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by ydando
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カテゴリ:政治・経済( 35 )
敢えて一石を投じてみた理由
 16日の「専業農家の救出を急がねば稲作は崩壊 [ブログ時評87]」に色々な問題意識のコメントをいただきました。年末の忙しい時期にこんなエントリーを書いた理由も入れて、こちらからもコメントします。

 inoue0さんの議論はちょっと乱暴ですね。「経営が破綻したなら、田畑売ればいい」――農地法の規制があって売ろうにも売れないのが実情です。専業農家を追い込んでいる窮地は、自己責任で完結する企業経営者とは次元が違います。「集落どころか、農業そのものを畳むべき時が来たんです」とは、やはり思えません。輸入すれば買える私たちの時代はともかく、日本の次代が生きていく上で稲作を残すことはどうしても必要です。

 「図録・中国の食料消費対世界シェアの推移」で中国の膨張する「世界の胃袋ぶり」を見てください。世界消費シェアが豚肉56%、野菜48%ですよ。中国の人口は間もなく停滞に入りますが、後を追うインドは人口の抑制は効かず、経済発展によって同様に、あるいはそれ以上に大量の食糧を呑み込むようになるでしょう。

 東北の農家の長男さんは、山下一仁氏の「発想はうまくいくとは到底思えない、というのが実感です」と書かれています。兼業農家は損を承知で作っていること、なかなか農地を手放そうとしないことはもちろん知っています。山下案が全能の特効薬とは思っていませんが、今、実務的に進んでいる政策見直しには全く未来が無いのです。今日の読売新聞経済面「08税・予算」の見出しは「政府『大農家優先』見直し 与党の全般支援要望強まり」です。『大農家優先』とは「大企業優先」とダブる表現ですね。実態はどうか、読まれた通りです。農水省を担当している記者には私の問題意識は無いのです。敢えて書いておく必要を感じた由縁です。

 これまでに書いた記事、1997年の第21回「コメ作りの破局を見ないために」や2000年の第91回「無策コメ農政が専業農家を壊滅へ」 などで何度も警鐘を鳴らしてきたつもりですが、2007年暮れの段階でこれほど深刻になるとは予想していませんでした。第91回の文中に「世帯員1人当たりの家計費比較がある。勤労世帯を『100』とすると、95年の時点で、農業外の収入に主に依存している第2種兼業農家は『135.8』もあるのに、専業農家は『91.6』しかない」と書いているように、早くから見えていた専業農家の窮地です。
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by ydando | 2007-12-18 16:54 | 政治・経済
専業農家の救出を急がねば稲作は崩壊 [ブログ時評87]
 福島県米需給情報検討会議の模様を伝える、12月中旬の朝日新聞地域版には恐ろしい数字が並んでいた。県内稲作農家の10アール当たりの所得が2004年には53,266円だったのに2005年48,701円、2006年41,142円と減り続け、2007年は34,000円程度に落ち込むとの試算が公表された。10ヘクタールの大規模専業農家の年収が、2004年の532万円から2007年は340万円になる激減である。減収は来年以降も続こう。2000年の第91回「無策コメ農政が専業農家を壊滅へ」で警鐘を鳴らした当時はまだ「豊作貧乏」の段階だったが、いま起きている収入激減はコメの商業生産をしている専業農家に廃業を迫る。数で少数派ながらコメ専業農家こそが日本の稲作を支えている。明日に見えるのは稲作崩壊だ。

 「一体誰のための米価下落阻止大会なのか? NO2」(大泉一貫の日記)は米価下落阻止にしか関心がない農協の運動に疑問を投げる。「大変なのが、稲作専業農家。わが国の稲作システムは専業農家の作り上げた付加価値への吸着、搾取で成り立っているというのに」「一律に米価を上げろ、緊急対策しろと言った要求に耳を貸す必要があるのだろうか?」「売れる米を作っている専業農家にも、より一層転作をしろと言う必要があるのだろうか?」「対象を大規模零細稲作専業農家に絞ったセーフティネットの構築こそが必要なのに、みんな自分のことしか考えない」「農協維持のためには、数が大事とでも考えているのだろう。兼業農家組合員160万戸、農地持ち非農家80万戸、自給農家120万戸、さらにそれ以上の准組合員の参加がある。40万戸の専業農家はどうなっても良いのかも知れない」

 政府は2007年の稲作から中山間地の小規模水田を切り捨てて、ある程度以上の水田規模しか支援対象にしなくなった。平地の集落ならば「集落営農」で兼業農家の小さな水田を統合、機械力がある専業農家の力を借りて大規模経営に移行しようとした。コメ生産調整のたがは緩み、「望ましい作付面積」156万ヘクタールに対して全国で7.1万ヘクタールの過剰作付けが発生した。作況は平年作なのにコメ余り必至の情報が広まり、年々下がっている米価の下落に拍車がかかった。

