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by ydando
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カテゴリ:食・健康( 21 )
医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59]
 産科医療の実情が6月中旬、次々に明らかになり、日本の医療システムが崩壊する悲鳴を聞いたと感じた。まず、日本産婦人科学会の実態調査で、全国で5、6千はあると思われてきた分娩施設が3000カ所に急減した。多くは都市部に集まっており、自分の住む町でお産が出来る市町村は大幅に減った。1万人以上いると思われた分娩を扱う医師数もわずか8000人だった。次いで、産科医は当直が月平均16.7回で当直明けの日もほとんどが働き続け、週平均61時間労働――と勤務実態を示す厚生労働省研究班調査が出た。

 産科医はどれほど過酷な勤務をしているのか。「周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページ」から横浜市大母子医療センターの奥田美加主任が衆院厚生労働委でした説明を拾う。メンバーが多い大学施設なので当直こそ少ないが「平日に1回当直があり、他に緊急手術や患者家族とのお話、診療の下調べなどのために残り、休日に帝王切開で呼ばれて1回登院、という平均的な週の在院時間をざっと計算してみると、85時間くらいになるでしょうか」「産科医療は誰かがやらなければならないですし、産科を専門としている私は、現在の仕事は確かに好きですが、こんな状況ですので、自分が辞めもせず死にもせずに何とかやれているのが不思議です」「次世代が増えなければ、もう限界だと思います」

 お産では、ある確率で胎児や母体の死が避けられない。遺族から過誤と訴えられるケースが増え、刑事責任の追及まで続いて、大学を出たばかりの医師が産婦人科を避ける傾向がますます強まっている。2月に福島県で、帝王切開中に注意不十分で大出血を起こし妊婦を死なせたとして産婦人科医が逮捕された。「福島県の地元紙の報道内容」(ある産婦人科医のひとりごと)は「産科診療に従事していれば、癒着胎盤の大出血に遭遇する可能性はいつでも誰にでもあり得ます。万一、『この国では、産科診療中に癒着胎盤の大出血に遭遇した場合には、診療の結果次第で、担当医が逮捕され有罪となることを覚悟しなければならない』ということになれば、危なくてこの国では誰も産科診療には従事できなくなってしまいます」と抗議している。しかし、この事件検挙は県警本部長賞を受け、6月には奈良県でも出産直後の妊婦が死亡したのは処置にミスがあったと産婦人科医が書類送検された。

 福島県では逮捕の医師を出していた県立医大が、1人医師体制では負担が大きすぎると県立病院への派遣を相次いで取り止め、奈良の病院は分娩の受付を制限する処置に出て、お産難民の増加に拍車をかける結果になった。「どうする?日本のお産」プロジェクト「質問1」のアンケートに、医師不足により「勤務する大学産科婦人科学教室関連病院では、一昨年から本年6月までの間、県立病院1軒、市民病院4軒、私立病院2軒、の計7件が産婦人科閉鎖もしくは分娩取り扱い中止となった」「医師になってまだ10年も経っていない若手が教室関連病院の中での人事から離れ、独自に私的施設へ就職する例が多いというのが、5年前まではあまりなかったのに、近年めだっている現象である」と記されている。産科を離れ婦人科専門に転じたり、条件が良い民間病院を指向する。

 同じアンケートに北海道の支庁にいる産科医から、こんな回答がある。「現在、私一人しかいませんが、派遣元から病院長へ9月一杯で派遣を打ち切ると通告がありました。近隣の病院までは、救急車で3~4時間かかる地域です」「子宮外妊娠破裂を起こすと、今後、この地域では確実に死にます」「自宅で早剥を起こすと、胎児は死亡するか重度障害児になります。母体は、死ぬか、助かったとしても、子宮が残っていることは少ないでしょう」最後は悲痛に結んでいる。「仮に、私が派遣元をやめ、現在の病院に残ったとしても、派遣元からの応援なく365日、24時間拘束ではやっていけません。必要なのは、個人の頑張りではなく、永続して産婦人科医師を確保するシステムなのです」

 MRICインタビュー「もはや医療崩壊は止まらないかもしれない」で小松秀樹・虎の門病院泌尿器科部長が医療崩壊のメカニズムを語る。「ほとんどの勤務医は勤労意欲を失いかかっています。いつ辞めようか、いつ辞めようかと思いながら働いています」「それでも基本的に医療が好きなので、何とか踏み止まってきました。これに患者との軋轢が加わりました。実際に、相当数の医師がやる気をなくして、病院を離れています」「そこそこの労働条件でバリバリ働ける医療施設があったら、優秀な医療者は皆そこで働きたいと思います。こういった施設は健康保険の枠内では実質的に不可能ですが、自由診療にすれば充分可能です。民間保険とリンクして、そういった医療機関を作ろうという動きがあるやにも聞いています。急性期病棟に踏み止まってきたリーダー的な医療者たちが、そういった医療機関に移動してしまったら、もはや日本の保険医療は質を保てません。結果的に民間保険に加入できない低所得層は真っ当な医療を受けられなくなるということです」

