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by ydando
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カテゴリ:社会・教育( 24 )
「非モテ」意識と親同居独身者の増加 [ブログ時評60]
 152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」は5日間で2万人以上の方に読んでいただき、5千人以上がブラウザの「お気に入り」に登録された。ブログのコメント欄には「3人に1人!!!!終わってますね。。。日本人滅亡しちゃうんじゃないかな。。。生きることにもっと意欲を持たないとダメだな」(のぶ)と嘆く声や、「例えば、頑固で無口な職人。例えば、企業戦士と言われたような実直で不器用なサラリーマン。我々の父、祖父といった世代のこういった人間達は性格的には現代のオタクや非モテと言われる人間達に近い」「こういった人間でもかつては普通に結婚できたのだ。それが現代では同じような性分の人間が何故か結婚できない」(覚悟)との問題提起などが書き込まれた。

 20代前半男性の50%に交際相手の女性がいない――との調査結果を紹介してみると「非モテ」の問題はやはり深刻なのかも知れない。ベストセラーになった『電車男』はその「非モテ青年」の話だった。「はてな・非モテ」は「『モテ』は第三者による評価だが、『非モテ』は自意識の問題といえる。その一方で、『モテるための努力を回避する』という恋愛至上(資本)主義へ批判的態度およびその人のことを指す場合もある」と、意識の問題であることをはっきり述べている。

 「2ちゃんねる」では膨大な数の掲示板が、この話題を話し合っているし、「非モテ系日記ウェブリング」などという同好の集まりまである。恋愛のノウハウを語る便利サイトでは、非モテ度合の点検など実に細々とした議論があるが、あまり心に響いて来ない。

 Googleで「非モテ」を検索すると200万件中の5番目に「非モテの本質」(arai blog)が登場し、ネット上でも支持されているのではないか。「非モテの本質とは、投入リソースと試行の不足にあるのです。いわゆるモテ資本は、設備的なものと、経費的なものに分けられます。ポイントは、どちらも一定の水準を下回ると、非常に女性と付き合うのが難しくなるということです」「非モテ男子は、女子への欲求が少ないのか、それともhesitateしているのか、モテ資本へのリソース投入が過少であることが多いのです。まずはhesitateをやめて、どんどん投資しましょう」。そのコメント欄にも当然、賛否が書き込まれている。異論には、リソース、つまり資源を投入したい先は色々あって、恋愛ばかりに割けないとか……。

 「第12回出生動向基本調査・結婚と出産に関する全国調査・独身者調査の結果概要」の「未婚者の生活と意識」が「親と同居する未婚男性が大幅に増加」と伝えている。女性の場合は以前から親と同居する割合は高かった。

    ◎親と同居する世代別未婚男性の割合  
       20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳
  1992  59.7%  63.5%  68.0%  63.5%
  2002  72.4%  70.3%  72.4%  73.4%

 非正規社員やフリーターの増加などの社会要因が親との同居を押し上げた面があると分析しているが、男性の場合は正規社員でも同居率の上昇が顕著なのだ。どちらが原因で、どちらが結果かは判然としないが、家族の中でぬくぬくと納まっていれば、お金や面倒な手練手管も要る、女性との交際などあまり望まないかも知れない。

 一方、非婚化の風潮の中で最近、積水ハウスが、結婚しない娘と両親が暮らすための住宅プランを発表して話題になっている。非婚化は商売にもなり始めているようだ。
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by ydando | 2006-07-23 20:10 | 社会・教育
20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ
    ※親サイト「インターネットで読み解く!」連載
     第152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」
     として執筆したもので、こちらではデータを一部省略しました。

 2005年国勢調査の速報集計結果が公表され始め、65歳以上人口の比率21.0%は世界最高、15歳未満人口の割合13.6%は世界で最も低い水準と少子高齢化が歴然とした。しかし、大きな論点が語られていない。2000年国勢調査では独自に分析した結果、出会い系サイトなどが思わぬ力を発揮して第107回「非婚化の進展をITが阻み始めた」を書くほど非婚化に一定の歯止めが掛かった。今回はその傾向が進むかと楽しみにしていたが、結論から言うと、非婚化への歯止めは大きく息切れしてしまい、生涯未婚率上昇が加速した。男性なら今の30代後半は4人に1人、20代後半は何と3人に1人が生涯独身を通す可能性が高い。女性は男性より生涯未婚率は大幅に低かったが、今の20代、30代は同世代男性に急接近しそうである。

