「日本コミック発の香港映画が特大ヒット [ブログ時評28]」を読まれたマレーシアの読者から、興味深いメールをいただきました。中国と東南アジアは同時公開でしたので、現地の雰囲気を伝える貴重な情報だと思います。昨夜も、同僚と映画を見た現地の人にインタビューに行くべきだ、と論じ合ったばかりでした。
マレーシアに住み、製造業を営んでいる者です。団藤さんが「頭文字D」を話題にされ、驚くとともに私もこの映画で反日運動は何だったんだと思いました。中国、東南アジア地区で公開されて以来、ここマレーシアでもロングランが続いてます。(中略)早速見てその迫力に感動しました。久しぶりに映画を見てスカッとしました。青春映画としても楽しめました。
スターウォーズのバトルシーンは所詮作りもの、頭文字Dの実写の迫力の前には空絵ごとです。総てが完璧に上手く行き過ぎているのが鼻につくようになってしまいました。見てる方もコンピュータによる作り物と安心して見ていられます。手のひらに汗をかきません。
映画では拓海が運転する86レビンを遠景で捉えたシーンがあります。一度ドリフトしたのをカウンターを当てて立て直し、その後四輪ドリフト状態になりコーナーに入っていきます。ぎこちない曲線です。しかし、そこにリアリティーを感じました。
映画館内では最後は中国人もマレー人の若者も大喝采でした。すごい一体感を感じました。日本アニメの原作を日本で撮影し、日本人スタントマンに運転させ、台湾香港の俳優が日本人を演じてセリフは広東語、中国東南アジア地区で同時公開と香港映画の割り切りは凄いですね。マレーシアで外国人労働者の大量使用に躊躇している我々日系企業とは大違いです。
また台湾香港の俳優の演じる日本人が不自然でないのにも驚きました。ただゲロを吐くシーンが多いのがちょっと日本人のテーストとは違うと思いましたが、当地では嫌悪感なく笑ってました。我々がアメリカングラフィティーを見てアメリカの若者文化に憧れたように中国東南アジアの若者を憧れさせるものを日本が提供できる限り日本の将来は明るいと思いました。
カッコいいものはカッコいい。面白いものは面白い。と反日運動を無抵抗に飲みこんでしまったと思いました。中華系を日本人に同化させてしまった香港映画の商業主義にも感心させられました。
今後とも硬軟取り混ぜた時評宜しくお願いします。