 お産の場合、基本は自由診療であり、異常があった場合のみ健康保険適用になる。大都市では出産費用は高額でも設備が良い民間病院が出来ていて、そこに医師が集まる一方、福島の事件で地方病院からの引き揚げは加速した。産科領域では既に引き返せないほど、人材移動と分娩現場縮小が始まってしまった。小さな県では将来、お産が出来るのは県庁所在地だけにもなりかねない。遠隔地の妊婦は、事前に病院近くにアパートを借りたり、ホテル住まいで出産に備えなければならない。少子化対策が言われる時期に、出産そのものに大きな負担が加わる大逆行。医療費の増加を食い止めることにしか関心が無かった国の医療行政が、医療の内実を放置してきた結果である。
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by ydando | 2006-06-23 19:04 | 食・健康
八重洲北口へ気軽に吟醸酒を飲みに
 先日の吟醸酒隆盛で日本酒に新時代が来るか [ブログ時評55]で紹介した「全国70蔵直営スダンディングバー『吟醸バー 蔵70』」に行ってきました。8月5日まで開いています。定休は日・月曜日で、開店17:00~21:00。

 まず1000円で1100円分のチケットを買って注文します。小グラスに3種の吟醸酒をセットした利き酒セット(600円)をA、B2セット、さらに1杯300円をひとつ、酒造会社が持ち寄った郷土おつまみセット500円に、チェイサーとして酒造水ボトル100円で、100円分あまりましたから、また行くことにします。

 立ち飲みなので、ゆったりとは出来ませんが、全く知らない酒の味を知るのは楽しい。たくさん飲まないのが、かえって良いと思います。吟醸酒の場合は全く同じ味には出来ないので、知っている銘柄でも微妙に味は異なります。場所は東京駅八重洲北口にある1階食堂街の中でも北の方です。店の人によると、半数の客はこのイベントがあることを知らないで来た、通りすがりの方だといいます。1000円ちょうどで、利き酒セットとおつまみセットだけ。さっと切り上げるのも、いいでしょう。
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by ydando | 2006-06-08 18:38 | 食・健康
看護師不足起こし老人医療放棄を強行 [ブログ時評57]
 医療制度改革関連法案が衆院を通過し、今国会で成立の見通しが立った。この「改革」では、慢性疾患などで長期入院している患者の「療養病床」全国38万床を、2012年度までに15万床に減らし、いわゆる「社会的入院」に大鉈を振るうことが目玉になっている。まだ、これからの話だと思っていたら、この4月の診療報酬改定で病床削減を促す、「先取り制度改革」があり、全国の病院が大騒ぎになっている。

 四病院団体協議会が全国で緊急調査し「看護師の確保が困難な中小の民間病院を中心に約1割の病院が運営困難に陥っている」との結果を発表した。一般病棟の場合で看護職員1人当たりの入院患者が15人、13人、10人が従来の区分だったのに、新たに7人の区分を設け、従来よりも高い区分に移らないと報酬が減る仕組みとした。このため大病院を中心に仲介業者に1人100万円を払ってでも看護師を引き抜き、診療報酬を維持しようと躍起になっている。

 あおりを受けている病院に勤めるナースが書く「療養型は今大変です」は危機的状況を報告している。「医療区分2以上の人を入れないと、病院は赤字になるらしいです。医療区分2の人というのは、鬱病の人、あと認知症等で暴力行為がある人、褥瘡が酷い人もだったかな?嚥下機能訓練中もよかったと思う。医療区分3の人は循環や呼吸不全で常時医療が必要な人で、今まで普通に療養型に入院していたただの寝たきりの人は医療区分1ってことで、病院としては置いておけないんだそうです。いても儲けにならないから」。さらに、看護職員1人当たりの数え方が旧式だが「看護師の数が、現在の患者数5対1ではなく、4対1にしないとちゃんとした診療報酬がもらえないという事で、どの療養型の病院も躍起になって看護師募集してます」「毎月のように退職者がでるもので、採用しても追いつかない。このままでは病棟閉鎖か?という位の危機です」

 病院経営側の「病院の1割、経営危機~地域医療の崩壊が心配です」も書く。介護保険実施時に職員配置基準がゆるい療養病床が出来て転換したのに「医療制度改悪法案では、『療養病床』を全廃しようとしています。ファッショ小泉と厚生労働省の悪巧みです。医療機関側は、かけたはしごをいっせいにはずされたのです」「私どもの法人は、120床病院と3つの無床クリニックを運営していますが、従来のままだと9千万円の減収になるところでした。全職員で知恵を出し合って必要なところに経営資源を集中することにし、病院の一般病床90床を7:1看護配置に、30床の療養病床は一般病床に転換する目途が立ちました」

