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by ydando
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離婚の減少はサッカーW杯から始まった [ブログ時評26]
 厚生労働省の人口動態統計で2003年にわずかに頭を打った離婚の件数が、2004年からはっきりと下降傾向を示した。離婚の件数と率は欧米の高い水準に向かって上がり続けて当然と思われていたのに、何が日本の家族に起きているのか。マスメディア報道は年金分割法の実施が数年先に予定されていることを申し添える程度で、非常に物足りなかった。それではとブログ上で「離婚減少の意味を論じられる方はいませんか」と問いかけたのが6月6日。何人もの皆さんと議論しているうちに、次に示すグラフ年表が書けてしまった。以下の仮説を実証するのはとても難しく、直ちに新聞記事にも出来ないと思われるので、ブログ発のニュースとして発信してみたい。今回の離婚の減少はサッカーW杯から始まり、「冬のソナタ」でブレークした韓流ドラマブームで本格化し、北朝鮮拉致被害者と家族の帰国などによって増幅されている――少なくとも私はそう考える。
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 まず、上のグラフが出来た事情から説明したい。離婚の月別増減を前年同月比%で示している。生の数字を見ると3月が多くなるなど季節変動があるので、人口動態統計の月報でもこの方法で比較している。「あざらしサラダ」さんが、ITmedia「技術者を襲うストレスとうつ、原因と対処法は」を引用して、「『昨年、中高年女性の自殺率が激減した。理由はヨンさま』だと書かれています」「自殺も離婚もストレスが極限に達したときの現象だと考えると、関係があるのではないでしょうか」とコメントされた。電通による広告景気年表から2003年の「衛星第2で放送した韓国ドラマ「冬のソナタ」(4.3~9.4)が人気沸騰」を引いて「意外に何年の出来事か、覚えていないものです」と応えた際に、統計には年報以外に月報が存在することを思い出した。月単位で離婚動向と見比べれば、何か言えるのではないか。

 データ入手はすべてネット上でした。「冬のソナタ」の影響を調べることから始めたが、色々な山や谷が見えてきたので、2001年初めまで拡大して、家族の心理に響きそうなニュースを並べてみた。離婚とは家族的な日常を壊して、非日常に踏み出すことだ。佐世保の小学女児殺害など、想像を絶する非日常行為に至ってしまった事件で繰り返し言われているように、誰かがちょっとした示唆をしてやれば、本人の上り詰めている気持ちを解いてやることが出来る。ニュースにはそんな、気をそらしてくれそうなモノを選んだ。

 順に検討していこう。2002年5、6月の谷がサッカーワールドカップ日韓開催で生まれ、一連のストーリーの始まりである点は異論が少なかろう。66%もの視聴率を記録した日本戦さえあった。ただ、その前に2001年12月に小さな減少があり注目だ。プラス10%を超えるような高水準の中だから目立ち、皇太子妃出産が対応していると思える。サッカー熱が冷めた時をフォローしたのが、2002年8月のアゴヒゲアザラシ「タマちゃん」多摩川登場らしい。この年は一進一退が続いた。10月のノーベル賞報道の中でも田中耕一さんの飄々とした生き方には癒されるものがあったと思う。拉致被害者の帰国も前後している。

 この雰囲気で迎えた2003年、4月から9月の「冬のソナタ」NHK衛星放送により韓流ブームが起きた。離婚への影響は2004年4月のペ・ヨンジュン来日までつながっていよう。ただし、2003年11月の谷には総選挙が関係しているかもしれない。2004年5月の最大減少には拉致被害者が北朝鮮に残した子ども帰国、7月の谷にはジェンキンスさん父娘来日が当たっている。10月の谷には新潟県中越地震が家族の絆を様々な局面で見せ、一役買っているかもしれないと思う。

 以上の仮説が正しいとしたら、日本の離婚はどうなっていくのか。韓流ドラマブームのピークは去ったが、まだ根強いものがある。レンタルビデオ店でも驚くほどのスペースを占めている。この面からの癒しは当分続くと考えられよう。また、家族のことに関して、世間の感受性が上がっているように思えるのは私だけだろうか。これから起きるであろう種々の事件が従来よりは、離婚に対して歯止めをかける可能性があると思う。2005年に入っての月報はまだ発表されていないが、しばらく減少傾向を維持するのではないか。

 ここまで書いたところで、検証を始めるきっかけになった情報「昨年、中高年女性の自殺率が激減」の真偽が気になり始めた。人口動態統計で簡単に調べられる。

 【女性の世代別自殺死亡数】
 世代  2002 2003 2004 
 30-34  524  588  565 
 35-39  471  522  459 
 40-44  373  446  474 
 45-49  480  493  450 
 50-54  854  762  658 
 55-59  790  791  838 
 60-64  715  775  753 

 40代後半と50代前半に限れば減っている。それも合わせて年間で12%の減少だ。その上下の世代ではむしろ増えている。「激減」と称するのは難しく、韓流ブームの影響も否定できないと言える程度ではないか。離婚は毎月2万件以上もあり、年間で数千件しかない自殺とは社会情勢の反映の仕方が違うようである。


 【追補6/21】ITmediaに上記の指摘をしたところ、「激減」との表現を撤回して「昨年のヨンさまブームのおかげで中高年女性の自殺率が減少したという説を紹介」に改められました。学会などでささやかれていた話を統計的検証なしに使われたようです。
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by ydando | 2005-06-19 01:36 | 社会・教育
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