 参院選の地方1人区で惨敗した自民党の危機感もあり、政府は808億円を投入して備蓄米の空き枠34万トン分を買い込んだ。さらに12月初め、なるべく農水省関与を減らし市場の流れに委ねようとしてきたコメ改革の方針を転換し、2008年産米について都道府県別「需要量に関する情報」を発表した。事実上の生産目標を示して減反を強化する。2007年産の作り過ぎ府県にはペナルティー分が上乗せ減反になっている。何十年も前の締め付けに復帰する政策だが、既に生産調整不参加となり政府支援を受けないでいる農家に何の強制力もない。コメ所の東北農政局「米の生産調整の実効性確保に向けて」は2月に「生産調整方針未参加農業者4万2千人(4ha以上:約2千人。4ha未満:約4万人)に対し、農政局長名等の要請文を送付」するとしているが、生産調整参加者が43万人なのだから「ザル」も相当なもの。生産調整が成功する可能性はまず無いだろう。

 「コメの将来 現場の混乱どう避ける」(農業ニュース)は生産調整の報を見て気をもむ。「価格が下がれば小規模農家以上に、大規模生産者に深刻な影響が出る恐れもある。担い手がコメ作りの意欲を失っては元も子もない」「需給調整をどう図るか、担い手をどう育てるか、消費者にとって魅力あるコメをどう作るか、販路をどう拡大するか――政治、行政、生産者それぞれの課題は重い」「肝心なのは生産者が安心して農業に取り組める環境をいかに実現するかだ。腰を据えた論議が求められる。改革によるコメの将来が見通せない中、生産現場を混乱させることだけは避けたい」

 民主党が夏の参院選で勝った大きな要因に、全ての主要農産物販売農家に対し農業者戸別所得補償をすると訴えたことがある。政府・与党も切り捨てたはずの小規模農家への対策を考え始めた。しかし、農業、特に稲作にとって焦眉の急はコメ専業農家を窮地から救出する対策ではないか。冒頭の試算では既に子どもの教育費すら危うい。遠くの大学に行かせるなんてとんでもない。

 衆参ねじれ現象下では、政策はなかなか法律に結実しないのだが、裏で全てが決まった時代と違い議論は大いに出来るはずだ。これまで余り省みられなかった、次のような主張こそ吟味してみたい。山下一仁氏が経済産業研究所上席研究員だった際に書いた「本格的な農政改革の完成を望む」である。「望ましい農政改革」と題された第4節をそのまま引用する。

 「零細副業農家の米販売額109万円のうち農業所得はわずか12万円(2002年)にすぎない。これは米価16,000円/60kgが1,800円低下しただけで消える。生産調整を廃止し、米価を需給均衡価格9,500円程度まで下げれば、副業農家は耕作を中止し、農地は貸し出される。一方、一定規模以上の主業農家に耕作面積に応じた直接支払いを交付し、地代支払能力を補強すれば、農地は主業農家に集まり、コストは下がる。価格引下げと対象農家を限定した直接支払いが構造改革による農業の効率化に必要なのである」「農業団体が農家選別だと反対する理由はない。零細農家が自ら耕作すれば直接支払いは受けられないが、農地を主業農家が借り入れれば零細農家も直接支払いの一部を地代の上昇として受け取ることが可能となる」「また、この直接支払いは農地への需要を高め、耕作放棄地を農業・食料生産に有効に活用する効果も発揮する。耕作放棄地を単に維持管理するためだけの規制や課税よりも優れている」

 衆議院調査局農林水産調査室の「『新たな経営所得安定対策等』についての学識経験者等の見解」(2006年1月)に所収の論文という。専業農家を国の補助金直接支払いで強化し、趣味の領域に近い兼業零細農家の水田を集め生産力を高めて米価下落に対処する。零細農家にも消費者にもメリットはあるし、世界規模の貿易交渉でもEUの農業保護施策などと対抗できる。日本の農業補助金は国際的にも巨額と非難されている。農業そのものにではなく、基盤改良工事などを通じ周辺の建設業者らに多くが落ちる仕組みになっているからであり、補助金無駄遣い解消にも大きな効果が見込める。