 開業医が書いている「町の病院が潰れる」は悲惨な予想をしている。「これまで病院は、在院日数の減少、紹介率の上昇、医療の標準化など効率化に励んできましたが、改定ではこれらの努力は無視され、看護師の人数だけで診療報酬が決まるようになってしまいました」「この余波を一番受けるのが実は高齢者です。大病院では長期の入院は困難なため、長期入院の受け皿が中小の民間病院です。これは経験しないと理解できないことですが、大病院で退院勧告され自宅での介護が無理な場合、次の受け入れ病院を探すのは大変なことです。中小の病院が次々に閉鎖されるとますます大変になるでしょう。在宅介護が国の方針なので致し方ないのでしょうが」

 総医療費抑制のために在宅介護が打ち出されてはいるが、今回の診療報酬改定では本気で在宅介護をするつもりがあるのか疑いたくなる、もう一つ驚くべき改悪が行われた。病後のリハビリを最大180日しか医療保険の対象にしないと決めた。この改悪を新聞に投稿、告発した脳梗塞の免疫学者、多田富雄さんの「リハビリ中止は死の宣告」はネット上でも共感を呼び、反対署名運動が広がっている。「昨年、別な病気で3週間ほどリハビリを休んだら、以前は50メートルは歩けたのに、立ち上がることすら難しくなった。身体機能はリハビリをちょっと怠ると瞬く間に低下することを思い知らされた」「リハビリは単なる機能回復ではない。社会復帰を含めた、人間の尊厳の回復である。話すことも直立二足歩行も基本的人権に属する。それを奪う改定は、人間の尊厳を踏みにじることになる。そのことに気づいて欲しい」「今回の改定によって、何人の患者が社会から脱落し、尊厳を失い、命を落とすことになるか。そして一番弱い障害者に『死ね』といわんばかりの制度をつくる国が、どうして『福祉国家』と言えるのであろうか」

 いくらリハビリをしても症状が良くならないから打ち切るというのは、交通事故などを対象にした損害賠償保険の考え方だ。公的な健康保険の考え方ではない。厚生労働省がここまで医療と保険について無知だったとは、想像もしていなかった。そして、一連の改定が公明党を与党として実施されていることが信じられない。母体である創価学会は高齢者の支持が厚く、選挙運動は婦人部が担っていると言って過言でない。これから半年後、1年後に病気の高齢者を抱えた家庭がどのような状況に陥るか、想像するのは難しくない。来年の参院選にも大きく響く可能性がある。

 【関連】医療制度改革試案とメディアの虚栄 [ブログ時評37]
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by ydando | 2006-05-21 20:14 | 食・健康
吟醸酒隆盛で日本酒に新時代が来るか [ブログ時評55]
 日本酒輸出が拡大しており、4年連続で前年比増を記録した。2005年は一升瓶(1.8リットル)換算で530万本にあたる9537キロリットルを輸出、輸出額は53億3857万円だった。国税庁が発表した清酒の年間課税出荷数量が73万キロリットル余りだから国内消費に比べ1.3%程度に過ぎないが、海外では高級な吟醸酒に人気が集まっているといい、国内でも若い世代に吟醸酒をアピールする長期イベントが東京駅八重洲北口で近く始まる。2005年は焼酎ブームが一服して前年比で横ばいになり、毎年6ポイント前後も下げ続けていた清酒出荷が3.3%減でおさまった。ネットの楽天市場で吟醸酒を検索すると7162件もヒットする隆盛ぶりが、後退し続けている日本酒に新時代を開けるだろうか。

 「海外で日本酒ブーム到来!?」(獺祭庵・・・つれづれなるままに)が共同通信の記事を引きながら米国のブームを語り、興味深い関連サイトも集めている。「最近は日本酒を今までは“Japanese Sake”と言っていたのが“rice wine”と言ったりするそうです。僕の経験から、アメリカ人の日本酒の好みの傾向としては冷やでは淡麗辛口路線が多いように思う。なるほど、淡麗辛口なら吟醸香があってフルーティなので“rice wine”かも知れない」

 輸出量が31%と最も多い米国が、金額で48%(26億円)を占めていることからも高級化が著しいことが判る。しかし、米国で日本酒を飲んでもらう道筋は単純ではなかった。1979年から「大関」が米国現地生産を始め、大手の「月桂冠」「松竹梅」、中小で「八重垣」なども続いて参入した。例えば米国月桂冠は2005年に3400キロリットルを生産し、米国内のほかカナダや欧州、南米にも販売した。現地生産により輸出量以上の日本酒が実際に飲まれているのだが、1998年に私の連載第56回「お酒の消費に起きている地殻変動」で「米国では安い米国産米を利用して清酒の現地生産も始めているのだが、日本酒はホットコーヒーのような温度で飲まれる習慣が抜けない。あれは日本酒ではない。文化としての日本酒を広めたいという」と書いた。

 現在でも、びっくりするような高温で飲む習慣は現地産日本酒では続いている。しかし、吟醸酒が日本料理店ばかりか、フランス料理店などでワインに近い存在として出されるようになり、輸出されるものは全く別系統の酒と認識されるに至った。全国の小さな造り酒屋が連帯してつくった日本酒輸出協会などの日本酒文化普及への尽力が、ようやく実を結んできた。

