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by ydando
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荒川選手取材に見えたメディアの国際落差
 冬のオリンピック終盤、荒川静香選手の金メダル獲得でフラストレーションが解消された方が多いでしょうが、私のようにネットとともにマスメディアをウオッチしている人間には逆に大落胆の事件でした。翌日、新聞・テレビが横並びで「金メダルを取ったら忙しくて眠れない」発言を報じたのに内心、引っかかって、荒川さんは本当にこんな能天気な言葉しか発しなかったのか、調べに行きました。Googleニュース米国版に「arakawa」を入れるだけで、APの荒川インタビュー記事「Gold medal brings Arakawa attention, donuts 」を見つけ出せました。

 最初に確かに「眠れない」発言もありましたが、その直後に彼女が育った仙台のスケートリンクが閉鎖された事に触れ“The rink where I did most of my fundamental training has closed down. It’s very sad”と言い、日本では練習の場がないので米国に行かざるを得ないと訴えていたのです。翌日に知りますが、彼女を育てたコーチが50人の教え子と行き場を失ったのでした。経営難で消えたリンクは全国各地にあり、スケート界の危機を彼女は語っていたのです。

 「最低の結果。厳粛に受け止めたい」と総括した日本選手団長に、ブログでいくつも手厳しい批判が出ていました。例えば「JOCの底の浅さ」はこう批判します。「ろくに練習に集中できる環境を保証もしないで『メダル、メダル』とノルマだけを課していたのはどこのどいつだ。世界の桧舞台で戦ってきた選手や関係者達がいる一方で、『ご苦労様』という一声よりも『成績不振』『猛省を』などという言葉を偉そうにコメントするとは何様のつもりか」

 お人形と言われた荒川選手が金メダルを手にしてから、敢えて口にした練習環境への憤りを、日本のマスメディアは目の前にしながら一行もトリノから送ってこなかった――その感度の低さは驚くばかりです。日本語の壁に守られているから成立する日本マスメディアの貧困を、ブログでは随分前から言われてきました。その現物が突然、目の前に現れたと言うべきです。

 私が今いる新聞社の翌日紙面で、京都総局の記者が以前から問題意識を持って、荒川インタビューとは別にスケートリンクが消える状況を独自にまとめて大阪の社会面に書いてくれたのが唯一の救いです。これは東京紙面には載りませんでした。その後で他の有力紙も同様のレポートを出しました。トリノの各社取材班はいったい何を考えて取材していたのでしょうか。恥じることなくジャーナリストと言えるのか――これは本当に重症です。

 【追補】オリンピック・チャンピオンになった選手がその場で、かく言っているというニュース性を理解しない批判がありました。念のために言うと、新聞社内でも批判を公表していますし、多くの賛同を得ています。以前に書いたことがあるからというのと、次元が違います。
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by ydando | 2006-03-01 21:56 | ジャーナリズム
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