 今年から始まってしまった集落営農との折り合いをどう付けるかなど、厄介な問題は存在する。しかし、現在の集落営農では専業農家は痛めつけられ、いずれ廃業に追い込まれよう。既に集落の中に専業農家が1戸しかないところも珍しくないと聞く。一方、集落営農に踏み切ろうとすると兼業零細農家にも資金負担を求めざるを得なくなり、経済合理性がない集落営農をまとめるのは大変な難事業なのだ。

  ※関係の親サイト分野別入り口・・・《政治・経済》
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by ydando | 2007-12-16 00:32 | 政治・経済
安倍スキャンダルは本物――自民党崩壊の地響き
 安倍首相の唐突な政権放棄の日に、毎日新聞の夕刊などで講談社「週刊現代」がスキャンダルを追いかけていて安倍事務所に取材事実の真偽を質す依頼書が届けられていたと報じられました。今日15日、その「週刊現代」が発売になり、ネット上では雑誌紙面をスキャンした画像まで出ています。当然、著作権法違反なのですが、事が事なので、ここでは全文を読みたい人のために阿修羅掲示板の「本誌が追い詰めた安倍晋三首相『相続税3億円脱税』疑惑」を紹介しておきます。

 事前には諸説あり問題にならないとする話も聞きましたが、記事を読めば本物の疑惑であり、政権放棄しなくて安倍首相が国会論戦に臨んでいても、来週には政権を投げ出す結果になっていたでしょう。首相を目前に病に倒れた父、安倍晋太郎氏がため込んだ資金6億円が政治団体に寄付した形で残され、安倍首相は1991年に政治団体を引き継ぐことで相続税3億円を免れたというものです。もちろん時効ですが、事実関係が明るみに出て、一国の首相として巨額の税金を納めなかった申し開きは無理です。

 後継総裁選の幕が開き、既に優劣はついて、何とも白けた光景です。たとえ総裁選が盛り上がったとしても、この安倍スキャンダルを隠すことは出来ません。ほかの2世議員にも同種の疑惑が無いのかも追及されるでしょう。病院に逃げ込んだ形の安倍首相もいつまでも黙殺できないはずです。沈黙して通すなら議員辞職でもして公の場から消えないといけないでしょう。

 手堅い福田新首相の下で当面は立ち直るはずだった自民党に崩壊の地響きを聞く思いがしています。国家、国民の倫理観を引っさげて、教育改革などをして来た首相の内実が暴露された今、取り巻きが悪かったと同情していた自民党支持者まで裏切ることになりました。

【関連】15日付の赤旗「政治団体が預金3億円/資金団体と会計責任者同じ」が「安倍首相が初当選した九三年の収支報告書では、すでに約五億円の預金があります。この巨額の資産がどこから入ってきたのかは、当時の収支報告書官報からはわかりません」「安倍首相の政治団体の保有預金をめぐっては、初当選翌年に朝日新聞(九四年九月九日付)で、父親の政治団体を引き継ぎ、預金約六億九千万円を継承したと指摘されました」と伝えています。当時から認識はあったのですが、週刊現代が指摘するように相続税の対象になるとは考えられていなかったのかも知れません。
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by ydando | 2007-09-15 18:09 | 政治・経済
2005総選挙型の雪崩現象が再来する
 今回参院選では新聞3社が通常は1回しかしない選挙情勢調査を2度、実施した。焦点の自民党についての推計結果を簡単に示せば、朝日が41議席前後としていたのを38議席前後に落とし、産経も44議席を41議席程度まで下げた。読売は数字を示さないが濃淡グラフや記事での表現を考えると悪化は明らかで、40議席割れに落ち込む可能性を示唆している。一般には自民への逆風が強まっていると読まれるのだろうが、世論調査に携わって来た者として見ると、3紙とも数日の間を置いて実施した調査結果が違うこと自体がアブノーマルなのだ。しかも、同じ方向にシフトしている。2005年の総選挙終盤で起きた雪崩現象が再来すると考えざるを得ない。

 新聞の選挙情勢調査(世論調査)は過去の調査結果と投票結果をデータベースにして、今回の結果を予測する。調査時点の支持模様が投票日にはこう変わると予測しているようなものだが、これまでは大きく外すことはなかった。だから、2回の調査をしたらほぼ同じ結果になってもらわないと困るのだ。3紙とも自民悪化に振れている状況を説明するとしたら、新たに投票態度を決めた有権者の多くが、その選挙区の雰囲気にほとんど影響されずに自分の判断で野党系に流れていると考えられる。2005年の総選挙で各社情勢調査の推計を突き破る形で「与党が3分の2」を実現した。今回は逆に向いているだけだ。