 そこに加わっている「南部美人」のリポート「日本酒輸出協会(SEA)アメリカ、カナダミッション」報告」(2000年)を見よう。「午前中の飛行機でニューヨークに移動して、夕方は昨年イベントを開催して大盛況だったグランドセントラル駅の地下にある有名な『オイスターバー』で食事をしました」「現在では飲み物のリストの中に『SAKE』として南部美人が入っています」「午後9時から2号店のオープンパーティーに参加しました」「一升瓶を得意げに持って歩いてくるニューヨーカーばかりで、あちらでは一升瓶はとてもかっこいい粋なものだと口をそろえて話していました。招待客はなんと300人を越え、その8割が地元ニューヨークのアメリカ人という地元に密着したイベントでした」

 欧州でもこうしたイベントは試みられているが、飲んでもらって喜ばれたとして最大の問題は、どうやって広範囲な客に微妙な温度管理を必要とする吟醸酒を供給するのかである。「海を渡る酒半」(大門酒造)がその答をインターネットに見出したと書いている。「巡り会いは突然やってくる。2000年頃のドットコムブームの中で、ワインのインターネットビジネスを目指すいくつかのベンチャー企業との提携話が生れては消えていった。落ち着くまで少し様子を見ようかと考えていたころ、今の米国側輸入総代理店、『Vine Connections社』を紹介された。サンフランシスコに本社を置くワイン専門の輸入卸売業者で、南米産のワインを扱って急成長しているという」「小さい会社だったが、二人の真摯な姿勢と熱意に感じ入った。はじめから米国での戦略を非日本食のレストランと米国人の一般家庭で飲まれることをターゲットにしているeSakeとしては全米の流通業者へのフットワークが良く、願ったりの相手だ。即刻、提携の握手をした」。「USA-Premium Sake Menu」に米国で売られている商品リストがある。

 ここで一つだけ、私がサイエンスライターを名乗っている分の仕事をしておこう。フルーティな香りを特徴にする吟醸酒とは何なのか。日本酒は麹菌と酵母とふたつの発酵エンジンを持つ珍しい酒で、そのために醸造酒でありながら原酒のアルコール度数は異例に高い。この両エンジンをフル回転で働かせる温度管理が日本酒にとって最適なはずだが、それでは吟醸香は現れない。最適な温度よりかなり低い温度で発酵させると、酵母は逆境に苦しみつつ異常な物質を生み出す。それが吟醸香である。微妙な味わいを楽しむため、高精米で米を4割も削り雑味の発生を極力抑える。日本一の酒どころ、灘五郷の古い蔵には北向きに開いた天窓があった。六甲山から吹き降ろす、寒の「六甲下ろし」を導き入れて、吟醸香が出来る状態を昔の杜氏は作り出した。当時は経験的な手法だったが、現在では温度管理をどうすれば実現できるか、研究は出来ている。タイガースソングにうたわれる六甲下ろしの効用である。

 日本吟醸酒協会が「全国70蔵直営スダンディングバー『吟醸バー 蔵70』」を5月16日から8月5日まで、東京駅八重洲北口1F「キッチンストリート」内で開く。昨年も開催したのだが、目立たない場所で反響は今ひとつだったのだろう。今度は東京駅に打って出る。その分、昨年より単価は上がるが、それでも全国70銘柄の吟醸酒を1杯300円で飲ませる意味は大きい。戦時中の統制が尾を引いて、清酒の流通は地域が限られていた。地元の酒屋に注文しても「そんな遠くの酒は入ってきません」だった。味さえ知ってもらえれば、どんな遠くの顧客にも買ってもらえるインターネット通販時代に、日本酒を普通の商品として再生させる契機になるか、成り行きを見つめたい。
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by ydando | 2006-05-06 16:59 | 食・健康
医療制度改革試案とメディアの虚栄 [ブログ時評37]
 厚生労働省が発表した医療制度構造改革試案と、対する在京マスメディアの報道ぶりに「党首討論と医療改革 大手新聞の異常」(メディアの海)から「医療改革の社説にも驚きを隠せない。厚生労働省が発表した、『医療制度構造改革試案』というものの前提にしている、医療制度の問題点を、そう簡単に認めてしまっていいのだろうか。最近の新聞は、『構造改革』という名が付くと、無批判に追随しているように思えてならない」と鋭い指摘が出されている。社説を書いている論説委員は官庁取材の現場も知ったベテランだし、試案発表の記事を書いている記者は厚生労働省クラブを担当している以上、意地でも「にわか専門家」になる必要がある。それが「試案を勉強した程度」の記事と社説しか書けない。官僚の掌の上にいる孫悟空である。大阪にいる私は、ここまで各社とも揃って駄目になったのかと呆れた。

 もうずっと昔から、医療制度改革について旧・厚生省が何か言い出すときには、言っていることよりも、語られていないことに問題が潜んでいると目を凝らすのが、この分野の仕事に関心を持つジャーナリストの常識である。在京マスメディアには論説委員を含めて、もう「人」はいなくなったのか。試案を説明する膨大な資料を読みほぐすだけでエネルギーを消耗したのか。それは言い訳にならない。例えば新聞なら購読料という多数の市民の支持・付託を受けて、権力を見張っているのが市民社会と暗黙に結んだ契約関係のはずだ。

