営の重要事項に拒否権が出来る38%も握ったニュースには驚きつつも、やはりと思ってしまった。最初は「投資の一環です」と聞いて安心していた阪神電鉄経営陣のお人好し、昨日になっての狼狽ぶり。村上ファンドに振り回されている状況から抜け出るのは難しそうだ。阪神の場合、個人投資家が持つ株式が6割近くあり、お金さえかければ過半数を握れる。すでに936億円とかを投入して買い進んでいる以上、簡単に高値で売り抜けるのではなく、経営権を握ってしまうと思う。未だに特別な要求を突きつけて来ないことが、まだ途中経過の段階にあることを暗示している。阪神タイガースのオーナーになるだけでも価値はあるし、子会社・阪神タイガースの株式上場とかも噂になっているよう。

 海の向こう、米国では9月の新車販売で前年同月比、GMが24%減の34万台、フォードが20%減の21万台とのニュースも今日の夕刊で流れた。逆にトヨタ、ホンダ、日産は10%以上の増加で過去最高を記録した。トヨタの17万8417台は4%増のダイムラークライスラーを抜いていて、フォードまで3万台に迫った。原油が1バレル60ドル台と高騰しているために、消費者は燃費の悪い大型車やピックアップトラックから小型車にシフトしている。年初に危機が言われたGMとフォードは社員価格を顧客にも適用する値引きで夏場2カ月ほどの拡販に成功したが、本質的な改善を怠って、小型車が得意な日本勢にいいようにされている訳だ。原油がそうそう簡単に下がりそうにない以上、GMとフォードの業績悪化が急速に進むだろう。
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by ydando | 2005-10-04 19:06 | 政治・経済