 2005年には郵政民営化というシングルイシューが決定的に重要とする小泉首相に対して、新聞メディアはそれなりの異議申し立てをしたが、対する民主党側の選挙アピールは余りに弱々しく、有権者は与党支持に動いた。今回は年金問題が決定的である。「5000万件問題で年金の丼勘定ぶりに唖然 [ブログ時評80]」で使ったテクノラティ社の「年金」記事頻度グラフをもう一度、見よう。さらに「安倍」グラフも並べよう。
   ★過去180日間に書かれた、年金を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ : 年金

   ★過去180日間に書かれた、安倍を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「安倍」に関するグラフ

 選挙が公示されてからは公選法への遠慮から控えめになっているが、年金問題への関心は高度に維持されているようだ。公示前の盛り上がりは歴然としている。「安倍」グラフには5月末と6月末に大きなピークがある。年金記録問題へ泥縄式の対策を打ち出した時と、国会終盤で会期延長と強行採決をした時期だ。数千単位のブログが毎日、書かれると中身を読むのは無理だが、この二つのグラフに選挙情勢調査の変動を重ね合わせると、安倍政権への逆風はとてつもなく大きく根深いようだ。

 安倍首相は着々と政策を実現に移している、年金問題は安倍首相が起こしたものではない――と擁護する人がいる。しかし、年金記録問題を知ってから半年も放置した事実を国民が知ってしまったことはもう消せない。社会のセーフティネットが次々にほころんでいく中で、年金保険料納付で国家の庇護を確実にしていると思ってきたのに記録が確実でなく、国に裏切られた思いは深刻に尾を引いている。

【7/29夕・追補】各メディアの出口調査で自民の40議席割れは確実になりました。公明も大苦戦で10議席が危ないようです。
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by ydando | 2007-07-28 13:30 | 政治・経済
年金問題の風圧は落ちず、さらに住民税「増税」も
 この前の記事「5000万件問題で年金の丼勘定ぶりに唖然 [ブログ時評80]」の冒頭にテクノラティ・ジャパンによる「年金」キーワード記事頻度グラフを掲げました。ご覧になって下さい。5月末から週末に凹んでは持ち直す、見事な高原状です。ちょっと忙しかったので更新をさぼっていましたが、十分に代役を果たしてくれました。

 年金問題では26日付の日経新聞の「検証・さまよう年金記録」が良い材料を提供しています。一連の騒ぎの発端になった記事は昨年10月26日朝刊の「年金記録ミス2万4千件 照会者の2割」だといいます。社会保険事務所の窓口を訪れて納付記録を確認した人の2割に間違いがあったというものです。厚労省事務次官は「大部分は未統合記録が発見、修正されたから不払いは起きない」と答えていますが、今になってみると「2割」という高率は恐ろしいと言うべきです。

 年金は請求主義であり、本人が確認すれば問題はない――この建前がやはり大きな間違いなのです。もしこれでも良いとする前提があるとすれば、国側が精密に記録を管理して保険料を納付する人に信頼し、納得して貰えなければなりません。杜撰の極みと言える現状はほど遠いものがあります。

 前々から心配されていた通りに、住民税の「増税」がパニックを引き起こしています。知り合いの創価学会系の活動家は「参院選を頼みに行っても『今度ばかりは考えさせて貰う』と言われて困る」と嘆いていました。その活動家にして、「増税」が小泉政権下で既に決まっていたことを知りませんでした。「住民税」キーワードのブログ記事頻度グラフも貼っておきます。

 【7/2追補】内閣支持率が朝日新聞で28%、不支持率が毎日新聞で52%と危機的な水準になりました。

   ★過去90日間に書かれた、住民税を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「住民税」に関するグラフ

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by ydando | 2007-06-29 16:08 | 政治・経済
5000万件問題で年金の丼勘定ぶりに唖然 [ブログ時評80]
 「宙に浮いた年金記録5000万件」問題でブログが騒然としている。5月末からキーワード「年金」を含むブログ記事が連日3000件前後も書かれている。
   ★過去90日間に書かれた、年金を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ : 年金

  テクノラティ・ジャパンのブログ記事頻度グラフで最近の政治的事件と比べよう。例えば「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度導入を阻んだ「残業代ゼロ」騒ぎ(第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」)が12月の始まりから法案提出断念による収束までで5000件に満たなかったことを考えると、エネルギーの大きさが判る。ちなみに松岡農水相自殺の当日は1万件を超えるブログ記事が書かれたが、これは直ぐに収まった。