 老人医療などについて短期的な制度の手直しがあるので、報道の多くはそちらに目を向けた。しかし、最大の問題は違う。試案では医療費削減を2015年度に2.6兆円、2025年度で7兆円も見込む。短期的方策で生まれる削減は2015年度なら6千億円でしかなく、残る2兆円は中長期の方策、つまり糖尿病、高血圧症、高脂血症等の生活習慣病対策と平均在院日数の短縮で生み出される。こちらこそ削減の本命なのだ。その実現可能性を問わないで、厚生労働省試案を報道したことにならない。

 旧・厚生省時代から続いていることで、どうして実現出来るのか、細かなパラメーターは発表されない。生活習慣病対策も「糖尿病等の患者・予備群の減少率・・・平成20(2008)年と比べて25%減少させる」とあり、「国保及び被用者保険の医療保険者に対し、40歳以上の被保険者及び被扶養者を対象とする、糖尿病等の予防に着目した健診及び保健指導の事業を計画的に行うことを義務づける」「国は、医療保険者による後期高齢者医療支援金(仮称)の負担額等について、政策目標の実施状況を踏まえた加算・減算の措置を講ずる」とする。平たく言って健康診断をして保健指導を強める、さらに都道府県単位で計画と目標を決めるので失敗すれば罰則を加える程度の話である。数千万人規模の糖尿病等の患者・予備群を25%も減らす根拠にならない。

 「厚生労働省に物申す!」(間庭シローの「かつまたメモ」)が「健保破綻の中、あたかも『予防』を重視して破綻を回避できるかのような試案であるが、全くの眉唾だ。8月中旬に公表された厚生労働省研究班(聖路加国際病院院長・福井班長)の報告はまだ記憶に新しい。それによれば、健康診断の診断項目の大半が科学的根拠に乏しいとされ、更にそれだけではなく、健康診断のマイナス面もその中で指摘されている。まるで『どこ吹く風』の知らん振りぶりには呆れかえってしまう」と憤慨している。健康診断に多くの問題があることは、医学医療を多少は専門的に取材した者の常識だ。(この研究報告は毎日新聞しか報道しなかった。読みたい方はこちら

 平均在院日数の短縮は「全国平均(36日)と最短の長野県(27日:計画策定時に固定)との差を半分に縮小する」目標になっている。これには笑ってしまった。旧・厚生省からもう20年も試みて成果が上がっていない懸案を、都道府県単位で責任を押し付けたら一挙に実現してしまうのか「参考資料」17ページのグラフ「人口10万対病床数と1人当たり老人医療費(入院)の相関」をご覧いただきたい。人口10万対病床数のトップは高知県で、老人医療費(入院)もトップクラスである。人口比のベッド数が増えるほど老人医療費が増える比例関係がある。ベッドが多いほど、病院が老人ホームのように使われやすくなっている。病床数が少ない南関東でこんな運用はあまり出来ない。私は高知県で20年ほど前に県政記者をしたのがきっかけで医療制度には関心を持ち続けている。旧・厚生省は地域医療計画を導入したりして病床数の増加は抑制したが、人口比で2倍以上にもなる病床数の不均衡には結局、手がつかなかった。ここから在院日数の地域差は生まれる。国の手を離れて都道府県に任せて実現してしまうのなら苦労はない。

 経団連は試案に先立って「2010年度医療給付費、4兆円の抑制を-政策目標として総額目標提言」を発表した。2025年度の潜在的国民負担率を50%程度に押さえるには、厚生労働省案の7兆円抑制では足りず、15兆円抑制が必要とする。「医療提供体制の改革では、ITを活用した診療データの蓄積・分析、公開を促進し、医療における透明性を高める必要がある。そのためには、情報の互換性が確保される形でカルテやレセプトの電子化を推進することが不可欠であり、医療機関・保険者・患者等が共有可能な『医療情報ネットワーク』を構築する」。手法はどうあれ闇の部分を根こそぎ明らかにしない限り、医療制度の改革はない。それは支払い側・健保連の「2.医療費の合理化と適正化を進める」にある「個々の診療行為の点数を合算して支払う『出来高払い』中心の支払い方式を、包括払い・定額払い方式に改める」とも合い通じている。

 実現するには、自民党の強固な支持基盤である日本医師会の抵抗を吹き飛ばさねばならない。いや、医師会の懐に手を突っ込んで掻き回すような作業が要る。ポスト小泉と言われる4氏には出来ない荒業だろう。比べれば郵政民営化などお笑いの次元である。