 分析の方法は5年ごとに実施されている国勢調査の特性を利用して、5歳階級の世代ごとに過去6回調査間の5年間で未婚率を減らした%ポイントを計算する。「脱未婚ポイント」と名付けて集計すると、各世代がどの時期に、どのくらい結婚してきたのか一覧できる。(詳しい計算結果は親サイトに掲載)

 生涯未婚率は人口学上の概念で50歳時点での未婚率である。女性なら結婚しても子どもが出来る可能性が極めて低くなるので、そう定めた。男性でも50歳以上での結婚は少ない。若い世代の将来の結婚行動を見通す手段として、年上世代がそれぞれ直近の5年間にした「脱未婚ポイント」を積み重ねると仮定する。つまり、20代後半男性は現在72.6%の未婚率であり、30代前半世代の脱未婚21.6ポイント、30代後半世代の脱未婚12.0ポイント、40代前半世代の脱未婚3.8ポイント、40代後半世代の脱未婚1.1ポイント、50代前半世代の脱未婚0.6ポイントを合計した39.1ポイントしか未婚が減らないなら、差し引き33.5%が生涯未婚で残ると考える。

 50代以上は現実の未婚率、40代以下はこうして計算した推定の未婚率を採って生涯未婚率グラフにすると以下のようになる。2000年調査では40代、50代の男性に結婚熱が再燃して、動向次第では生涯未婚率を大きく動かすとも見えた。2005年になると、ずっと上の世代に比べると結婚への動きは活発ながら、2000年に見えたほどではない。例えば、50代前半男性は2000年までの5年間に1.1%も未婚率を下げたが、次の同世代は2005年までの5年間では0.6%下げただけだった。年上世代の結婚行動を年下世代も踏襲すると仮定すれば、このようなグラフになってしまう。
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 2002年に実施された国立社会保障・人口問題研究所の「第12回出生動向基本調査・結婚と出産に関する全国調査・独身者調査の結果概要」は「現在結婚することに利点があると感じているのは未婚男性の6割(62.3%)、未婚女性の7割(69.4%)であった。逆に男性の1/3(33.1%)、女性の1/4(26.3%)は結婚に利点はないと考えている。男女とも利点を感じない人がわずかずつ増えており、とりわけ男性で明瞭である」と分析し、「利点がない」とする割合が20代後半の生涯未婚率推定値とほぼ同じである点が示唆的だ。

 この調査は「国勢調査から推定される配偶関係の構成と本調査から得られる未婚者の異性交際の状況から、各年次、各年齢階級における異性のパートナーシップの状況を推定」しており、こちらも興味深い。元のグラフを是非、見てほしいが、20-24歳の一部分だけ数字を拾っておく。

《図Ⅱ-3-3 年齢階級別にみた、パートナーシップ構成の変化》
 20-24歳:[男性]
   結婚 同棲 婚約中 恋人あり 異性の友人あり 交際相手なし 
1987  7%  -   2%    23%    25%    41%
2002  7%  3%   2%    26%    13%    50%
20-24歳:[女性]
   結婚 同棲 婚約中 恋人あり 異性の友人あり 交際相手なし
1987 17%  -   4%    26%    22%    31%
2002 11%  3%   3%    34%    12%    38%

 15年前と比較すれば、「恋人あり」や「同棲」が増え、逆に「交際相手なし」も増える、男女交際の両極端化が進んでいる。青春真っ直中、20-24歳の男性に交際相手なしが50%もいるとは、「それほどに仕事漬けなのか」「いったい何をして日を送っているのか」と聞きたくなる。

 もうひとつ、同棲経験について「25~29歳での増加が目立ち、今回調査では男性10.3%、女性10.0%と初めて1割に達した。しかしながら、現在同棲を継続している未婚男女は、最も多い25~29歳でも3%足らずであり、いまだ少数派である」と報告している点も目を引く。

 廣嶋清志・島根大法文学部教授が「人口学からみた性別――晩婚化・非婚化の原因と展望」でここに取り上げた非婚化や晩婚化について論じている。「多くの曲折はあるとしても基本的には結婚を含む社会関係が全体的に自立した個人間の関係へ変化する過程であり、また女性の社会的地位向上の過程ということができるであろう」「欧米の第2の人口転換といわれる過程は、同様の本質を持つものであるが、比較的多くの国で同棲が増加し、出生率低下を緩和している点で日本と異なっている」「日本の社会変化がいっそう進行すれば、いままでみてきたように、おおむね逆に晩婚化・非婚化を緩和していくものと考えられる。しかし、それがいつ頃になるかを予測するのは難しい」