 社会保険庁や厚生労働省への不信感は募る一方である。「年金財政破綻の前に、年金記録が破綻」(夢主義社会)は「『年金の一本化』とか『社会保険庁改革』という話もありましたが、年金のための巨額の保険料の管理を、国の判断に任せておくのは大変不安です。こんな年金制度は、改革よりも、全て無くした方が良いと思います」と言い切る。「年金制度を廃止して、生活保護に統一すべきだと思います。現状では、国民年金よりも、生活保護の方が、多く支給されるそうです。老後に裕福な生活をしたい人は、自分でお金を積み立てておけば良いのです。老後にお金が無くなった人は、生活保護を受ければ良いのです。生活保護のための財源は、年金のための保険料納付を止めて、その分、所得税に上乗せすれば良いと思います」

 もう少し穏当な意見でも「社会保険庁は解体・完全民営化を」(利究 ”元銀行員のひとり言”)は「年金という国民の預り資金(公金)を扱うには余りのぞんざいさに呆れるばかりだ。長官を先頭に街頭でお詫びをしたらしいが、謝って済む問題ではない。社会保険庁の役職員に当時者能力がないということだ、今回発覚していることも内部的には当然周知されていたものが、『臭いものには蓋をしろ』的発想つまり組織防衛のため、ここまで遅れたのだろう。時間の経過と共に調査を難しくし、もう既になくなった人たちもいるだろう。生きていてこその年金ではないのか?」と怒る。

 実際には社会保険庁に危機感は無かったようだ。2億件あった年金記録を集約する過程で帰属不明になった5000万件だが、年金は「請求主義」であり、58歳の時点で受給者と記録をすり合わせるので、もし欠落した部分があれば調査して補えばよい――そういう前提に立っていた。

 それなのに60歳を過ぎていそうな「宙に浮いた年金記録」だけで2800万件にもなってしまった。この点について自民党の河野太郎衆院議員が「消えていない5000万件」でこう説く。「可能性として対象者が年金受給開始前に亡くなって、年金手帳による統合をおこなっていないもの、対象者が年金の受給資格がないため、年金の裁定がおこなわれていない(そのために年金手帳による統合がおこなわれていない)ものが大部分だろうと推定される」「しかし、この中には無くしてしまった年金手帳に載っていた年金番号があるだろうし、氏名、生年月日などが違っていて統合できなかったものもあるはずだ。だから、今回、2800万件の統合されていない年金番号の氏名と生年月日、性別を今、年金を受給している3000万人の氏名と生年月日、性別と照らし合わせて、ひょっとして漏れている可能性がありそうな人に、通知を出すことになったのだ」「だから5000万件は、消えたわけではなくて、2200万件は今後、その年金番号が載った年金手帳を持った人が年金をもらう年齢に達するごとに基礎年金番号に統合されていく」

 当然ながら、そのコメント欄でも批判が多い。国民の多くは自分が納めた年金保険料が年金財政の大枠中に投げ込まれ、個々人の記録として尊重されていないことに驚き、呆れ、憤慨していると思う。「統合されていく」時に記録がなければ何十年も前の領収書を求められる。これはたまらない。金額の多少はあるにせよ、国が国民から預かったお金ではないか。

 年金財政は百数十兆円の積立金を持っている。巨額だが、積み立てられた以上はこれに数倍する年金の支払い義務が国に課されるはずだ。年金問題に関心を持って久しいが、積立金と年金債務の関係をすっきり示す資料を見たことがなく、以前から不思議に思ってきた。今回の5000万件騒動で理由が判明した。国は自らの支払い義務の大きさを知ろうともしなかったのだ。納付記録が誰のものか調べが付いて可能になるのに、受給開始が確定するまで放置するのだから常時、大量の帰属不明記録があって全体の収支計算など不可能だった。

 「年金特別会計の問題点」(新潟青陵大学紀要第5号/2005年)で吉田堯躬氏が「特別会計の財務諸表は依然として年金の債務性を示すことなく、積立金があるという数字が示されている」「年金の給付現価が債務である以上、厚生年金及び国民年金特別会計の財務諸表との整合性が必要になる。けだし、国民の代表に提出する予算の財務諸表が債務性を認めている給付現価について触れずに従来方式だとすれば、形式的な財政民主主義自体の崩壊である」と強く指弾している。

 国民から請求があれば支払えばよい。自分が持っている財布にあるお金は見えていても、国民に将来出すと約束した年金債務の大きさを計算はする気はない――こういう国だから今回、1000億円程度の追加支出があったとしても、誤差の内だとお考えのようだ。どれくらい凄まじい丼勘定になっているか、実例をお見せしよう。