 【参考】記者コラム「インターネットで読み解く!」《医学・医療》分野に関連する記事多数。
 ★岩波書店の総合誌『世界』12月号に、この記事から転載しました。
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by ydando | 2005-10-23 14:53 | 食・健康
学校給食事情~飽食国の貧困から始めて [ブログ時評36]
 岩波書店『世界』11月号への連載は「ドイツ総選挙と比べながら考えた [ブログ時評34] 」にした。その11月号が手元に届いて気になる記事を見つけた。「イギリスで巻き起こる『給食革命』~はたして『民営化の失敗』から立ち直ることは出来るのか?」である。「一九八〇年代の民営化をきっかけに急坂を転がるように質が落ち、伝統的な料理が姿を消してファストフード型のメニューが主流」になった。この春、それを見て子を持つ若手人気シェフ、ジェイミー・オリバーが学校の調理場に入り込んで変革させる運動を起こし、全国的な大反響を呼んだ。フライド・ポテトにチキン・ナゲット、あるいはピザかハンバーガー、さらに冷凍か缶詰の添え菜。小学生平均で1食わずか74円と、刑務所受刑者昼食の半分で賄われていた衝撃の実態がテレビで放映された。

 『世界』がすぐ手に入らない方もいらっしゃるので、文章量は『世界』の何分の1かしかないが、英国大使館ウェブの「イギリス給食界の革命」も添えておく。また「政府による食コントロール」(アンモナイト)が英国発の今の情報を流している。「セカンダリー・スクール(11歳から)にずらずらずら~っと並ぶポテチとチョコとコーラ類の自販機を見て、しかもそれでお昼を済ませることも可能だと知って、最初は眩暈がした」「ジェイミー・オリヴァーのやっているスクールディナー(学校給食)革命だって、それが浸透していくまでにはものすごい時間がかかりそうだし、実際、うちの子の学校は何の変化もない…」。これまで温めれば出せるものばかりだったのだから、調理するスタッフを再教育するだけでも大変だろう。

 学校給食には以前から関心がある。日本でも各校ごとの調理から、数校を束ねた給食センターへの集中、あるいはその民間委託が各地で進むと聞く。しかし、地元で採れた食材を積極的に使う運動などがあり、全国一様ではない。米飯給食も良い結果を生んでいる。今どんな給食を食べているのか探して、ある給食センターに勤務している方の「給食献立」(給食万歳)を見つけた。ずーと見ていくと、色々なご飯に汁物、一品と手間を掛けてある感じがする。ファストフードとはもちろん違う。英国に比べたら合格ではないだろうか。

 再び欧州でもフランスは英国とまるで違うらしい。「フランスの給食」(フランス在住kermesseの日記)は言う。「原則としては、子供達は2時間ほどの昼休憩を家で過ごす」「共働きの家庭や特別な理由がある子は学校の食堂(cantine)で毎日食べる」「食堂では前菜・メイン・チーズ・デザートがきちんと出てくる」。さすがに食の国である。

 米国についても適当な報告があった。「アメリカ学校見学?自動販売機&給食? 」(The New York Walker)はカロリーが高い食品を自販機から閉め出し、子どもの健康に注意している学校に調査に行った。ニューヨークから電車で1時間ほど。しかし、写真に出ているのメニューは脂っこい感じで、英国の給食とあまり変わらない感じがする。毎日「ジャンクフードの代表格ピザ」が付くそうで、さらに欲しければ自販機でデザートなどを買って食べる。これで子どもの健康に注意しているのなら、普通の学校では太って当然だろう。

 先進国から一転して、途上国の状況を国連世界食糧計画(WFP)で見よう。「WFP世界の学校給食キャンペーン『学校へ、そして飢えから抜け出す』」にある「世界の学校給食報告書2003」である。「食糧にできること」の節を開いてもらおう。穀物に豆類やスキムミルク、砂糖、植物油を混ぜ合わせたFBFを使った料理が並んでいる。おかゆにしたりローストしたり。決して美味しそうに見えないが、それこそ命をつなぐ食事なのだろう。洗面器のような大食器に満載のおかゆを囲む、子ども達の表情は明るい。
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by ydando | 2005-10-17 20:31 | 食・健康
タバコ税収はどの政府も魅了し続けて
 日本の「たばこ訴訟」が東京高裁でも22日に敗訴した。喫煙による肺がんや肺気腫などの患者・遺族6人がJTや国を相手取って、6000万円の損害賠償と広告の差し止めなどを求めていた。裁判の判決が流れてからのブログ上の反応は原告に厳しいものが多い。「[SMOKE]東京高裁、喫煙患者側の控訴を棄却」の「『もし病気になっても誰かが何とかしてくれる』と考えているような奴は最初から煙草なんざ吸うな」といったあたりが代表的な発言だろう。しかし、起きたことは、好きで吸ったというほど単純ではない。

 判決は一審の踏襲らしいので禁煙広報センター「たばこ訴訟」にある一審の判決要旨を読めば足りよう。「たばこの製造・販売自体の違法」の項にある「たばこ事業法等の国の法律は,たばこの製造・販売そのものを適法行為と取り扱っている」がポイントであることは直ぐに分かる。判決で違法性を認めることは、たばこ事業法の枠組みをひっくり返すことに直結する。原発訴訟で特定の1基分だけ不法認定するよりも社会的影響は甚大だ。そんな度胸がある裁判官は希だろう。