 生き物として子孫を残すのは本質的な行動なのだが、日本の社会状況では、ままならないことも理解できる。しかし、20代の男女で「交際相手なし」が50%とか38%と知り、生き物としての「ひ弱さ」を思うのは私だけだろうか。また、4人に1人、3人に1人と、これほど多数の生涯独身者を出すのなら、老後の生活保障や高齢者介護など社会システムの備え方も従来と大きく変えねばならない。

  ※生涯未婚関係の親サイト分野別入り口・・・《人口・歴史》
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by ydando | 2006-07-16 01:36 | 社会・教育
過熱とも見える東アジアの国際結婚 [ブログ時評53]
 4月初め、韓国が異常な結婚難に陥り東アジアから大量の「嫁取り」をしていて、「2005年の結婚件数の13.6%が国際結婚で、特に農村地域では韓国男性の35.9%が外国人女性と結婚」(共同通信)と伝えられた。毎日新聞によると「中央日報は『単一民族という共通認識が崩れる』との趣旨の見出し」を掲げたそうだ。「結婚難」(漢風楚雨)は「この道は、かつて日本が歩んだ道。そして、今も歩んでいる道。その横を、今、韓国が全力で走りすぎていきました」と理解しつつも驚く。日本は1990年前後には韓国から妻を迎える形の結婚も多かったが、やがて「嫁取り」の先は中国やフィリピン、タイに移った。日本では国際結婚が結婚総数に占める割合は2001年に5.2%に達し、その後は頭打ちになっている。

 韓国農村部でこれほど深刻なのは、急速な経済発展から取り残されたためだろう。これまでも国際結婚に頼るところがあり、相手女性の国籍は2003年までは韓国語が話せる朝鮮族の女性を中心にした中国が最多だった。ところが、2005年はベトナム、中国、フィリピンの順になった。韓国語と中国語が話せる朝鮮族女性は、中国が世界の工場になりつつある現在ではサービス業などから引く手あまたらしい。

 韓国人男性と結ばれて韓国にいる日本人女性が書く「ふらり韓国通信♪」の「韓国の国際結婚事情」が現地報告してくれている。「田舎の張り紙には、『ベトナム女性と結婚しましょう!』だの『タイ女性ご紹介します!』だの、広告が貼られてたりする」「私の周りでもこういった国際結婚がゴロゴロいてたので驚いた。ある中国人女性はシオモニ(姑)同居&子供有り&結構歳いった韓国男性に嫁いだ。お互い中国語も韓国語も話せず結婚。もちろん英語なんぞ論外」「韓国では バツイチ男性、その上シオモニと同居なんていうのは、韓国人女性が一番嫌いなパターンのため、嫁が見つからない。んで、韓国で相手が見つからないなら、じゃあ、外国人、となったらしい」

 言葉の問題以外にも、生活習慣・風習が違う人との国際結婚には様々な落とし穴がある。例えば、静岡県で中国人女性との結婚を奨めている人が書くブログ「国際結婚 反日デモから1周年」は日本には無い、女性側が仲介者に払う成婚料について触れている。「黒竜江省ハルピンの相場は5万元(日本円75万円)とも言われています」「成婚料は中国側・女性側のことで日本男性には関係無いと思っています。夫の収入と妻の収入は別で夫婦は一つの財布という発想がありません。そして働くのは当然である、彼女らは働いて返金すれば簡単に解決できると思っています。それを日本語も話せないのに勤め先は無い」「専業主婦でお小遣いを2~3万円もあげればよい、それよりも早く子供をつくりたいと考えておられるとしたら結婚生活は旨くいくとは思えません。どうすればベターかですが、月々バイト収入5万円位+お小遣い3万円位あれば本人で解決すると思います」

 日本が東アジアから結婚相手の女性を迎え入れるようになって、既に20年にもなる。失敗して離婚に至るケースもある。厚生労働省統計情報部の「人口動態統計年報・主要統計表」から公表されている最新2002年の数字を拾って、何が起きているか見よう。ただし、妻の国籍が韓国・朝鮮の場合、在日韓国・朝鮮人が多数を占めている。

    《結婚・離婚の国籍別件数と離婚/結婚比》
  2002年     結婚   離婚    離婚/結婚 同(1998年)
 夫妻とも日本  721,452 274,584 38% 33%
 --------------------------------------------------------
 夫日本・妻外国 27,957 12,087 43% 35%
 (妻の国籍)                       
  韓国・朝鮮 5,353 2,745 51% 40%
  中国 10,750 4,629 43% 32%
  フィリピン 7,630 3,133 41% 40%
  タイ 1,536 699 46% 27%
 --------------------------------------------------------
 妻日本・夫外国 7,922 3,165 40% 33%