 「年金特別会計の問題点」は前々回平成6年の年金再計算で設定した積立金の運用益が大きく下回り、その後の5年間で8兆8千億円も少なかった問題を指摘している。「不足分は年金運用見込み違い損失として損益計算書で損金としてあきらかにするとともに、貸借対照表上、見合いの留保を行い、年金についての運用責任の明確化を図る等の工夫をするべきであろう。なぜなら、現在のシステムでは再計算のデータ-それは保険料や将来給付の設計に重要な要素である-として示されているにもかかわらず、それと無関係に資金の運用が予算編成作業に埋没してしまっている」

 年金再計算は5年ごとに年金財政の方向を決める重要なイベントだ。当然のこととして私は現実の年金財政収支の上に立っていると思ってきたのだが、今回の騒ぎで国が収支実態を把握していないことが判明した。あの計算は人口動態統計などの指標からはじき出した絵空事だった。そして、そんな絵空事だから巨額積立金運用益の実績が8兆8千億円少なくても意に介しない。
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by ydando | 2007-06-10 17:05 | 政治・経済
少子化の影響はまだ序の口
 「車が売れない現象は若者の指向変化か[ブログ時評79]」をめぐって、若い世代のクルマ購入が減っているのは少子化の影響と勝手に解釈される方がいらっしゃいます。ネットから簡単にデータは取れるので2005年国勢調査の5歳ごと世代別の人口集計結果を以下に収録します。

◎2005年国勢調査の集計 10年前の同世代との比
 0 ~ 4   5,578,087   93%
 5 ~ 9   5,928,495   90%
10 ~ 14  6,014,652   82%
15 ~ 19  6,568,380   79%
20 ~ 24  7,350,598   75%
25 ~ 29  8,280,049   95%
30 ~ 34  9,754,857   121%
35 ~ 39  8,735,781   113%
40 ~ 44  8,080,596   92%
45 ~ 49  7,725,861   75%
50 ~ 54  8,796,499   103%
55 ~ 59  10,255,164   138%
60 ~ 64  8,544,629   129%
65 ~ 69  7,432,610   141%
70 ~ 74  6,637,497   195%
75 ~ 79  5,262,801   285%

 20代での少子化の影響はまだ始まったばかりだと知れます。20代後半ではほとんど効いていません。従って少子化だから、若い人口が減ったからクルマが売れないという議論は成立しません。逆に30代の人口は膨らんでいるのにクルマの購入は減ってしまったのです。

 少子化の影響は今の10代が20代になる10年後には空恐ろしいほどに効いてくるでしょうが……。
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by ydando | 2007-05-15 23:44 | 政治・経済
車が売れない現象は若者の指向変化か [ブログ時評79]
 日本企業初の営業利益2兆円突破のトヨタ自動車にして、2006年の国内乗用車販売実績は前年比97%の約146万台だった。販売減少は2年連続だ。日産自動車に至っては前年比87%の約65万台、ホンダがやや健闘して前年比97%の約64万台。すっかり「車が売れない」現象が社会に定着してしまった。日本の自動車産業は乗用車についてみれば国内と海外でそれぞれ1000万台を生産しているのに、国内販売が500万台を大きく割り込む事態になった。好調のはずの日本自動車産業の足元が危うい。

 「☆ 売れない・・・ ☆」(小☆覇☆王☆日記)は「だが何より、若い世代の興味や行動の変化が大きいようだ。ここ数年、20~30歳代を中心に、将来の収入や家計負担に対する不安がより高まった。子どもの教育投資、住宅ローン、税金、金利、医療費などの負担が重くのしかかり年金制度への不信も強い」「自動車ほど価格が高くなく維持費もかからないデジタル家電を優先させる傾向が強まっているという。毎月の出費も、携帯電話やインターネット接続料などがかさみ、車が敬遠される要因になっている」と指摘する。

 「『世界一』の苦悩 」(じょーむ50才 地方都市会社役員の毎日思うこと日記)は連結売り上げ高24兆円がロシア国家予算と並ぶトヨタの苦悩に対して「主な原因は二つ」「性能が良くなりすぎて、買い替えの必要性を感じさせない」「意外なライバルは携帯電話。通話料がかさむので車が買えない」「決定打はないが対策は考えている。モデルチェンジ、新型車導入、残価ローン設定、旅行社との提携」「あらゆる方法を模索しながら、販売増に挑戦するとの事」とまとめる。

 実際のところ各社の目が向いているのは団塊の世代など、これまでに車を買ってくれたことがある層を掘り起こすことでしかない。車を持とうとしない若い世代に効く対応策は見いだせない。

 日本自動車工業会のJAMAレポートNo.100「運転者の変化と使用・保有状況」にある「図8.主運転者年齢」から1995年と2005年の分を以下に抜き出す。

 年齢層  1995年 2005年
 ~24歳  10%   5%
 ~29歳   9%   6%
 ~39歳  24%   21%
 ~49歳  29%   23%
 ~59歳  17%   23%
 60歳~  11%   23%