 Googlemのニュース検索でたばこ訴訟を調べたら、偶然にも5月末に英国でも初のたばこ訴訟判決があったらしく、勝ったタバコ会社の株が上がったと伝えていた。巨額42兆円の和解に至った米国とは事情が違う国が多い。

 日本の厚生労働省は最近、急にタバコ抑制に振れているように見える。私の第135回「たばこ依存脱せぬ日本人を考える」に掲示しているグラフにあるように、肺ガン死がガン死因トップになり、さらに上昇の勢いが収まらぬ深刻な事態に立ち至ったからにすぎない。戦後、まずまず豊かになってから50年間も野放図にしてきたツケ、医療費の大膨張を目の前にして慌てているだけだ。判決は1972年以降、外箱に注意表示があったと弁解がましくしているが、当初は本当に誰も気に掛けぬ風だった。

 お隣の中国もタバコが税収の1割も占める財政構造にあり、肺ガンが胃ガンからトップの座を奪ったと報じられたのに、広告の抑制など有効な手が打てない。しかも、国際的に見て異例に重い葉質のタバコときている。日本の経験からして10年後に肺ガン死が深刻な事態になったとき、中国でたばこ訴訟は起きないのだろうか。その時「好きで吸ったのさ」という逃げは効くのだろうか。
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by ydando | 2005-06-23 22:11 | 食・健康
食文化にもジャーナリズムにも契約関係が
 最近、一人で酒を飲む時のファーストチョイスは、ざる蕎麦と吟醸酒の組み合わせになっています。会社の川向こうにある古い老舗ビルの地下に降りて蕎麦屋に入り、吟醸酒の銘柄で注文すれば期待した通りの味が出てきます。清酒のナショナルブランドには問題があると感じても、マイナーな地酒は食文化の供給者として消費者との契約関係をきっちり果たしています。

 ビールにだって、この契約関係は昔から存在しているのです。大量生産品ではあっても、味は守らねばならない。ビール会社の覆面部隊が全国各地で試買しては化学分析結果を各工場に突きつけ、許容範囲になければペナルティが課せられると、まだキリンの京都工場があった際に聞きました。ビールの味が時とともに変化しているのはこの化学分析許容範囲をずらして、変化させているからです。もちろん、公表されるものではありません。しかし、苦味成分の量などは表に出ることがままあり、「食文化に背を向けたビール業界の悲劇 [ブログ時評25]」で紹介した記事中に出ていました。

 トラックバックされているマーケティングを標榜している方が、マスプロだから変化が当たり前だとおっしゃる。それは違うでしょう。守るべき味はあったのです。少なくとも私が知るメーカーの人たちには、そういう意識があったと思っています。ビールの濃さに応じて冷やす温度が変わる――ドイツで飲むと常温だったのに、米国のさらさらタイプはぎんぎんに冷やさねば飲めない――と教えていただいたのもあの時でした。消費する庶民だって、自分なりに味は覚えているものです。ささやかながら、それが文化です。個性的なベルギービールはオランダレストランで知っています。それも結構。しかし、日本には味わう文化が無かったと言われるとは思わなかったですね。個を大切にするのではなかったのかな。

 ジャーナリズムにも通じる問題なので、この際、書いておきますと、「マスプロ」である日本の新聞製作にも読者との契約関係を意識する場面がたくさんあるのです。ガ島さんだったかが書かれていたように、何も問題意識無しに惰性で製作している訳ではありません。問題は「契約」を結んだのが随分と昔であり、今となっては妥当なのか不明なのに、思い入れた「契約」にしがみついている点です。



 【追補6/17】ビールの味が変わっていることについて、意外に共通認識が無いようです。トラックバック先「その他の雑種(2)は文化を創るか」で引用されている「ビールの秘密」は、秘密ではなく、かなり知られた事実だと思っていたのですが・・・。読売新聞の特集記事にある辛味価ランキングでは、ヱビスが30.4、クラシックラガーが28.8、スーパードライ19.4とあるのを見て、ラガーは30を超えているべきなので、「クラシック」を冠して元に戻したと言ってもまだまだ違う訳です。

 なお、ビールの苦みホップは糸状につながる性質があり、泡によく付着します。泡を立てて飲むというのは苦みを適当に抑えることなのです。注ぎ方の秘訣もこれに関連します。従って、缶のまま飲むにはスーパードライのように苦みが少なくないと駄目です。ヱビスも缶をあけて、そのまま飲むには不向きです。グラスに注ぎましょう。
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by ydando | 2005-06-15 00:08 | 食・健康
食文化に背を向けたビール業界の悲劇 [ブログ時評25]
 いわゆる「第三のビール」にキリンとアサヒも参入して、ビールと発泡酒を合わせた出荷量の相当部分を占めるようになった。4月で19.4%、5月で16.1%に達した。1-3月期ではビールが55.6%、発泡酒が36.2%、「第三」が8.2%だったことと比べると、発泡酒から「第三」へのシフトが大半ながら、4月はビールも食われた形だ。ビールから発泡酒へ、そしてその先へとの移動傾向は今後も続く。ビール業界が自ら築いてきた食文化を誇りに思っていたら、こんな愚かな泥沼に落ちることも無かっただろう。