 離婚は何年か経ってからするもので、当年の結婚数との比率をみるのは奇妙に思われるかも知れないが、ここ数年はほぼ定常状態にあるので指標として意味がある。4年前、1998年分の比率も付けたので、比べることで傾向が明確になる。日本人同士の結婚に比べて「夫日本・妻外国」型は離婚が明らかに多く、その中間に恋愛が多いと思われる「妻日本・夫外国」型が位置している。離婚が驚くほど多いとは思わないが、お見合いによる国際結婚のハンディキャップは確かにあるようだ。

 今年2月、滋賀県で中国籍の妻が近所の幼稚園児2人を刺殺する事件が起きて、地域社会の受け入れ態勢に問題がなかったか、心配する声があがった。ブログを読んでいると、韓国でも自治体が外国人の妻にアンケートしたりしてケアに乗り出している。言葉も判らない大量の外国人妻を受け入れるようになって、韓国で大騒ぎが起きるのはむしろ今後だろう。急速な経済発展で歪みを受けたためか、韓国は既に2001年時点で離婚率が日本を上回ってアジア最高になっている(世界62カ国の離婚率)。韓国の家族生活に起きている変化に、さらに波乱が加わる。


【これまでに国際結婚や多民族化を扱ったコラム】
第1回「空前の生涯独身時代」 (97/05/08)
第73回「非婚化の先に見える多民族社会」 (99/07/08)
仏の暴動と名神7ブラジル人死亡事故 [ブログ時評40]
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by ydando | 2006-04-09 17:38 | 社会・教育
ウィニー対策で政府が使用中止呼びかけ?!
 とうとう政府は、安倍官房長官までがウィニー使用中止を国民に呼びかけた。情報流出を起こした愛媛県警は全職員の家庭まで回ってパソコンを点検、家族が使っているパソコンで見つかったウィニーを削除させる笑い話にまで発展している。この国の情報管理のあり方について「ウィニー禍が明かした低レベル情報管理 [ブログ時評50]」で警鐘を鳴らしたばかりだが、本質に気付くどころか、どんどんおかしな方向に進んでいる。流出ファイルを凍結するために、司法取引でもして開発者の協力を得るとか知恵はありそうなものだが、ほとんど意味がない使用中止呼びかけしか策が無いとは、いやはや……。
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by ydando | 2006-03-15 12:34 | 社会・教育
ウィニー禍が明かした低レベル情報管理 [ブログ時評50]
 元東大助手が開発したファイル交換ソフト「ウィニー(Winny)」による個人情報や機密情報の流出が拡大し、止まらない。「Winny個人情報流出まとめ」に流出一覧が収集され、警察8件、自衛隊4件など2005年末から急拡大したことが分かる。ウィニー開発者が著作権法違反幇助の罪で公判中ではあるが、ウィニー自体に違法性があると考えるのには疑問がある。ネット上でよく言われる喩えを引けば「出刃包丁を作った職人に殺人罪の幇助を問えるのか」である。情報流出もウィニーシステムに巣食うコンピューターウイルスが引き起こしているだけだ。流出させないよう管理するのが公的機関や企業の責務のはずで、自衛隊の作戦機密や刑務所の受刑者名簿、性犯罪被害者名を含む捜査資料までとなると、あまりにも低レベルな情報管理に、IT先進国とは恥ずかしくて自称できない気分だ。

 ウィニーシステムには平日でも30万台を越えるパソコンが接続と推定されている。互いにハードディスクの一部を提供し合い、巨大な記憶容量の空間が生まれる。参加者から提供されたファイルは、その空間を流れていき、入手希望者が多ければ盛んにコピーされて広まる。人気ファイルには音楽や映画、パソコンソフト・ゲームなどの著作権を侵したコピー類が多い。ウイルスが送り出すファイルは違う。「Winnyを利用した歴代のウイルス解説」で最も有名なウイルス「2005/03/20 仁義なきキンタマ TROJ_UPBIT.A」を拾うと「感染したPCのデスクトップのスクリーンショットやOfficeのドキュメントやOutlookやOEのメールファイル、 2chへのKakikomi.txt、Winnyの検索履歴と共有ファイル名を ZIPにまとめて勝手にWinnyにアップロードしてしまう」とある。パソコン内にある資料やメール類をまとめ圧縮パックして送り出してしまうのだ。

 大規模流出を起こした岡山県警などは「興味本位で入手する人が増える」との理由で、流出資料の説明を拒んだ。しかし、ネット上の掲示板では、どんどん明かされていき、流出を起こした警官がウィニーでアダルト動画などを手に入れていたらしいことも暴露されている。相談窓口を遅ればせで作った。