 1995年の販売台数はずっと多かったのだから、10年間で若い世代の乗用車購入は半分に減った印象だ。20代まで合わせて11%の状況では、クルマは若者のものとはとても言えない。そして車離れは上の世代にまで及んでいる。10年後の調査だから、世代がひとつずらせる点に留意して数字を見て欲しい。20代から上に波及している傾向は、新聞購読者やNHK視聴者での若者離れと似通っている。

 「若者のクルマ離れ…都会で売れない」(response.jp)は2007年1月、サンプル3000のインターネット調査で男女20~34歳層の「車を欲しいと思わない」理由を以下のように集計している。
 1位…今の生活では特に必要性を感じないから(74.1%)
 2位…車の維持費・税金が高いから(52.0%)
 3位…他の交通機関で事が足りているから(51.9%)
 4位…車以外のものにお金をかけたいから(43.9%)
 5位…車本体を買う金銭的余裕がないから(36.9%)

 この調査にはどんな企業に車をデザインして欲しいか、問う項もあり、そこではソニーやアップルが上位を占めた。先日、タクシーから、あるGTカーのリアスタイルを見て痛くがっかりした経験がある。こんな不細工な車、自分なら決して買わないと思った。かつてクルマ好きの私だからこそ、現在の日本車にときめくものを感じるのは難しい。

 では、若い世代は本当に車を見捨ててしまったのだろうか。それが判ると面白いと、警察庁の免許保有統計の数字を国勢調査の世代別人口で割ってみた。

  世代別の運転免許保有率
  2005年  男性   女性 
  20~24歳  88%   79%
  25~29歳  97%   89%
  30~34歳  98%   91%
  35~39歳  99%   91%
  40~44歳  99%   89%
  45~49歳  97%   84%
  50~54歳  94%   75%
  55~59歳  95%   68%
  60~64歳  88%   51%
  65~69歳  84%   35%
  70~74歳  76%   20%

 運転免許保有率がこれほど高いとは知らなかった。若い世代も女性を含めて十分に高い。マイカーは持たない、あるいは持てないとしても、車を走らせたい気持ちに差は少ないのではないか。文句無く良いクルマがあれば、そして若い世代では3分の1にも達している非正規雇用、低賃金の状況が改められるなら、国内市場は再び膨らむのだろう。膨大な利益を上げている自動車産業には、その期待に応える義務がある。

  ※関係の親サイト分野別入り口・・・《教育・社会》
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by ydando | 2007-05-13 23:21 | 政治・経済
世論の形成をブログの頻度から観察
 国内のブログの数は2006年3月末で868万と総務省がまとめているが、以降の発表が遅れている。その前の半年間で1.8倍くらいの膨張だったから、増加するペースが鈍ったとしても、現在は1千数百万と思われる。1人でいくつも持っている人がいても、ブログを書いている人数、さらに読んでいる大衆の数は膨大だ。それが世論形成に響かぬはずはないと考えてきた。テクノラティ社のブログ検索が最近になって、過去180日までの期間で当該キーワードを書いたブログの頻度グラフを示すサービスを始めた。これを使うと世論の形成を観察できそうだと気付いた。素材は「ホワイトカラー・エグゼンプション=残業代ゼロ労働」と「東京都知事選」である。

(※今回の記事は比較的大きなグラフを使っているので、ブログに不向きです。本文は以下の親サイトでお読み下さい。コメントやトラックバックはこちらに)

 記者コラム「インターネットで読み解く!」
 第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」

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by ydando | 2007-05-04 20:55 | 政治・経済
日銀の利上げ失敗と円安・虚構の好景気 [ブログ時評73]
 市場がほぼ確実視していた政策金利0.25%の利上げを、日銀が1月の政策決定会合で断念した。長期に異常なゼロ金利を続けてきた金融政策を正常化するために昨年7月まずゼロ金利を解除、第2段の追加利上げで0.5%を目指したが、政府・与党の反対もあって頓挫した。「日銀VS政府・与党」の構図で語られがちではあるが、本当に好景気なのか――そもそもの疑問が大きくなった。超小幅利上げに反対した側は景気の腰折れを心配している。おかしいではないか。安倍政権は「上げ潮路線」と称して、景気回復による税収増で財政再建は出来ると胸を張っていたのではなかったのか。