 ビールの成り立ちを知っていると、目の前で起きていることは途方も無く奇妙に思える。ビールは本来、大麦を発芽させた麦芽で造られる。パンや麺類に使う消化の良い小麦と違って、大麦は飼料など用途が限定される日陰者の作物である。ドイツがビール原料を大麦に限っているのは、その昔、貴重な小麦をビールなんかに使われては困ると考えたとの説があるくらいだ。大麦に代わって「第三のビール」の原料になっている大豆やエンドウマメの方が原料としては高価に違いない。高い原料でビールもどきを造る――奇怪な逆転の原因は、麦芽の使用率に応じて酒税が上がる現代日本のビール類税法にある。

 ビールもどきでも安ければ売れるのは、ゆったり味わうのではなく、食事の最初に「とりあえずビール」という飲み方に問題があるとみる「代用ビールに怒る」(松浦晋也のL/D)は「なぜ我々は、十分に豊かになった日本で、大豆ペプチドなどを使った代用ビールを飲まねばならないのだろうか。税法が味覚文化を破壊するという面で見るならば、かつての日本酒がたどった道を、ビールも進んでいるように思える」と弾劾している。

 アサヒのスーパードライ登場が異変の始まりだった。苦味を嫌い、コクを嫌う若い世代に合う味作りが大成功を収めたことで、ビール業界は浮き足立って同じドライビールの方向に走り出した。その過程でコーンスターチなどを混入することが当然になり、芳醇さが失われていった。私は昨年夏、第148回「酒類の混沌――ビール・清酒の未来」で「この国でのビール類における味の変化は、本物のビールからどんどん離れるばかりであり」「『古典派』を標榜するビールだって、おかしな味に染まってしまった。ビール業界では守るべき本丸が既に怪しい」と書いた。

 爽快さを求めるならば、何もビールに似せる必要は無い。割り切って全く新しい新飲料を開拓すればよいのではないか。読売新聞の「この夏“第三のビール”が主流?」によると、業界関係者は「我々は第三のビールを、ビールの代用品とは考えていません。ビールテイストですが、全く新しいアルコール飲料なんです。飲んでいただけたら理解してもらえると信じています」と主張しているそうだ。私には自ら築いてきたビール文化を貶めているように見える。

 とは言え、もっと好意的に見てあげようとする人もいる。「お酒のはなし~『その他雑酒2』で乾杯…?(その2)」(ねりみそ~明日のビジネスのしたごしらえ)はこう庇う。「長い歴史のあるビールだから、何杯も続けて飲めるように深い付き合いができるのはある意味当たり前なのである。麦芽以外の材料を主に生まれたばかりの新しいビールにとっては、それはこれから長い時間をかけて獲得していかねばならない、人格の様なものなのだ。問題は、産み出したメーカにその商品をそこまで育んでいくつもりがあるかどうかということになるのだろう」
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by ydando | 2005-06-12 17:56 | 食・健康
讃岐うどん現地、2日の昼食で4店の麺
 久しぶりに四国・高松へ出張でした。仕事の合間の昼食2回で、2店ずつ回る計画を立てて現地入り。1日目は2店とも2玉も食べて、これは麺好きの私でもちょっと食べ過ぎでした。 もう一度行きたい順に並べると、竹清大円松下製麺所壱番屋となりました。

 竹清は躊躇なく2玉食べて、まだ欲しかったくらいです。これで200円。店先で女将さんがてんぷらを揚げ続けていますが、注文殺到で15分待ち。ゲソ天、半熟卵天、ちくわ天などどれも90円の熱々です。てんぷらが来る前にうどんを食べ尽くしそうになるのが玉に瑕です。うどんはご主人が打ち、湯がきたてを冷水でしめて丼にもらうので、そのままザルでも、温めて「かけ」でも、あるいは醤油うどんでも自分の好みです。私は最初をザルにして、最後を醤油うどんにしてみました。県庁の近くなので、出張などの際は是非、どうぞ。

 香川県外、関西はもちろん関東からのお客さんまで急増しているとの噂は聞いていました。製麺所が店頭で食べさせている、完全に通の店、松下製麺所で、行き会わせたお客さんで地元らしい方は1人きり。地図を片手の女性ペア、全員がリュックを背負った一族郎党風の7人組とも、明らかに県外組でした。それに私も。150円の1玉分をいろいろに食して、さらに別の店に転戦する気配です。香川のかけうどん出汁は「いりこ」で取ります。鰹節ほどクドくなく、透明で素朴で上品です。細ネギ、天かす、ショウガをたっぷり薬味にした松下製麺所の一杯は結局、全部、飲み干しました。

 2玉に大きなてんぷら3つ添えて500円しない安さ。それでいて都会では食べられない、店ごとに個性的な食感、極上の味。高松ではランチの値段が600円を超えると客が来なくなるそう。当然ですね。
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by ydando | 2005-05-14 16:45 | 食・健康