 事後対策で愛媛県警が全警察職員からウィニーを使わないとの誓約書を取ったことも、情報管理の常識からみてピント外れだった。「機密データが持ち出されるということ自体がリスクなのです」(8:05発準特急京王八王子行き)はこう批判する。「よく考えてもみてください。データが持ち出されなることがなければ、私用パソコンに何が入っていたって関係ないはずですよ」「逆にデータさえ持ち出してしまえば、その先にあるのはリスキーな世界です。誰かに盗まれるかもしれないし、どこかに置き忘れるかもしれない。ほら、自宅に着くまでに、パソコンの電源を入れる前までに、既にリスクだらけじゃないですか」。そして、民間では実践されている2原則「パソコン・記憶媒体の持ち込み・持ち出しは禁止」「外部接続するパソコンへの機密データの収納を不可能にする」を挙げる。

 ウィニーに流出したファイルは半永久的に漂流するしかない。情報が漏れたと恐れる人には「外出も出来ない」と閉じこもっている例さえある。3月11日に大阪で、ウィニー開発者が講演し「プログラムを書き換えれば流出ファイルの入手は止められる」と述べた。ウィニーシステムに管理者を置いて、管理者が問題ありと認定したファイルの固有番号を流し、入手禁止にさせてしまえるそうだ。時間を置くほどに流出ファイルの入手者は増える。海上自衛隊のファイルは3月初めで3400人以上が手に入れたとの推定すらある。しかし、開発者にこの改良をしてもらうのに「お願いします」だけでは済まないだろう。ウィニーの改良を著作権法違反幇助と捉えて摘発した出発点を見直さざるを得ない。そんな高度な判断が出来る仕組みが、この国の司法制度にあるだろうか。

 自衛隊は私物パソコンを業務に使ったのが問題として、7万台を緊急に配備することになった。それなりに理屈は通る。ところが、この関連で「2006年2月のWhat New!海自機密データ流出」(日本軍事情報センター)を読んで仰天した。「ある演習を取材したとき、隊員が頻繁に携帯電話を使って連絡を取り合っていた。そこで演習部隊の連隊長に『携帯電話の持ち込みは禁止できないのですか』と質問したら、『携帯電話がないと演習が成り立たなくなります』と言われた」「もちろん私物で、自衛隊が隊員に貸し与えた通信機(官品)ではない。戦争になれば携帯の電波は盗聴(傍受)され、発信位置が測定をされるし、敵から妨害電波をかけられると通話できない通信機である。でも、それ(私物)がなければ演習が出来ないという時代なのである」

 実際に戦争になって欲しいとは決して思わないが、国家レベルから時と場合に応じた情報管理が誤っていると言うしかない。
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by ydando | 2006-03-12 20:17 | 社会・教育
釈然としない東武・竹ノ塚踏切事故の判決
 昨年3月、東武伊勢崎線・竹ノ塚駅踏切で歩行者4人が電車にはねられ、2人が死亡した事故の判決が3日、東京地裁であり、元踏切保安係に禁固1年6カ月(求刑禁固2年6カ月)の実刑判決が言い渡されました。事故は開かずの踏切を現場の判断でやり繰りして開いていたために起き、「実名記者ブログと素人の踏切事故追究 [ブログ時評17]」でも取り上げました。記憶されている方が多いかと思います。実刑もやむなしでしょうが、東武鉄道の責任が見えず、釈然としないものです。現場には今はエレベーター付きの歩道橋が出来ているとのことですが、立体交差実現の見通しはまだまだのよう。

 東武鉄道はこの事故の後で「冷酷無比な東武鉄道よ」に取り上げられているように3歳の長男を運転室に入れた運転士を懲戒解雇したり、竹ノ塚駅助役がポイント凍結を防ぐ燃料油を補充しようと内規に違反して線路内に入ってはねられ重傷を負っています。これらにも批判がありました。事故に戻ると、毎日新聞の「事故と責任、裁判ではっきりせず…遺族」が公判で「本社の課長は、保安係や踏切の実態について『把握してなかった』『報告はなかった』と繰り返した」と伝えています。会社はきれい事を言って口をぬぐっている印象が強いと思えます。
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by ydando | 2006-02-03 19:06 | 社会・教育
離婚「減少」現象を科学っぽくしてみましょう
 「離婚の減少はサッカーW杯から始まった [ブログ時評26]」についてトラックバック「『読み物』と『科学』の境界」をいただきました。良い機会なので「減少」現象をちょっと検証してみようと思います。

