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北朝鮮が求めているのは誇りでないか [ブログ時評66]
 北朝鮮による核実験実施から1週間。マスメディアでもネット上でも実に多くの言説を見聞きしたが、どうも胸に落ちない点がある。朝鮮戦争後、核など持たなくとも北朝鮮と米国は、お互いに手が出せない軍事状況になっている。軍事専門家・神浦元彰さんの「最新情報」10月12日分はこう指摘する。「非武装地帯(軍事境界線)から北側に地下陣地が網の目のように作られ、そこに北朝鮮軍はソウルを射程に入れる長距離砲(170ミリ)、地対地ロケット・フロッグ7、スカッドB/C、多連装ロケット発射機などを幾重にも配備している。これらの兵器には弾頭に化学弾や生物弾が装填してある。これらがアメリカ軍や韓国軍の攻撃を察知すると、ソウル市街や在韓米軍の頭上に降り注ぐのである。北朝鮮は朝鮮戦争後に貧者の原爆と呼ばれる生物・化学兵器で、核兵器を配備しているアメリカ軍の攻撃を抑止した。これが今も生きているのである」

 もちろん、核兵器や大量の通常兵器を備える米軍の報復があるから、北朝鮮だって先に火蓋は切れない。軍事兵器にらみ合い状態があるから、ドイツのように冷戦終了で国境が破れることも無かった。現状でも米軍から先制攻撃される心配は無いのに核兵器をを持つのは、自国民の食もまかなえない三流国に落ち込んで世界各国と並び立つには、核クラブに入るしかないと考えているのではないか。そう思わせる一因は、核実験予告と実施の日が、韓国の潘基文外相が次期国連事務総長に選出されるステップとぴったり合致しているからだ。

 「【核開発】なぜ今日?北朝鮮が狙った一石「四鳥」とは…?」(朝鮮日報)は「9日は国連安保理が韓国の潘基文(パン・ギムン)外交部長官を国連事務総長候補に推薦する日でもある。安保理の潘長官推薦は事前公告されていた。北朝鮮は今月3日の核実験宣言も、潘長官が第4回予備投票で1位となり、事実上、国連事務総長候補に確定した日に発表した」と伝える。北朝鮮は何も言わないものの、分裂国家の片方から国連事務総長が選ばれることは従来無かったのに、韓国から選ばれ脚光が当たる。核実験をぶつけて、自分たちだって存在しているのだとアピールしているように見える。

 もしそうなら、今回の事態は中国が引き起こしたと言えるかも知れない。国連事務総長は安保理常任理事国が1国でも反対すれば不可能だ。韓国外相ならそう簡単に中国は同意すまいと見られていたのに、これまでの総長選びに比べ異例に早く決着してしまった。中国と血で結ばれた同盟だったはずなのに、北朝鮮の疎外感は膨らんだろう。「北朝鮮は誇り高い民族」と知っている中国が読み誤ったのか。

 核実験から1週間も経ることなく国連安保理で制裁が決議された。中国もトラック貨物の検査を始めた。国内では公海上の船舶検査に海上自衛隊を投入する議論も表面化して、強面ばかりが目立つ。そうそう容易く引き下がるとは思えない北朝鮮に対して、もっと知恵のある議論はないのか。

 ブログで検索していて「軍備管理協会(ACA)の勧告『次に何をすべきか』」(川崎哲のブログ)を見つけた。ワシントンのシンクタンク「軍備管理協会(ACA)」が11日に出した「対北朝鮮で次に何をすべきか」という7項目勧告を引用している。「昨年9月の六者共同声明以後に、米財務省が偽札・資金洗浄問題で金融制裁を開始したことが問題を複雑化したことを指摘。これら核とは別問題の不法行為に関しては、米朝間で淡々と(ビジネス・ライクに)交渉して解決し、より緊急な問題である核兵器問題の交渉が再開できるような環境をつくるべきであるとしています」「安保理は制裁を課すべきであるが、制裁だけでは北朝鮮の態度を硬化させるだけであり、中韓との協調や、北朝鮮側の要求に何らかの形で応えることが必要であると述べています」

 核実験の爆発規模はTNT火薬換算で1キロトン以下と判明した。初めてプルトニウム型核兵器を造るなら、長崎原爆と同じ20キロトン程度が最も造りやすく、完全に同一タイミングで原爆外周に配した火薬を爆発させてプルトニウムを中心に集める。今回、北朝鮮は完全な爆縮装置を製造できず、プルトニウムの大半が飛散してしまう未熟な爆発で終わったらしい。核兵器として完成させるには再度から数回の核実験が欠かせない。核実験を失敗させた、過去に例が無い国として笑いものになってしまうのも辛い。プライドを重視しているとすれば、意地でも実験成功まで続けざるを得ないが、爆縮装置開発に不可欠と思える超高速度現象観測装置を、北朝鮮は入手できていないようなのだ。

 今度ばかりはメンツを潰された中国も、かなり厳しい態度に移った。失敗した現状の原爆でも大気中で爆発させれば巨大な被害を呼ぶのだが、兵器として完成させるべく、北朝鮮が自らの首を絞める「実験続行←→国連による制裁強化」の悪循環に陥って行くように思えてならない。文句ない核兵器を持ってから六者協議に復帰を狙うシナリオなのだろうが……。
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by ydando | 2006-10-18 14:51 | 世界
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