 次に掲げる四半期ごとの成長率の推移を冷静に眺めれば、ゼロ金利解除前後でトーンが変わったのではないかとの疑問がわこう。国際通貨基金(IMF)の専務理事も、政策決定会合に先だって「急ぐべきでない」と助言していた。

   【実質GDP成長率(年率)の推移】%
   2005年          2006年
   1Q  2Q  3Q  4Q  1Q  2Q  3Q  4Q
   3.4 3.2  2.8  2.1 2.7 1.1  0.8  ?
                ゼロ金利解除↑

 「福井総裁は何を考えているのか?」(未来から見た過去に生きる)は手厳しく批判する。「これだけ福井総裁が批判される理由は『天変地異でも起きない限り、1月に利上げというのが日銀からの昨年のメッセージだった』と取られても仕方のない発言を福井総裁がしていたからでしょう。日本経済の実情を見もしないで、ともかく『金利を上げること』がまず前提で総裁の仕事をするからこうなるのです」「昨年10―12月期の実質経済成長率が年率2%以上の比較的高い伸びとなるとの予測が出ていることは確かですが、この成長は元々石油で指数が上がったから出てきた数値ですから、他の指数は伸びていません。こんなことは民間の経営者でも知っていることですが、福井氏はそれも理解できないで日銀総裁をやっているのでしょうか?」

 もちろん政府・与党には低金利の恩恵が大きい。普通国債残高は540兆円を超えているから、1%の利上げは年間5兆円以上の利子増加に直結する。今年度の税収増など吹き飛ばしてしまう。「低金利の功罪」(気ままな生活)は低金利で得をする「住宅ローンを借りている人」「銀行融資を受けている企業」「国債を大量発行している政府」「為替取引で外貨を買っている人」「銀行」「輸出企業」を並べ上げて「得をする人と損をする人と比べてみると、どう考えても低金利で得をするものが多そうだし、この国では力を持っている」と観察している。

 「日銀利上げせず」(金小だより)は発想を変えろと促す。「ポイントはいくつもあるだろうが、指摘される点はまず『CPI』(消費者物価指数)だ。福井日銀総裁も利上げのタイミングの最重要参考値と発言している。原油価格の下落がCPI の上昇を抑えると同時に、このまま円安が続けばそれも効かなくなることから原油価格や為替もポイントだ。そして株価と長期金利。特に株価については底堅いうちに利上げをしとかないと、ほんとに利上げできなくなるんじゃないかな。そういう意味で逆に日銀のほうが、CPIが確実に上昇し利上げに支障がなくなるような政策をバシバシやって欲しいくらいの注文をつける」べきだとする。

 低金利政策に依存するだけで、自前ではほとんど有効な施策を打ち出せない政府こそ動かなければならないはずなのだ。今回の景気は期間さえ長いものの内需を掘り起こしての自律的な景気回復ではない。一部の大企業が海外で大きく利益を積み上げただけであり、消費者の懐にお金が回るどころか、勤労者の収入は微減の有様だ。既に決まっていたこととは言え、今年に入って所得税からの恒久減税分が廃止になり、確実に家計は縮んでしまう。

 昨年は各国で金利引き上げが進行し、日本だけが取り残された。米国の政策金利は5.25%、欧州は3.5%である。内外金利差を利用して国内で安く借り、海外に高金利で預ける動きが広がっている。このため海外通貨に対して大きく円安に振れている。

 「日銀の利上げ見送られましたね。」(Skyforブログ)は「今、日本の安い金利が災いして、すごい勢いで円安が進んでいます。日本で学生をしていればそんなに気にしなくてもいい事ですが、留学生にとっては深刻な問題です」と訴える。「例えば、私がイギリスに出発した9月15日の時点での為替相場は、1ポンド=222円。当時は、『うわー、最近レートが悪いなー』と嘆いていました。なぜならその2ヶ月前のレートが1ポンド=211円で、2ヶ月で11円上がってしまっていたからです」「今いくらだと思います、レート?1ポンド=239円ですよ!」「単純に計算しても、100万円の送金が3ヶ月遅れていたら、7万円損したことになってました」

 この記録的な欧州通貨高がソニーの次世代ゲーム機には救いなのだという。「欧州がソニー『PS3』を救う ユーロ、ポンドに対する円安が追い風」は日本や米国で売ると1台3万円の赤字になるPS3が、欧州では3000円程度の赤字で済むと報じている。EU諸国は域内貿易比率が大きいので通貨高もさほど苦痛でなく、むしろ基軸通貨としての自信を高めている。逆に円は投げ売りのような状態。こんな歪んだ状況から抜け出すシナリオを描くのは政府であって、決して日銀ではない。
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by ydando | 2007-01-21 16:35 | 政治・経済