 今回の仮説を実証するのが困難であることは最初にお断りしています。個別の例を積み重ねても、例えば、たまたまアザラシの「タマちゃん」に癒されて離婚を見送った方を何人か見つけたとしても、何の証明にもなりません。新聞社が得意の世論調査の手法も効きません。年間30万件近い離婚の1割くらい、3万件が見送った程度の現象を、全国の有権者1億人を3000人くらいで代表させている抽出調査が検出できるはずがありません。

 先日のグラフ年表の小さな山や谷は、非常に大きな波の上にある「波乱」にすぎないとの見方も可能です。例えば景気変動の波が実は基底にあって、景気が多少でも上昇していないとしたら、2001年のように離婚増加は高原状に続いていて、皇太子妃出産のようなイベントに対応した突発的な減少の谷が現れるだけなのかもしれないということです。

 注意すべきは「こんな人とは暮らせない」と離婚へ内向する気持ちを、ふと外にそらせる、癒しのトピックは存在しても、離婚に走らせるトピックはおそらく無いことです。家庭内で色々な過程があって初めて離婚へと向かうのであり、かなりの積み上げが無ければ無理です。「初カツオを食べたいから女房を質に入れる」ような離婚は無いということです。グラフ年表で意味があるのは谷のところだけになります。

 そういう目で見ると、谷の存在と世間で起きるトピックが連動している点だけは認めるべきだ、となるかもしれません。逆に、全てが偶然であると片づける訳にはいかないのは明白です。どなただったかの感想「説得力があるが、むしろ信憑性は50%とみたい」が中庸になるのかも知れません。
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by ydando | 2005-06-22 18:51 | 社会・教育
離婚の減少はサッカーW杯から始まった [ブログ時評26]
 厚生労働省の人口動態統計で2003年にわずかに頭を打った離婚の件数が、2004年からはっきりと下降傾向を示した。離婚の件数と率は欧米の高い水準に向かって上がり続けて当然と思われていたのに、何が日本の家族に起きているのか。マスメディア報道は年金分割法の実施が数年先に予定されていることを申し添える程度で、非常に物足りなかった。それではとブログ上で「離婚減少の意味を論じられる方はいませんか」と問いかけたのが6月6日。何人もの皆さんと議論しているうちに、次に示すグラフ年表が書けてしまった。以下の仮説を実証するのはとても難しく、直ちに新聞記事にも出来ないと思われるので、ブログ発のニュースとして発信してみたい。今回の離婚の減少はサッカーW杯から始まり、「冬のソナタ」でブレークした韓流ドラマブームで本格化し、北朝鮮拉致被害者と家族の帰国などによって増幅されている――少なくとも私はそう考える。
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 まず、上のグラフが出来た事情から説明したい。離婚の月別増減を前年同月比%で示している。生の数字を見ると3月が多くなるなど季節変動があるので、人口動態統計の月報でもこの方法で比較している。「あざらしサラダ」さんが、ITmedia「技術者を襲うストレスとうつ、原因と対処法は」を引用して、「『昨年、中高年女性の自殺率が激減した。理由はヨンさま』だと書かれています」「自殺も離婚もストレスが極限に達したときの現象だと考えると、関係があるのではないでしょうか」とコメントされた。電通による広告景気年表から2003年の「衛星第2で放送した韓国ドラマ「冬のソナタ」(4.3~9.4)が人気沸騰」を引いて「意外に何年の出来事か、覚えていないものです」と応えた際に、統計には年報以外に月報が存在することを思い出した。月単位で離婚動向と見比べれば、何か言えるのではないか。

 データ入手はすべてネット上でした。「冬のソナタ」の影響を調べることから始めたが、色々な山や谷が見えてきたので、2001年初めまで拡大して、家族の心理に響きそうなニュースを並べてみた。離婚とは家族的な日常を壊して、非日常に踏み出すことだ。佐世保の小学女児殺害など、想像を絶する非日常行為に至ってしまった事件で繰り返し言われているように、誰かがちょっとした示唆をしてやれば、本人の上り詰めている気持ちを解いてやることが出来る。ニュースにはそんな、気をそらしてくれそうなモノを選んだ。

 順に検討していこう。2002年5、6月の谷がサッカーワールドカップ日韓開催で生まれ、一連のストーリーの始まりである点は異論が少なかろう。66%もの視聴率を記録した日本戦さえあった。ただ、その前に2001年12月に小さな減少があり注目だ。プラス10%を超えるような高水準の中だから目立ち、皇太子妃出産が対応していると思える。サッカー熱が冷めた時をフォローしたのが、2002年8月のアゴヒゲアザラシ「タマちゃん」多摩川登場らしい。この年は一進一退が続いた。10月のノーベル賞報道の中でも田中耕一さんの飄々とした生き方には癒されるものがあったと思う。拉致被害者の帰国も前後している。

 この雰囲気で迎えた2003年、4月から9月の「冬のソナタ」NHK衛星放送により韓流ブームが起きた。離婚への影響は2004年4月のペ・ヨンジュン来日までつながっていよう。ただし、2003年11月の谷には総選挙が関係しているかもしれない。2004年5月の最大減少には拉致被害者が北朝鮮に残した子ども帰国、7月の谷にはジェンキンスさん父娘来日が当たっている。10月の谷には新潟県中越地震が家族の絆を様々な局面で見せ、一役買っているかもしれないと思う。

 以上の仮説が正しいとしたら、日本の離婚はどうなっていくのか。韓流ドラマブームのピークは去ったが、まだ根強いものがある。レンタルビデオ店でも驚くほどのスペースを占めている。この面からの癒しは当分続くと考えられよう。また、家族のことに関して、世間の感受性が上がっているように思えるのは私だけだろうか。これから起きるであろう種々の事件が従来よりは、離婚に対して歯止めをかける可能性があると思う。2005年に入っての月報はまだ発表されていないが、しばらく減少傾向を維持するのではないか。

 ここまで書いたところで、検証を始めるきっかけになった情報「昨年、中高年女性の自殺率が激減」の真偽が気になり始めた。人口動態統計で簡単に調べられる。

 【女性の世代別自殺死亡数】
 世代  2002 2003 2004 
 30-34  524  588  565 
 35-39  471  522  459 
 40-44  373  446  474 
 45-49  480  493  450 
 50-54  854  762  658 
 55-59  790  791  838 
 60-64  715  775  753 

 40代後半と50代前半に限れば減っている。それも合わせて年間で12%の減少だ。その上下の世代ではむしろ増えている。「激減」と称するのは難しく、韓流ブームの影響も否定できないと言える程度ではないか。離婚は毎月2万件以上もあり、年間で数千件しかない自殺とは社会情勢の反映の仕方が違うようである。


 【追補6/21】ITmediaに上記の指摘をしたところ、「激減」との表現を撤回して「昨年のヨンさまブームのおかげで中高年女性の自殺率が減少したという説を紹介」に改められました。学会などでささやかれていた話を統計的検証なしに使われたようです。
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by ydando | 2005-06-19 01:36 | 社会・教育
離婚減少の意味を論じられる方はいませんか
 「厚生労働省:平成16年人口動態統計月報年計(概数)の概況」が先日、発表されて、離婚率の減少傾向が明確になった点に注目しました。2002年に最高の28万9836件を記録、2003年にわずかに下がったのですが、傾向が変わったのか、はっきりしませんでした。概況の「5  離婚」を見てください。2004年は27万815件とピーク時より19021件も減りました。人口千人に対する離婚率も「2.15」に落ちました。上がりつづけて当然だったはずなのですが・・・。

 熟年離婚といった言葉が一時もてはやされたものです。これは同居期間別の分析グラフをごらんいただくと良いでしょう。ほとんどの層で減っていて、熟年離婚の方が減少度はやや大きいようです。手元に良いデータが無いので、ブログを当たってみました。とりあえず、次の2つしか見当たりませんでした。

 「全日本カウンセラー協会相談室」の「サーズより怖いニート」は「熟年離婚率が減少しているのは、『離婚』という逃避の域は過ぎて、自滅、内部崩壊の域に」とし、寄生しているニートの子が親の離婚を邪魔しているという趣旨を述べられていますが、傍証データ無しでは苦しい感じです。「離婚率、15年ぶりに大幅低下」(モノ太郎の雑学コラム)は妻側と夫側と離婚理由について、書かれているだけです。

 起きていることの意味について、何かを書ける方は是非、トラックバックしてください。年金分割法が施行されるのを待っているとの説を、どこかで見たような気もします。しかし、熟年離婚だけが顕著に減っているのでもありません。

 国際比較をしたい向きには、ひとつ良いサイトをお教えします。「経済・社会データランキング」です。「離婚」を開いて見てください。ここのは結婚100カップル当たりの数です。80年に「5.9」だった韓国が2000年に「35.9」にもなり、日本の「18.3」→「33.1」を追い越しています。凄まじいことが家庭内で進行したと思われます。残念なことに、OECD加盟国を中心にデータを集めているので中国のデータはありません。項目によれば中国のデータもありますから、色々と使ってみてください。「政府の無駄の少なさ」「汚職認知指数」「報道の自由の世界ランク」なんて項目もあり、日本はかなり低位です。
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by ydando | 2005-06-06 00:04 | 社会・教育
臓器移植法改正2案でますます混迷 [ブログ時評24]
 自民、公明両党の与党政策責任者会議は臓器移植法の改正案として出された2法案を了承、それぞれが賛同する議員を募り、今国会に議員立法として提案されることになった。施行8年で40例に満たない臓器の提供を増やしたい趣旨は同じでも2法案は内容が異なり、斉藤案は現行法の枠組みを守ったままで臓器の提供年齢を15歳から12歳に下げたもの。河野・福島案は脳死を人の死とする方向に踏み出し、本人の生前意思表示がなくても家族の同意によって臓器提供が出来るようにする。

 現行法では生前意思表示により臓器提供する人には脳死が死であるが、しない人は脳死になっても死んでいない。これを守る斉藤案に比べ、河野・福島案は「脳死=死」とすっきりしているかに見えて、実は違う。提案者・河野太郎氏は「そう単純に『脳死は人の死』ではない」で「本人が生前に脳死を人の死と認めていない場合や家族が脳死を死と認めない場合には、『法的脳死判定』を拒否することができるようにした。脳死状態であっても、『法的脳死判定』が行われない以上、脳死にはならない。だから、脳死を人の死と考えない人は『脳死』にはならないことになる」と説明している。もともとの河野案は「脳死=死」だったのに大修正が加わった。

 3度目の腎臓移植を経験しているという「偽らんだむ日記ADVANCE!!<出る杭は打たれてもやっぱり出るぞ編>」の「朝日新聞『三者三論』」は河野氏について積極面を評価しつつも「ただね、脳死になったら、と普段に考えている人はいない。その必要もない。だから法改正。ってのは乱暴だなぁ。こういうこと言うと、やっぱりムリヤリな臭いがしてくるな。嫌がる人がでてくるな、僕も含めてだけど」と、疑問を投げる。

 「私憤を国会に持ち込む議員」(二条河原落書)は河野氏が父親・洋平氏(衆院議長)に生体肝移植をした経験が暴走を招いているとみる。術前の説明と違って大きなリスクを感じ「騙したな。こうなったら、生体移植をゼロにできるよう、脳死体からの移植を推進してやる」となったのだとみる。

 専門家たちも動き出していて、脳死・臓器移植法研究会が何年かぶりに復活した。「脳死・臓器移植法研究会」(刑法授業補充ブログ)は「臓器の提供が問題となる場合に、脳死判定だけを拒否する場合というのは実際上もほとんどなく、移植医の側からもこのような例外は理解しがたいという指摘がなされた」「本来は脳死判定について一般的に家族に拒否危険をみとめることによって脳死反対者の批判を回避しようとしたことと、現行法において脳死判定は臓器移植の場合のみにおこなわれるということをよく考えずに結合させたために、このような矛盾した提案になってしまった」との議論があったことを紹介している。実際の病室で移植関係者と家族の間で、また混乱必至とも思われる。

 再び「私憤を国会に持ち込む議員」にある「『脳死』は人の死ではない」ことを主張することと、難病で『移植でしか治る可能性は無い』と医者から宣告された方たちを救済することとは、矛盾しないと私は考えている」というのは、かなり多くの方の気持ちだろう。その道筋はずっと前から見えている。私の連載第8回「臓器移植法と脳死・移植の行方」は「足りなかった科学者の謙虚さ」の項で次のように分析している。

 医者にとっては「ノー・リターン」状態は「死」かもしれないが、患者と家族にとっては直ちに「死」ではない。戻ってこないかもしれないが、完全に彼岸に行ってしまったのではない、そんな中間状態を経て死に至るというのは、日本人にとってなじみの死生観念である。せめて、「私たちの判定はノー・リターンを保証したものにすぎません。患者さんが死の淵をさまよいながら、何かの意識を持つといったこともあるかもしれませんが、それは現代医学では不可知なことです」と、分からないことは分からないと明言する科学者の謙虚さをもって説明してくれていたなら、事態は大幅に変わったはずだ。現在の脳死判定技術で「全部の脳が死んだ」と宣告できると強弁して変えない、私に言わせると非科学的な態度の結果、それなら、脳死判定をするのは臓器提供意思のある人に限りなさいという法律が出来たのだ。
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by ydando | 2005-05-29 18:50 | 社会・教育